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1歩ずつ、ミニマリストへ|三月京介|~重荷を手放して身軽に生きる~

物が何もない部屋でストイックに暮らしている、そんなイメージが「ミニマリスト」だろうか?興味はあるけど敬遠している人も多そうなので、ここでは「やさしいミニマリズム」を提唱。極限を追い求める必要はありません。少しずつ、快適なポイントを見つけていきましょう。

重荷を手放して身軽に生きよう

僕たちは、テレビや電車の広告、ネットの記事などから次のようなメッセージを日々受け取っています。

・これを買えば幸せになれるよ

・成功者はみんなこれを持っているよ

・流行に乗り遅れてはいけないよ

それらのモノを所有していないと、本当に幸せにはなれないのか。

いいえ、本来幸せとは誰かと比べるものではないのです。「あの人と比べたら私の方がまだマシ」「あの人みたいに高級マンションを持っていないから不幸」などと考える必要はありません。

モノを所有することでしか自己表現できないというのは、作られた価値観です。

自動車は本来、目的地に移動するための手段です。家は本来、雨風から身を守るためのものです。そこに「他人からよく見られたい」という欲が加わることで、必要以上のお金がかかってしまいます。

さらに、特定のモノを持っていないことにストレスを感じ、それを手に入れたいのに手に入らないことにストレスを感じ、手に入ったら今度は盗難や破損から守るためにストレスを感じる。まるで、一つひとつのモノが見えない糸で手足にくくりつけられていて、ズルズルと引きずりながら歩いているような気になりませんか。

「モノの増加と幸せの増加は比例する」という前提で発信されている広告は多いですが、たいていの場合、モノの増加に比例するのは借金の額だけで、必ずしも幸せは増加しません。

僕は物欲を満たすためについついYouTubeの◯月の買って良かったものランキングみたいな動画を見て買い物してしまう。おかげでクレジットカードの限度額いっぱいの買い物をすることもしばしば。洋服などでも一着持っていれば十分なダウンコートとかでも新作が出るとつい手が伸びてしまいます。以前はそんなことはなかったのですが、ネットショッピングが便利になり大抵のものはAmazonや公式のサイトで手に入るので買い物したいという欲になかなか勝てません。いらなくなったものはリサイクルショップに売るなどしていますがそれでもモノが多い。

やさしいミニマリズムとは?

僕が実践しているのは「やさしいミニマリズム」です。「やさしい」には、「優しい」と「易しい」の2つの意味があります。

極限を追う必要はなく、無理をしない「優しさ」。

そして、誰にでも一歩が踏み出せる、できるところから見直していける「易しさ」。

この両面から、ミニマリズムを取り入れてもらえればと思います。

ミニマリストは「なる」「ならない」の二択ではありません。

モノのボリュームは、音のボリュームにたとえられます。大きすぎる音量は不快ですが、まったくの無音では味気ないですね。そして、心地よいと感じる音のボリュームは人それぞれです。それと同じで、モノは多すぎると不快で少なすぎても生活が不便になります。また、快適に過ごせるモノのボリュームも人それぞれ異なるのです。

音量のバーを細やかにスライドして心地よい音量にするように、あなたにとって快適なモノのボリュームを見つけていきましょう。※章末のイラストAを参照

快適なポイントを見つけるためには、モノが私たちに与えてくれる満足度について考えてみる必要があります。モノがまったくない状態から、一定のラインまでは急激に満足度が向上します。雨風をしのげる家、体温を保てる洋服、飢えを回避できる食料が必要ないという人は少ないでしょう。

しかし、満足度の曲線は、徐々にゆるやかになっていきます。洋服が一着から二着に増えたときの喜びと、一〇〇着が一〇一着になったときの喜びでは圧倒的に前者の方が大きいはずです。

ものではないがスマホのゲーム、配信アプリの課金なんかもやりだすとキリがない。特にゲームは課金してなんぼな作りをしているため上位陣に食らいつくには年間100万円ぐらいは課金しないと話になりません。なんて効率の悪い遊び(笑)それに課金して得られるレベルアップに慣れてしまうと無課金で遊ぶ成長曲線がだるくなってきてまた課金してしまうという無限ループに。

やさしいミニマリズムで日々の無駄をやんわり排除していくことで新たな発見も。ものを増やす快感は最大値が高いところで卒業し、そこからは使う喜びの方に目を向ければものが溢れる生活から抜け出せます。

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