３００人の達人研究からわかった上達の原則｜北村勝朗｜51Blog

３００人の達人研究からわかった上達の原則｜北村勝朗｜質の高い練習とやる気を無理なく持続させる“コツ”

2022年2月18日

英会話、Excel、営業トーク、ピアノやギターなどの楽器、スポーツもあなたは絶対上手くなる！才能に関する研究を続けてきた東北大学教授が15年かけて見出した質の高い練習とやる気を無理なく持続させる“コツ”。

上達のポイント

上達のポイントは「発想、仕掛け、やり方」にある。これが本書のメッセージだ。

反対に、上達を妨げているもの、それは「素質やセンスがないから」という理由で努力をやめてしまう誤った考え方と行動だ。

ビジネス、音楽、スポーツなど、私たちは日々、さまざまな領域で、何かを学び少しずつ上手になっていく。それがすごく早く上達する人もいれば、なかなか上達しない人もいる。上達して並外れた力を発揮している人たちとそうでない人たちとの違いは、実は、それぞれの人の中にある潜在的な可能性を生かしきれているかどうかの違いにすぎないのだ。

では、どのようにすればその可能性を顕在化し、日々の生活や仕事の中で発揮できるのか。本書はまさにそのコツについて、紹介することを目指している。

スポーツにしろ、音楽にしろ、語学にしろ、上達している人はどこが違うのだろう。才能か、努力か、指導者か、あるいは、そのすべてだろうか。

私はこれまで、こうした疑問をもって、国内外で高い評価を得ている３００人以上のスポーツ選手や指導者、音楽家、研究者、実業家らにインタビューを重ねながら、「才能」や「上達」について研究してきた。 15 年以上にわたるその研究から、どのような結論が導かれたのか。それは、次のようなものである。

１　上達を目指すうえで、素質やセンス以上に重要な要素がある。

２　それは上達のコツを知って、それを身につけることである。

３　指導者や親、上司など周囲を巻き込むことが上達の早道である。

４　上達の方法は一つではない。多様な状況に対応して柔軟に考える。

上達のポイントというのはこれといった正解は存在しないように思う。ある人の成功体験が別の人にとって最良であるとは限らないのだ。なので、何パターンか必勝法というのを用意しておくことが大事。そんな上達に関するポイントが詰まった書籍なので隅々まで読み込んで欲しい。きっと今のあなたにあった上達方法に出会えるはず。

職場の雰囲気を変える

最後のポイントとしてあげるのは職場の雰囲気づくりだ。一人で実行するのは難しいだろうが、部下や後輩が「自分ならできそうだ」という自己効力感や有能性をもつようになるために、やる気が出るような空気に変えていきたい。

埼玉県立和光国際高校の化学教師の森山俊博さんは、子供の能力を引き出すため、教室の雰囲気を非常に重視する。

「まわりの子供が、その子のがんばりを認めてくれる環境でないと、やりたくても実はまわりの目を気にしてできないというのがあるんですね。自分でがんばる、努力することでだんだん花開く部分もあると思うし、好きになっていくことがあると思うんです。だからこそ、まわりがそれを認めてあげることがすごく大切なんですよね」

これは教育現場の話だが、ビジネスシーンでも共通しているのではないか。日本人は集団から飛び抜けて目立つことを極端に嫌う。「ＫＹ」という言葉が象徴しているように、過度に空気を読む態度が私たちからチャレンジ精神を奪っている。

私はブラジルの名門サッカークラブ、パルメイラスの練習風景を見て驚いたことがある。「なんでお前はあそこにパスしたんだ」と監督やコーチが言えば、選手も「こういう状況を見て、こう考えたからパスしたんだ」と負けずに言い返す。ワンプレーをめぐって、監督やコーチと選手が互いに思っていることをぶつけあうのだ。

自己効力感や有能性を持たせてやればやる気は自然とついてくるもの。仕事場の雰囲気は上達の最重要項目の一つだ。日本人は集団から飛び抜けることを嫌う傾向にあるので過度に空気を読んでしまいがち。それがリミッターとなってしまうことが現場では多々ある。リミッターは外していきましょう。その先に個性が光るステージが。

日本人の多くのタイプが構成する組織というのは良くも悪くも出る杭は打たれる風潮がある。これでは才能が開花するのを妨げてしまう。それに気づいた現場からより輝く人材が生まれるのだ。

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