部下やフォロワーを動かすリーダーの行動、情熱やインスピレーションの源泉、自分の「WHY」を発見。1日をやる気あふれるものにするため!
WHYを発見
私が興味を引かれるのは、人が生計を立てるために「何を」しているかではなく、「なぜ」その仕事をしているか、という点なのです。スティーブに「その鉄のコストはいくらですか」「優良クライアントはどんな企業ですか」とは聞きませんでした。私は彼に向かってこう聞きました。「So What?(それで?)」
「ええと、それはですね」スティーブは質問の意味がわからずに口ごもってしまいました。そこで私は、別の聞き方をしました。「あなたが販売している鉄は純度が非常に高いということはわかりました。その鉄から生産される部品は軽くなり、機械の効率性が上がることもわかりました。でも、それがどうしたというのですか?」
スティーブがまた短い間言いよどみ、そして勢いよく答えました。「それほど多くの材料を使う必要がないのです」。
近づいてきたようです。私はもうひと押ししました。
「では、それによって何が変わるのですか?」。一瞬、スティーブは崩れ落ちるかのように見えました。彼は、ただ雑談がしたかっただけでしょう。ところが、これから3時間、私の奇妙な質問にはまり込んでしまうのです。そうなっても我々は話し続け、私はスティーブ自身が答えを見つけられるよう手を貸しました。
その結果、純度の高い鉄は純度の低い鉄と比較し、より少ない原料で作ることができるものの強度は変わらないことがわかりました。原料が少ないということは、製錬(鉱石から金属を取り出すプロセス)も少なくてよいので、鉄の生産過程で使われるエネルギーも少なくてすみ、環境汚染も軽減されるのです。その鉄を使って車などの機械類を生産する際、この利点が相乗効果を生みます。たとえば車の場合、軽量化すると燃料が少なくてすみ、大気汚染を減らすことができる。また、それだけでなく、高純度の鉄はほかの類よりもリサイクルしやすくなります。これは実におもしろい……と思ったのですが、スティーブがなぜこんなにも仕事に情熱を傾けているのか、という理由まではたどり着いてはいませんでした。
「燃料の節約と汚染の緩和というのは素晴らしいことです」私は言いました。「ただ、23年間もこの仕事を続けてきたからには、この仕事にもっと何かがあるはずです」「情熱を持ち続けるにはもっと何かがあるはずで、心から信じていることがあるはずです」と私は彼にせっつきました。そしてそれは起きたのです。ついに初めて、スティーブの目が輝きました。続いて、彼の感情があふれてきました。
スティーブは、自分の子どもとその後の世代のために、地球を健全に保ちたいと熱心に取り組んでおり、その1つの方法が、地球の資源をもっと節度をもって使用することでした。彼が鉄について話していたときはこの点にまったく触れませんでしたが、その情熱があるからこそ、飛行機で見知らぬ人にまで高純度の鉄に関するさまざまなことを話したいと思ったのでした。
私は、彼のセールストークを言い直してよいか、許可をもらいました。「簡潔に言うと」私はスティーブになった気持ちになって話し始めました。「私は、人類のために天然資源を使うべきだと思っています。同時に、子どもたちに安全で健全な地球を残すため、節度をもって天然資源を使うべきだと考えています。
これが私のエンジニアになった理由であり、この会社に入社した理由です。サステナビリティに力を入れる国スウェーデンに本社を置く当社は、エンジニアたちが、より軽量で、より効率的、より地球にやさしい製品を作る方法を開発してきました。そして、当社独自のサステナビリティの方法が軽量の鉄だったのです」。
「ありがとうございます」とスティーブは笑顔で言ってくれました。「仕事が大好きな理由を、あなたが今まさに言葉にしてくれました」。
「なぜ彼がこの仕事を愛しているか」を、私がシンプルに語ったことで、20年以上も情熱を注いでいたものの本質に彼は気づくことができました。「彼を鼓舞している何か」とは「なぜ彼が仕事をしているか」なのです。仕事と目的意識とが繋がることで、スティーブは、彼自身のWHYを発見したのです。
人を動かす「WHY」。あなたとチームを強くするメソッド。
よい質問をするためのアドバイス
・決まった回答のない質問をする
最上の質問は「はい」や「いいえ」で答えられない質問です。話し手は、より詳細な情報を伝えることになります。私たちはワークショップでよく参加者が、「それは腹立たしかったでしょうね」などという質問をするのを耳にします。この質問は、3つの理由で役に立ちません。
「はい」か「いいえ」で回答できること。話し手がどう回答するか想定していること。そして、証言を誘導しているという3つの理由です。
制約のない回答を促されれば、話し手はあなたの助けがなくては、異なる答え方をしてしまうと訴えるかもしれません。しかし、このプロセスは、「あなた個人が想像する誰か」ではなく、「話し手が誰であるか」の核心に迫るためのものであることを忘れないでください。証言を誘導するかわりに、「どのような気持ちになったか教えてください」などと尋ねてみましょう。
・「なぜ」の質問を避ける
皮肉なことに、その質問に答えることは難しいのです。たとえば「なぜ、そのストーリーがあなたにとって大切なのですか?」と聞くのは、脳の、言語を司っていない部分を刺激します。
むしろ、「何」を尋ねる質問の方が簡単です。たとえば「そのストーリーの中であなたにとって大切な部分は何ですか?」のように。これは根本的には同じ質問ですが、より回答しやすい尋ね方になります。話し手に、ストーリーの中の意味ある部分に集中して回答させることで、「なぜ」という質問への回答も提供されます。両方試してみてください。実際にどういう意味かがわかるはずです。
・黙って座る
質問をした後、相手が回答に困っていると感じた場合、何もしないこと。沈黙を埋める手助けをしたいと思うかもしれませんが、ぐっとこらえましょう。
質問力を鍛えると対人関係でうまくやるスキルとして成り立つ。相手から色々な回答を引き出すことができればその人物の人となりもわかるというものです。
人の人生をストーリー仕立てで考えると面白い。そのストーリーに必要な要素は何か考えたりすれば人生の意味のようなものを導き出すことも可能に。
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