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「あなたも国際政治を予測できる! 最強兵器としての地政学」日本は地政学的にも大国だった

      2016/11/13

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日本が第二次世界大戦に負けたのはなぜか?敗戦の理由は「第1に、本来海洋国家である日本が、中国大陸の内乱に過剰に介入し、国力を浪費し、さらにアメリカとの戦争に突入してしまった事。第2に当時の世界の3大シー・パワーは日英米の3国であったが、日本が孤立化して、英米の2大シー・パワーを連合させてしまい、圧倒的な不利な状況へ陥った事。さらに、大陸国家ドイツや半島国家イタリアとの同盟は、距離的隔たりがあり英米と対峙するにあたりほとんど役に立たなかったこと」こうした世界情勢を地政学に基づく考え方で読み解いていく書籍。

日本は典型的なシー・パワーである

日本を中心に据える世界地図を見ていくと、イギリスのそれと類似した地政学的位置にあり、常に大陸との関係性において国家が形成・運営されなければならない運命にある事がわかる。そこで日本とイギリスを比べていくと、イギリス近海は気象条件が非常に安定していてドーバー海峡を泳いで渡れるほどフランスと近い。一方、日本の対馬海峡は南からの黒潮の支流が流れ入っており泳いで渡れるようなものではない。つまり、大陸からの侵略を受けにくいという点でイギリスより有利なのだ。

英露両国の覇権争いにいち早く気付いた橋本左内

19世紀後半、ユーラシア大陸支配に向け2つの帝国が東に向け侵略を開始した。イギリスは大陸周辺を支配下に置きつつ東進。ロシアは大陸のど真ん中を東進した。19世紀中頃、両帝国の力は極東の日本列島に向かって交錯しようとしていた。幕府でこれにいち早く気付いたのが福井藩士・橋本左内(1834〜1859)である。当時の佐内はこう言っている。

「やがて日本はロシアと組んでイギリスと戦うか、イギリスと組んでロシアと戦うかの二者択一を迫られる」「しかしいずれの選択をするにしろ、その時日本は近代的な統一国家となっていなければならない」

左内は1858年、安政の大獄で26歳の若さで刑死しているが、50年後の日露戦争を予見していたのである。

満州までが日本の限界だった

日本は満州国までで大陸への関与をやめるべきであった。歴史に「もし」はありえないと言っていてはダメである。多くの「もし」を発して、仮説を検証しつつ、大いに歴史から学ぶべきなのだ。大陸関与政策を拡大した結果の、その後のチャイナ内戦へに関与と対米英戦争は、シー・パワーの限界をはるかに超えていた。

孫文も満州の統治に関しては、初期は日本に任せると約束していた。しかし、それは中国大陸において清朝を再興させないための方便であった。その意向ににのって満州国が建国されたのである。ここで止めておけばよかったのだが、結局日本は、英米についた蒋介石を深追いして大陸内部に踏み込み内戦の泥沼へ。

アメリカにはユーラシアへのジャンピングボードが必要

北アメリカ大陸を島と考えると、ユーラシア大陸(アジア)へのジャンピングボードとしての日本、ユーラシア大陸(ヨーロッパ)への足がかりとしてのイギリスが必要。いかにアメリカの空軍、海軍が強力でもユーラシア大陸へは距離がありすぎる。覇権国家アメリカという立場をとり続けるには日本とイギリスのようなジャンピングボードが必要。これがアメリカの世界戦略である。

ベトナム戦争と朝鮮戦争の地政学

冷戦を自由主義と共産主義との対立とみるのは皮相的な見方で、むしろシーパワー(シー・アンド・エア・パワー)のアメリカと、ランド・パワーのソ連の世界覇権争奪戦と見た方がより現実的である。

大陸から北ベトナム、北朝鮮、南シナ海へと影響を及ぼすランド・パワーのソ連と中国に対し、海洋から南ベトナム、韓国、南シナ海に展開するアメリカ。現在に至っては、アメリカと中国によるNew World Warの戦場は南シナ海となっている。そんな中、韓国は北朝鮮側のルートを封じられ事実上島国となりこれもシー・パワーにならざるを得ないわけで、同じシー・パワーの日本やアメリカと仲良くやっていくのが必然というのが、地政学上の考え方だ。

ランド・パワー、中国を抑え込む日本と台湾

台湾を中国に獲られれば、東シナ海、南シナ海という二つの海を獲られてしまう。日本やアメリカは台湾と同じ覚悟で台湾を守らなくてはならない。後背地=補給基地としての日米なしでは、台湾を中国から守ることはできない。できれば、ロシアが中国の後ろから牽制してくれると日米の擁する台湾の防衛はもっと楽になるだろう。

ISはなぜ出てきたのか

低開発国では、国家唯一の近代組織が軍というケースがしばしばある。近代兵器がないと軍隊は成立しないので、必然的に軍人というのは近代主義者である。その軍人が中心となって社会を近代化しなければならないという思考から、特に低開発国で軍中心の国家社会主義というものが生まれてくる。

現在のイスラム諸国では近代的な大衆民主政治などもやったこともないことから、近代化(西洋化)そのものを拒否する「イスラム過激派」が出てくる。そして、多数決だけが民主政治かというとそうでもない。エジプトのようにイスラム原理主義が勝ってしまうケースもあるからだ。結局、イスラム原理主義派の独裁か、軍の独裁に戻るのか、それがダメなら無政府状態なのか。そんななか合間を縫って出てきたのが、「IS」であり、完全に復古的なカリフ(教父)独裁政治を実践している。

地政学で日本を見てみると、国土の広さは世界61位だが、領海+排他的経済水域は世界6位。まさにシー・パワー大国と言えるだろう。経済だけでなく地政学的にも大国と言える日本。世界における役割を意識しつつ政治や経済、日々のニュースに目を向けていきたい。

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