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MIT マサチューセッツ工科大学 音楽の授業 ~世界最高峰の「創造する力」の伸ばし方|菅野恵理子

世界に新しい風を起こし続ける人材を輩出しているマサチューセッツ工科大学(MIT)。工科大学の名の通り、科学・テクノロジー・工学・数学、いわゆるSTEM(Science, Technology, Engineering, and Mathematics)を重視している。その一方、人文学や芸術科目にも力を入れていて、中でも人気が高いのが、約4割の学生が履修する音楽科目だ。そこに注目した書籍。

人間を知る・感じる

1960年代に世界中を熱狂させた英国のロックバンド、ザ・ビートルズ。  この「ザ・ビートルズ」クラスでは、毎週2回の授業でビートルズのアルバムを1枚ずつ取り上げながら、その音楽的・歴史的足跡を検証し、楽曲分析を通してビートルズの音楽的特徴やその後世に与えた影響などを読み解いていく。またビートルズ結成前のメンバーたちの動向(クオリーメン、ビートルマニア)についても触れる。

さらには ビートルズが仲間同士で刺激や影響を与え合ったように、このクラスでもグループ・ラーニング、グループ・プレゼンテーションなどを通して、仲間から学ぶということを体感してもらう。

担当講師はテレサ・ネフ先生。「西洋音楽史入門」も担当するネフ先生はいつも落ち着いた朗らかな語り口で、授業外の時間にも教授室前で学生の相談に乗る姿がよく見られた。

使用教材はHunter Davies 〝The Beatles〟。

クラスはどのように進められるのか

■ 3つを同時観察~音楽・歌詞・映像の関連性

この日取り上げた作品は、「ペニー・レイン」「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」「マジカル・ミステリー・ツアー」「イエロー・サブマリン」「オール・トゥゲザー・ナウ」。

まず「ペニー・レイン」の楽曲分析をしながら、音楽・歌詞・映像の関連性を読み解いていった。

どのような和声進行なのか。

AからBセクションへの移行がなぜこれほど洗練されているのか。

音楽・歌詞・映像はどのように関連し合っているのか。

どの和音にテンションを感じるか。そのとき映像はどうなっているのか。

リズムと映像の切り替えはどう連動しているのか。

ノスタルジーを感じさせるのは音楽・映像それぞれにどんな要因があるのか。

なぜ彼らは白馬に乗った 18 世紀風の警部(サージェント・ペパー)の格好で郊外でお茶を飲んでいるのか。これは後年リリースされた『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に影響を与えたのか。

ペニー・レインを歩くジョン・レノンのカットの意味は?

……などなど、さまざまなポイントが学生または先生から指摘された。

ビートルズファンが多いのか、クラスはとても和気藹々とした雰囲気で、皆楽しんでいる様子。その中で、音楽や映像をよく観察して、的確な意見を発表していた。

またこの曲と両A面でリリースされた「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」は、前者がノスタルジックであるのに対し、超現実的な雰囲気のある曲。その和声進行分析や、この楽曲で使われたメロトロンという当時最先端の楽器について、そのメカニズムを解説した映像が紹介された。

ペニー・レイン僕が知ったのは映画「あの頃ペニー・レインと」という映画でだ。ロックスターとグルーピーの女の子、その女の子に恋するキッズライターを題材にした作品だ。音楽が好きならきっと楽しめるはず。音楽の授業で若者の心を掴むのは案外簡単で人気なのもわかる。楽曲を通してイノベーションの起こし方を学ぶわけだ。

映画音楽

「MITでは1985年から映画音楽を教えています。1980年代初頭といえば『スター・ウォーズ』、それから 30 年以上経った今ではテクノロジーも進化し、音楽も変わりましたね。

この授業では、ディズニーの短編映画『シリー・シンフォニー』『バンビ』、ピクサー映画『カールじいさんの空飛ぶ家』『ウォーリー』、ジブリ映画『もののけ姫』 のケーススタディを行っています。どれもMIT学生に大変人気がありますよ。パスワード入力が必要な特設サイトで鑑賞してもらいます。

ボストン市内にある映画館では、月に1~2回ジブリ映画フェスティバルを行っていますので、先週学生たちを連れて『もののけ姫』を見てきました。

エッセイ課題は、『バンビ』『カールじいさんの空飛ぶ家』『ウォーリー』から2作品を選び、考察してもらいました。最終課題では8つの選択肢から選び、2作品を比較考察してもらいます」 「西洋音楽史入門」クラスで、「過去の作曲家に手紙を書く」という課題を考えた先生らしい、真剣ながらどこか遊び心を感じる授業だ。

1970年代当時、まだ研究者がいなかった「サイレント映画」の分野に飛び込み、あらゆる本や資料を読み、幾多の映画・映像を見て、自らもサイレント映画上演時に生演奏し、それを機に全米公共放送アーカイブによる映画作品保存プロジェクトの音楽編集に関わるようになったマークス先生。

その情熱の源は子どもの頃から変わらぬ、「映画が好き」という気持ちである。 「問い」というのはつまり、「もっと知りたい」「もっと知ってほしい」という知的好奇心なのだ。それが量から質へ転換するのである。

良い映画というのは総じてその音楽も注目される。それだけ映画を構成する要素として重要な音楽。ディズニーやジブリ映画を通して授業を行うのだがこれが人気。我々の身近なところから音楽を考察。MITの学生にも人気の授業を解説。

音楽は人々に寄り添い長いこと人類の文化であり続けている。それを学ぶことは創作活動やアイデアの創出のプロセスを学ぶのにもってこい。クリエイターに必須なスキルを身につけるためにもこうした授業が人気なのもわかる気がする。

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