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独裁の中国現代史 毛沢東から習近平まで|楊 海英|世界最大の独裁国家はいかに築かれたか? 

世界最大の独裁国家で繰り返される粛清、密告、民族弾圧。日中戦争、朝鮮戦争、文化大革命、改革開放、天安門事件、そして習近平体制まで、世界第二位の経済大国になりながらもいまだ一党独裁体制を貫き少数民族の弾圧や農村部との格差を抱える中国の問題点を歴史と共に振り返る。

共産党はいかにして力を蓄えたか

後年、毛沢東は、長征についてこう振り返っています。 「私は長征の途中で二つ悪いことをした。一つは他人のものを盗んでしまった。もう一つは、延安に着いてから、あるものを栽培してしまった」 「他人のものを盗んだ」というのは、四川省西部を通って陝西省北部へ逃亡する途中に、チベットで略奪を繰り返したことを指しています。「あるものを栽培した」とは、延安に到着したのちケシを栽培し、アヘンを精製したことを指しています。しかも、そのアヘンの密売の際、裏で日本軍と協力していたという研究もあります。

延安入りした毛沢東は、共産党に厳しい等級制を導入しました。そのモデルとなったのはソ連のノーメンクラトゥーラです。

たとえば衣服も等級により三等級に分かれていて、どの幹部が何色の服を着るかが決まっていました。同じように食事は五等級で、最高等級の毛沢東には毎日鶏一羽が供されました。延安は先に述べたように貧しい土地柄です。そんな場所で毎日鶏を一羽提供するのはかなり苦労したことでしょう。

また一九四二年になると、毛沢東の提唱により、思想を再検討し行動を改める「整風運動」が始まりました。その影響で個人主義は徹底的に否定され、密告を奨励する異様な風潮が広がります。

中国共産党は現在も強固な等級制度を敷いています。また反腐敗闘争でも明らかなように、密告文化も健在です。今の中国の組織や仕組みのルーツは延安時代にあるのです。

延安時代に築かれた負の遺産ともいっていい強固な等級制度。それにより共産党の意にそぐわない人物は密告により排除される仕組みが未だに健在だ。ここまで力が中央に集まっているとなかなか改革はできない。それに気付いた一部のインテリ層は中国を離れるといった行動をとる。そしてその皺寄せは常に貧しい農村などに。スマホの普及によりSNSの利用が盛んになった今も、情報統制は効いているが、国民もそこまで馬鹿じゃない。しかし、その矛盾に対して行動をとるリスクはあまりにも大きく踏み出せないでいる様子。

世界から見た文化大革命

文化大革命は激しい宗教弾圧でもありました。その最大の対象となったのがチベットです。

大乗仏教の一つであるチベット仏教は、チベット周辺のみならず、モンゴル人、満州族にも広く伝わりました。ラマ(高僧) への信仰が厚く、とりわけ、菩薩や如来が転生してこの世に姿を現したという「化身ラマ」と呼ばれるラマは深く敬愛されています。最大宗派であるゲルク派の化身ラマが、チベット仏教の最高権威でありチベットの最高政治指導者でもあるダライ・ラマ(観音菩薩の化身) と、ダライ・ラマと並ぶ宗教的権威であるパンチェン・ラマ(阿弥陀如来の化身) です。ダライ・ラマとパンチェン・ラマは転生する存在であるため、幼児として生まれ変わると考えられています。

チベット仏教では古代サンスクリットの原文を忠実に、そのままチベット語に移植した原典を使っており、本来の仏教に近い姿を残しているものだとされています。これはチベットが長い間、漢民族の影響を受けず、独自の文化を発展させてきた証でもあります。  歴史上、チベットは長い間、独立状態を保っていました。元、清など非漢民族王朝では王族がチベット仏教の信者となり、厚い保護を受けます。中華民国時代にはイギリスの影響下にあり、一九一三年にはダライ・ラマ十三世が独立を宣言しました。ロシア、イギリスのにらみ合いのため、承認する国はごくわずかでしたが、基本的には内モンゴルや新疆と同様、中国の一部ではなかったのです。

ところが中華人民共和国が成立すると、共産党はチベットを中国の一部だと主張し、一九五〇年に人民解放軍を進駐させます。

文革が始まった一九六六年、周恩来は北京で研修していたチベット人学生を前にして、「中国はチベットを三度解放した」と演説しました。周恩来によると、一度目は一九五〇年、「人民解放軍によってチベットは祖国の懐に戻った」。二度目は一九五九年、「農奴を解放し、反乱を平定した」。そして三度目は文化大革命で、「ラマを解放した」というのです。

いかにも中国らしい一方的な言い分です。まずチベットはもともと中国の領土ではなく、中国が「祖国」ではありません。

また農奴の解放も、マルクスの発展段階論にむりやりあてはめたに過ぎません。そもそもいまだに差別的な戸籍制度に縛られている中国の農民のほうがよっぽど解放される必要があるでしょう。周恩来が「解放」と胸を張った一九五九年の実態は悲惨なものでした。

チベットに関する一方的な言い分が罷り通るのも中国らしい。文化大革命で、「ラマを解放した」なんてチベットからすれば何いってんのって話。元々中国の領土でもないのにそんな言い分が罷り通るのもおかしな話。

中国のおかしな歴史を紐解きながら独裁国家はどの様にできあがったかを振り返る書籍。

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