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「機械学習」「深層学習」AIの思考構造とは?

「AIが深層学習をして経験を獲得し、云々」という文を雑誌等で見たら、「AIが全く人間的な意味で学ぶことができて、コンピューターが自律的に、そこから経験則を引き出して、それを今後に活かそうとコンピューター自身が決心した」くらいのことを、多くの人は考えるでしょう。しかし、これは全くの誤解。まずコンピューターに意思はありません。さらに、深層学習は、言葉の印象から、想像をたくましくして「それは、深く正確な学習くらいの意味だろう」と勝手に思い込んでいる人は多いでしょうが、人間的な意味での「学習」ではありません、それは解析プログラムによる分析の一種です。AIが「学ぶ」「考える」「判断を下す」とはどんなことか、AIの思考構造を対戦型AIを例に紐解いていく書籍。

機械学習とは何か?

機械学習とは、素データ(集めたままの状態で、何も加工していないデータ)の背後にある何らかの規則をコンピューターが拾い上げることです。たとえば、入手した多量のデータを、あなたが多変量解析のプログラムで分析したなら(そのプログラムが計算結果を表示したら)、あなたのコンピューターは機械学習をした、ということです。なお、単に「学習した・学んだ」という意味では、以下のような場合でも、(コンピューターが)「学習した・学んだ」という表現が使われます。

①新たなデータを与えられた。

例 勝ちの局面に関するデータが多少追加されて、プログラム実行中にそのデータを参照できるようになった。

②何らかの事象により、その事象に対応するプログラムが実行された。

例1 パソコン利用者が「こくさい」と入力し、漢字変換候補一覧(1.黒彩2.国債3.国際4.穀祭、‥‥)から「国際」を選択。利用者が選択したものを変換候補表のトップに置く、というプログラムが実行されて、表が(1.国際2.黒彩3.国債4.穀祭、‥‥)と変わった。

例2 対戦型プログラムがゲームに負け、評価関数の各係数を所定のアルゴリズムに従ってランダムに多少変化させるプログラムが実行されて、評価関数がかすかに変わったーーそれで以前より強くなったかは不明であるが。

ひとえに機械学習といっても、現時点では人間的な学習とは程遠いことがわかる。入手した素データを目的毎に分析するプログラムが必要でまだ人間の手によるサポートが必要だからだ。しかし、各分野毎に異なるプログラムが用意され、様々な機械学習が行われ、それらを統合するプログラムが出来上がればいずれ、AIは人間のように考え新たに自分からデータを得るため動き出すことも可能になるかもしれない。そこに最終的な砦を築くことで、人間はAIに使われることなく有効利用することができるだろう。

たとえば人間は強いプレーヤーと10ゲームほどゲームをすれば、それから様々な教訓を得て、そのゲームにおいてかなり上達します。一方AIは、世界チャンピオンと10ゲームプレイしても、ほとんど上達しません。分析用のサンプルが10個増えただけで分析結果はほとんど同じだからです。サンプル数1万例のAIの分析結果と、1万10例とではほとんど変わりないからです。

Alpha碁のプログラムの2つの特徴

AlphaGo(の開発チーム)は、回帰分析を行って評価関数を作りました。これは任意の局面におけるコンピューターの勝つ確率(の予測値)を算出するものです。そして、AlphaGoは対局中に、探索木の末端ノードのおいて「モンテカルロ法によって計算した勝率」と「評価関数によって計算した勝率」の平均値を、末端ノードの評価値としています。

Alpha碁の学習は、Alpha碁同士の対局を繰り返し行うことで、人間の対局の棋譜を学習させる時に同時に覚えてしまう人間味ある〝ポカ〟を極力覚えさせないようにしました。

2つ目ーーこれがAlphaGoの最大の特色なのですがーーそれは、「この局面で人間はどこに打つか」を予測するプログラムを持っている点です。これは、次の一手として打つ確率が最も高い場所(とその確率)、確率が2番目に高い場所(とその確率)、確率が3番目‥‥等々の予測をするプログラムです。

Alpha碁が目指すのは確実な勝ち。末端ノード値が確率であることから、Alpha碁が安全な・確実な勝ちを狙うことがわかります。たとえば終盤で、A「ベストを尽くすことができれば9目半勝ちだけど、間違えたら負ける可能性がある(しかもかなりの確率で間違いそう)」とB「100%確実な半目勝ち」の二つの選択肢があったら迷わずBの100%確実な半目勝ちを選ぶということです。

チェスなどでも随分前に人間を超えたAIも現在、なお上達し続けています。将棋でもプロ棋士がAIに負け、もう人間はゲームでAIにゲームでは勝てないのではないかとすら思ってしまいます。運も左右する麻雀でもAIが席巻しているようだし。しかし、いくら強くてもやはり人間対人間の勝負の方が明らかなポカや神の一手など対局の局面を楽しく見ることができるのではないだろうか。ゲームなのだから。

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