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65歳 何もしない勇気|樋口裕一|満ち足りた老後を送るために必要なのは「もうやーめた」?

65歳、自由で幸せな後半生への招待状。我慢しない、無理しない、気を使わない。楽しいことだけして生きていく宣言!〇〇しなきゃいけないという世の中へのアンチテーゼ。

徒党を組まなくていい

威を借りれば縛られる

永井荷風が五十代のころに書いた代表作『 濹東綺譚』は、小説家と人情味のある 娼婦 との交流を描いた作品です。その最後に、ストーリーとは関係のない「作後贅言」が付されています。

亡き友人の思い出やカフェの今昔などが書かれていますが、そこに、「わたくしは元来その習癖よりして党を結び群をなし、 其威 を借りて事をなすことを欲しない。むしろ 之 を 怯 となして 排 けている」と語られています。

徒党を組まず、人の威を借りて何かをすることを恐れる。つまり、組織に所属しないで、誰かの権威に頼ったりしないということです。これは荷風の生涯の根本にあった考え方でしょう。

そして、このような考えがあるからこそ、老後、荷風はしがらみを断って、「しなければならない」を捨てることができたのでしょう。他者に対して、その人のために何かを「しなければならない」と考えるということは、つきつめれば、力の強い人の信頼を得て、その人の威を借りよう、徒党を組んでともに利益を得ようとすることにつながります。

誰でも、若い間は、組織に所属せざるを得ない場合が多いでしょう。将来がありますので、権威の力を借りる必要もあります。我慢をして、「しなくてはいけない」ことを精力的にこなさざるを得ない時もあるでしょう。しかし、高齢になった私たちは、組織に属さなくなったのですから、そろそろもっと自由になっていいのです。

もはや、これまで会社で仕事をしていた人も、組織がバックになってくれることなどありません。近々訪れる死の時には、もちろん、徒党を組むことなんてできません。組織から離れて一人になったら、考えてみると、「しなければならないこと」など、ほとんどないのです。

しなければならないという縛りに翻弄されると人生は窮屈になります。どんなことをしても自分の行動に責任さえ取れればOKというスタンスで生きていきましょう。随分と生きるのが楽になりますよ。学校教育という横並びな教育を受けてきた日本人は融通が効かない頭になりがちなのかも。

自分を大事にしていい

人と交わり、人を愛する

自分への愛情の培い方のもう一つは、自分の身体を大事にすることでしょう。けがをしないように、病気にならないように、ふだんから気をつかい、ケアをきちんとするうちに、自分に対する愛情は高まっていきます。

最も大きな悲しみ、最も大きな孤独というのは、「自分は誰からも愛されていない」と思うことでしょう。紹介したドリス・レッシングの小説『夕映えの道』のモーディーが自暴自棄の生活を送っていたのも、家族と生き別れになってしまい、誰からも愛されていないという思いがあったからでしょう。

そんな思いを歌う、切なくも絶望的な歌が、同じ一八一三年に生まれたイタリアとドイツを代表する二人の大オペラ作曲家によって作られています。一つはヴェルディのオペラ『ドン・カルロ』の第三幕、老いたフィリッポ二世が、若き妻が自分の息子であるドン・カルロを愛しており、自分が愛されていないことに気づいて 愕然 として歌うアリアです。冷え冷えとした孤独感が伝わってきます。

もう一つは、ワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』の第二幕。妻イゾルデと愛する 甥 トリスタンの 逢い引きの現場を目にしたマルケ王が長い嘆きの歌を歌います。これもまた激しい孤独が伝わってきます。これらの場面に差し掛かるたびに、私は痛々しい気持ちになり、孤独感を強く感じ、「このような思いだけはしたくない」と強く思います。

しかし、高齢になり、人と交際しなくなり、知人や友人、家族と離れてしまうと、孤独にさいなまれる状況に陥りかねません。そうならないように、今のうちにできるだけ愛する人、愛し合える人をつくっておきたいと思っています。  もちろん、必ずしも同居する必要はありませんし、近くにいる必要もありません。

自分のケアは大事。特に心のケアは大事です。心はストレスが過度にかかると誰でも壊れるものということを覚えておいてほしい。頑張りすぎは良くありません。限界まで頑張ると限界を見誤ってそれを超えてしまう事例は案外多い。早めの休息を!!

自分の好きなことだけやって生きていくのは自衛手段の一つでもある。世の中の常識などは忘れて自由に生きましょう。

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