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『見えない壁だって、越えられる。』小林幸一郎

視覚障害のクライミング世界チャンピオンが呟く。くじけそうになる心と闘いながらも毎日を生きることと明日への希望を失わない。チカラとユーモアにみちた言葉の数々。

見えない壁の前で

「アメリカには、全盲でエベレストをはじめとする七大陸の最高峰すべてに登頂している人がいるんだよ」 「マジ? そんな奴いる?」。友人の話に耳を疑った。その人の名はエリック・ヴァイエンマイヤー。ネットで検索すると彼のウェブサイトが見つかった。「とにかく、この人に会ってみたい」ダメ元でメールを送ると、すぐに返事が届いた。「よし! 行くしかないっ」 指定された日、コロラド州のゴールデンにあるエリックの自宅を訪ねると、柔らかな声をした大きな男が迎えてくれた。エリックと行った近くの岩場で、俺は雷が落ちたような衝撃を受ける。当時は、すでに視野の真ん中が見えなくなりはじめていたけど、エリックが登っていく姿はもちろん見ることはできた。「あり得ない!」 両目義眼で全盲のエリックは、総合的なクライミング力が求められるリード・クライミングを、これまで登ったことのないはじめてのルートでやってのけた。 「え? 全盲でオンサイトで、リードで、トップロープセット? マジで??」 ほぼ指示なしで、どうしてこんなことができるのか。十五年以上クライミングを続けてきた自分の価値観が揺さぶられた。エリックのリード・クライミングは彼の生き方そのものだった。はじめてのルートを自分の登り方で自分のやり方で登っていく。エリックは、いつか眼が見えなくなる不安を前に恐れ 戦いていた俺が向かおうとしている先に橋をかけてくれた。

障害を持った人は時に常人では考えられないようなことをやってのける。パラリンピックの選手なんていうのもその一つではなかろうか。五体満足でもあんなに早く動いたり泳いだりできないのに、脱帽としか言いようがない。この全盲のクライマーもそんな障害を持ったアスリートの一人。見えない壁を登る気分とはどんなものだろうか。

見えない壁を登りながら

大企業を辞めて起業した友人に、「不安じゃなかったんですか?」とある人が訊いた。すると、その友人は「不安じゃない人生なんてあるんですか?」と答えた。視力を失うと告知されたとき、どう生きていったらいいのかわからなくて不安だった。先が見えなくて怖かった。でも、いま俺は生きている。伝えたい、大事にしたいクライミングとともに。見える、見えないは関係なく、不安は、いつでも何をしていても、誰にでもあるものだろう。そうだ、不安なのは俺だけじゃない。だから、やってみよう。何とかなるさ。はじめなきゃ、はじまらない。

生きていれば大なり小なり不安はあるはず。未来は予測がつかないことは日々を生きていると忘れがちだけど、だんだん視力が奪われていく不安というものもそんな生きていれば誰でも持ちうる不安の一種と言えるのかもしれない。僕の場合、お金の不安から貯金を切り崩して今の自分に投資する勇気がなかなかでない。

見えない壁の向こうに

「もしも、医学が進歩して、目の病気が治せるようになったらどうしますか?」見える人の多くは、「見えるようになるなら」と、視覚障害者が飛びつくように治療を受けるはずだと考えるのではないか。それはそうだ。見えるようになりたい。しかし、考えると、「あなたは目の病気で将来失明します」と言われて十八年。いろいろと考え、悩み、工夫し、試行錯誤しながらいまの見えない自分という社会的立ち位置を見出してきた。見えるようになりたい。まだまだ見たいものがたくさんある。だけど、すぐには飛びつけない。見えるようになるには、十八年かけた時間をリセットする準備時間が必要だ。どんな言葉で、何て説明したらいいのだろう。

医学が進歩したら僕の幻聴や思考停止状態に陥る症状も治っていくだろうか。統合失調症の発症原因は様々だが、脳のメカニズムが解明されれば治療も現在の投薬治療以外にも生まれるかもしれない。

障害者は子供扱い

「どこへ行っても障害者は子ども扱い。どうして理解してくれないのかしら。まるでエイリアンよ」と、事故で両脚を失い、車いすユーザーとなった生活を振り返ってつぶやいた。あれ?これって日本で聞くような話ばかりじゃない? 「先進的な欧米の事例」ってよく耳にするけど、なーんだ。結局、現場ではまだまだ日本もアメリカも状況は一緒ってこと? 要するに、誰より当事者が意志を持ち行動しないといけないってことなんだろう。やっぱさ、待ち受けじゃ何にも変わらないってことですよね。

障害を持っていても積極的に外に出ていく受け身でない姿勢が社会に馴染んでいく上で必要なのだろう。

僕は精神障害を持っているが、この書籍を読んで、もっと外に出ていく積極性を持った方が人生楽しめるということを学ばされた。「見えない壁だって、越えられる」そう言い聞かせて、もう少し自分を奮い立たせる努力が必要だと感じた。

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