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アフリカ、東南アジア、中国の最前線を専門家の視点から切り取る

「大国」として急速に台頭し、活動をグローバルに拡大させている中国。その存在が浸透している最前線では何が起き、それがどのように語られているのか。膨らむ中国はどこへ向かおうとしているのか。アフリカや東南アジア、金門島など「中国のフロンティア」を訪ね歩いた気鋭の研究者が、それぞれの現場から「中国」を見つめなおす。

「保定村」の出現

国営企業が受注したダム建設の工事のために、ザンビアを訪れた保定村の出稼ぎ農民一一〇人が、工場終了後も中国に帰らず、ザンビアでは高価な野菜の栽培と販売を始めた。それが「保定村」の始まりだ。これらの先行者を見習って、保定市の農民たちが積極的にグループを作り、海外に移住して暮らしながら農業を中心にビジネスを始めた。二〇〇八年の時点で、海外に一万六〇〇〇人が移住し、すでに四八の「保定村」がある。そのうち、アフリカにある「保定村」は二八だ。これらの「保定村」は、いずれも移住先の国と土地借用協定を結び、警備などでも政府の強力なバックアップを受けて運営されている。現地の就職口を増やしたことで、現在のところ住民との大きな衝突は起きていない。

人口が多いの割に耕作のできる土地が案外少ない中国では、さらに多くの農民が仕事を求め海外に「保定村」を形成する例はこれからも続きそうだ。2006年以降こうした保定村がメディアにも報じられ始めたが、この保定村の言説は2003年ごろにはすでに出現し、胡錦濤政権の後半期に一気に広まったものと思われる。中国国内で仕事がない現状を海外脱出という思い切った行動で打開する。かつての日系移民コミュニティーのようなものが中国でもフロンティアを求め多人たちの間で広まったのだろう。

広州のアフリカ人街

中国で一〇〇万を超える台湾人ビジネスマンが働いているとか、あるいは上海の外国人ビジネスマンが増加の一途を辿っているとか、珠江デルタでは中国人労働者の賃金が上がったために東南アジア等からの労働者の姿が増えているとか、色々な現象が見られた。それは教育現場でも同様であり、中国の各大学に集まる外国人留学生を見れば明らかである。中国が世界に拡大していくことは、同時に中国に様々なヒトやモノ、資本が流入することをも意味したのであった。

広州市や珠江デルタ地域には、多くのアフリカ人が居住し、合法、非合法を合わせると滞在者は五万とも一〇万とも言われている。広州では、このようなアフリカ人たちがコミュニティをいくつか形成している。昨今では、不法滞在者の摘発を試みる警察の手から逃れるため、アフリカ人たちも公害などに分散しつつあるという。性別は圧倒的に男性が多く、厚生委員の多くがこの地域で生産される品物を買い付けアフリカに送付する小貿易商や運送業者である。

「人の移動」のフロンティア

世界に拡大していく中国からの「人の移動」を、中国政府がすべて管理統括できているわけではないだろう。もちろん、対象援助等の国家事業が人の移動を促すことがあるにしても、労働者が現地に居残るか否かということや、彼らがまた親戚や友人を呼び寄せていくかといったことは、必ずしも政府を介在させたものではない。これらの点は、ザンビアで農場を開いた中国人農民を扱った、第一章でも記した通りである。そして、結局、政府が関与できるのは、パスポート・ビザ発行の許認可、および出入国管理、さらには現地で事件を起こしたりした際に「保護」を加えたりすることなどに限定されよう。

中国人のフロンティアは政府の考える一歩、二歩先をゆく。逆に中国に入ってくる外国人たちについても、相手国政府はもとより、中国政府も対応に苦慮している。海外に出ていった中国人不法移民の保護と、国内の外国人不法移民問題に適切に対応することが同時に求められる政府。大国であるが故の課題が浮き彫りになっている。

メイド・イン・チャイナ問題

この雑誌には、アフリカでいかに中国製品を売り込むのかという記事も少なくない。第四号(二〇〇九年一二月)に掲載された、「中国の携帯電話をアフリカで売り抜くには何が必要か」であるとか。第五号(二〇一〇年一月)の「中国国産自動車、アフリカに食い込んで十余年」といった記事がそれに当たるだろう。興味深いのは、こうした記事で中国製品の粗悪性や、中国人商人の資質が問題にされている点だ。「しかし、我々の心を痛めるのは、中国商人の中には信義もなく、良心にもかける者がおり、アフリカで粗悪品や偽物を売り、中国の国家の名誉を傷つけ、中国のアフリカにおける貴ぶべき政治と民意のリソースをすり減らし、自動車を含む中国製品のアフリカでの販路拡大の障害となっているのだ」といった指摘がそれにあたる。

確かにブランド品のスーパーコピー品や粗悪な品を世界にばらまいているイメージがあるが、中国には他国の企業の工場もありそこではきちんとした製品が作られている。僕のMacBook Proも上海の工場から出荷されてきた。

日に日に力を増す中国だが国内外では未だ課題も多い。この書籍を読めば中国の末端がどのように動いているのかがわかります。つい外交ばかりに目がいってしまいがちですが、フロンティアという視点で見るとまた違った中国が見えてきます。

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