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「告発 児童相談所が子供を殺す」まずは実態を知る事から

      2016/11/14

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虐待された子どもの「最後のとりで」となるのが児童相談所です。必要があれば親と引き離したり、一時保護所で預かったり、訪問やカウンセリングをして安全を確保する役所のはずなのに、「児童相談所に何度も通報していたのに虐待死してしまった」という例が後を絶たない。最後のセーフティーネットは穴だらけなのだ。所内でのパワハラ・セクハラは言うに及ばず、中学・高校の女の子で性的な非行の問題を起こした子に対し、男性児童福祉司が「最後の生理はいつだった?」としつこく質問したこともあった。子供は心の底から嫌がっていた。親の言うなりになる児童福祉司、いつも満員で入れない一時保護所、虐待親の心理など、元職員が非情な現場を告発する。

親が保護に反対している、と言う理由で保護できない

「お父さん、お母さんが保護に賛成してくれないから、もうしばらく家で様子を見よう」

児童相談所がいいそうなことだ。子供達は結局「児童相談所は親の味方」と感じるに違いない。こうして信頼関係が構築されぬまま「大人は何もしてくれない」とますます心を閉ざすのだ。深刻なのは親が子供と児童相談所を接触させるのを嫌がること。保護となればその間生活保護費が子供分カットされるというような経済的理由もあるようだ。学校などでの子供の元気な姿が確認されれば「大丈夫だ」と判断され、児童相談所としては「安全確認」の責任を果たしていると堂々と言える。ネグレクトや虐待を受けてる子供が学校で元気なのは当たり前(給食は出るし殴ってくる相手もいない)でそこが意図的に見落とされてるかのような印象さえ受ける。

言い訳ばかりの記者会見

本人が死亡してしまった時の児童相談所の記者会見は言い訳ばかりだった。相模原市児童相談所所長も「判断は間違っていなかった」「適切な対応をして来た」と述べた。

まさにお役所的な会見だ。どの判断が間違っていなかったのか。間違っていたから、子供が死んだのではないのか。そして適切な対応とはどの対応なのだろう。何一つ具体的に説明していない。

子供対応の「何でも屋」とは名ばかり

「児童相談所0〜18歳未満の子供に関する相談を全て受ける」こととなっているが、実際は警察の相談を除けば、余程の事がない限り虐待以外の相談は受けない。勇気を持って相談の電話をかけてきた人は出鼻をくじかれる羽目に。「緊急で相談したい」といっても、予約を入れてから1ヶ月を要する事もざらだ。ただでさえ平日の夕方までしか職員の対応がない上、せっかく電話しても予約が必要というなんとも面倒なシステムがまかり通っている。何でも屋とは名ばかりで結局民間のシェルターのようなところに頼らざるを得ないのだろうか。

典型的なお役所体質

相談を受けた子ども、親の直接対応をするのは児童福祉司、児童心理司。虐待対策班は担当としてケースは持たない事になっていて、あくまで家庭訪問や会議の同行や面接の同席である。相談に関する最終決定、組織決定をする場が援助方針会議だが、これが酷い。議論はほぼされず寝ていつものすらいる。担当児童福祉司の判断はほぼ全て何の議論もされないまま通ってしまう。援助方針会議のプレゼンテーションは短ければ短いほど良いとされ時間をオーバーすると鐘をならせる何て事も日常茶飯事。子どもやその家族の人生がこうも軽んじられてるとは驚きだ。

問題は人数よりやる気

一番の問題は人手不足ではない。児童相談所という職場で「働きたい」人がいないのだ。いつの間にか、児童相談所は「最も働きたくない場所」になってしまった。その理由の一つは、福祉や心理を勉強してきた人間であっても、「虐待」には関わりたくないのだ。他人事としてニュースで見る分には構わない。同情していれば済むからだ。しかし自分が当事者にはなりたくない。関わらないで済むなら、関わりたくない。

業務の難しさ(虐待などへの対応)などから配属されてすぐにやめてしまう人が多いのは、これから改善していかなければならない課題だろう。看護師、保育士などもそうだが給料と業務の難しさを鑑みて待遇が悪すぎるのもやる気を削ぐ原因だろう。同じぐらい稼げる他の職業に転職してしまう人が多く、ベテランばかり残ると旧態依然とした体質は変わっていかない。

建前だけの会議

虐待に関しては「緊急受理会議」が開かれ方針が決められる。「緊急」とつくのだが、実際は「管理職が足りない」「虐待対策班がいない」と言う理由で後回しにされる事も多々ある。児童虐待防止推進月間には、取材に来る場合もあるがこの時はよそ行き。所長を筆頭に大名行列のように職員が付き添い、各部屋を案内する。緊急受理会議の様子もテレビカメラに収められるが、これは会議をしている「ふり」、出かける「ふり」に過ぎない。普段は一切マスコミは中に入れないのだ。

中盤からは「鳴き声通報は後回し」「7割は助言で終了」「病院や警察からの通告は最重視」「保護下の子供達は自由におしゃべりもできない厳しいルール」「風俗・AVしか居場所がない女の子」「児童相談所の不祥事が報道されない理由」などこの本を読まなければ知らなかった事実が多く語られています。

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