51Blog

興味のあることや本の感想などを綴っていく雑記Blogです。

ブラック企業経営者の皆さん、労働基準監督署は見ていますよ!

      2017/04/23

平成28年11月7日日本を代表する広告代理店の電通本社に、東京労働局の「かとく」と呼ばれる過重労働撲滅特別対策班を中心とした労働基準監督官32名が入った。いわゆるガサ入れだ。その日から、テレビや新聞、インターネットを通じて「電通」「過重労働」「労働基準監督官」という言葉が乱れ飛ぶことに。社会的に大きな注目が集まる労働基準監督署とはどういった組織なのか詳しく解説した書籍。

病院だって容赦しない

病院というのは、労働基準監督署にとって厄介な存在であった。医師の労働環境よりも命が優先などという言い方がまかり通っていて、指導に耳を傾けないところも多く存在した。とどのつまり、医師や看護師など医療従事者の過重労働による疲弊や健康障害、その結果生じる医療過誤などが多発してしまい、かえって優先すべき命がそのスタッフたちの長時間労働により損なわれるということになったのである。なお、現在では、病院の憲法とも言うべき医療法の第六次改正により、勤務環境改善に取り組むことが盛り込まれている。

医療モノのドラマを見ていても、過重労働が医師たちを疲弊させている様子がよく描かれているが、そのようなオペレーションが労働基準監督署の目に止まれば容赦なく指導が入り、場合によっては立ち入り調査へ。この立ち入り調査には裁判所の許可は不要、労働基準監督官には強大な権限が与えられているのだ。この臨検を拒否したり、書類の提出を拒んだり、虚偽の陳述や書類を提出したりすると労働基準法違反として処罰の対象になるという。僕の働いていたゲーム会社でも、サービス残業などで他部所で指導があったなどと噂が飛び交うこともあった。

警察の実況見分は拒否できても臨検は拒否できない

これも横浜にある監督署に勤務していた頃の話であるが、後輩の監督官が監督に行った際、会社で立ち入りを拒否されたらしい。法令上はそれだけで処罰の対象であるが、すぐに処罰を行うわけではなく、今度は複数で行くことになった。その際、カメラを持参して、臨検監督を拒否された場合、記録を残すということになった。今回拒否した場合、そのまま捜査報告書に取りまとめ、刑事捜査に移行することを確認していた。

よくテレビなどで、税金の滞納者の家を訪れる際ビデオカメラを回しているのを見るが、労働基準監督官も同じようなことをやるようだ。基本的に労働基準監督官は一人で全ての臨検や資料をまとめたり指導を行ったりする。それでも臨検を拒否したり、問題がある場合に複数で臨検を行うという。それだけ、問題のある企業の数に対して労働基準監督官の数が圧倒的に足りていないのだろう。人手不足はどこの組織でも常態化しているということか。

労働基準監督官の仕事は警察と違い、事件を送ったらそれで終わりではない。働く人が安全・安心に働けるよう職場環境を改善するのが目的であるため、事件送致後も、その後の是正を確認する必要がある。

会社を潰すことが仕事ではない

極論を言ってしまうと、労働者の目的は、なるべく高い対価を、短い労働時間で得ること。逆に使用者の目的としては、なるべく低い価格で長く働いてもらうこと。こういう観点から、労働者と使用者の向いているベクトルは真逆であり、対峙する関係でもある。働きがいとか様々な言い方があるが、それは正当な対価をもらってはじめて言えるようなことであり、使い捨てのような扱いのもとでは、そういった考え方は生まれない。

このような対峙関係の中、労働者と使用者が企業という枠組みの中で活動し利益を出して行くために必要なのが、労働関係法令で、このルールが守られないと、労働者は疲弊し、トラブルとなり、辞めていったり、最悪死亡したりする。近頃ではブラック企業という言葉が一般的となり、劣悪な職場環境に置かれている人たちにも浸透して来た。しかし、過重労働や、サービス残業を前提に成り立っている中小企業も多く、事件化して、潰れるケースもあるため従業員がなかなか声をあげられないという現実もある。僕に言わせれば、そんなブラックな企業はさっさと潰れてもらった方が人材不足に悩む企業の助けになると思う。そこには労働に対する正当な対価が必要だが。

監督計画

もともと、労働行政をどう進めて行くかということについて、政府(永田町)は強い関心など抱いていなかった。そのため、従来は、この運営方針というものは役所(霞ヶ関)による意思だった。ところが、アベノミクスを中心とする日本再興戦略などの方針で、これまでの運営方針を一変させることとなったのである。女性のさらなる活躍促進や働き方改革、民間人材ビジネスの活用や一億総活躍社会など、今まで示されてこなかった労働分野における方針が、この行政運営方針に大きく影響を与えることとなったのである。

現在は、厚生労働大臣を本部長とする長時間労働削減推進本部が置かれている。電通の新入社員が自殺した件や、ヤマト運輸のサービス残業の件など、これからの働き方改革に乗り出す企業が増えて行くことを祈りつつ僕は無職を続けるww

 - Book , , , ,