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貧乏国ニッポン ますます転落する国でどう生きるか|加谷珪一|政府の経済対策は諸外国と比べて貧弱

コロナの拡大で日本経済は危機に扮している。そしてそんな日本政府の経済対策は他国に比べて脆弱。国力の低下が顕に。訪日外国人の増加は日本の安いものが目当て。一体いつから日本は貧しくて「安い国」になってしまったのだろう。先進国の地位も危うい日本で、国は、個人は、何をすべきか?データで示す!

iPhone購入の負担感は世界一

日本では携帯電話の通信料金の高さが政治的なテーマとなっており、政府が事業者に対して是正を求めるという事態にまで発展しました。日本の通信会社の料金体系は不透明であり、プランが分かりにくいという問題があったのは事実ですが、国際的に見た場合、通信料金そのものは特別に高いわけではありません。

総務省の調査によると、データ容量5Gバイトのプランでは、日本の月額料金は3760円でしたが、これに対して米国は5990円、フランスは1783円、ドイツは1893円、韓国は4256円となっており、日本は高くも安くもないという状況です。

政府が極端に料金を規制しない限り、理屈上、通信料金というのは各国で大きな違いが生じることはありません。その理由は、通信会社の事業構造にあります。  通信会社というのは典型的な設備産業となっており、事業者のコストの多くは通信機器などの設備投資や回線の運用費なので、人件費はほとんど業績に関係しません。通信会社が保有する通信機器は世界中のどこで買ってもほぼ同じ価格ですから、一定以上のインフラが整備されている国であれば、コスト的な違いが生じにくいのです。

実際、総務省の調査結果はそれを裏付けるものとなっています。

ではなぜ日本では携帯電話の料金の高さが問題になるのでしょうか。最大の理由は本書のテーマである日本の「安さ」です。

先ほどから日本の価格が安くなったという事例を紹介してきましたが、商品やサービスの中には、国内事情とは関係なくグローバルな市場環境で価格が一方的に決まってしまうものも少なくありません。国内の所得が低く、物価が安く推移している場合には、こうしたグローバルな商品やサービスの価格は相対的に高く感じてしまいます。通信料金はそうした価格のひとつなのです。

僕も最近iPhoneを新しいのに買い替えたのだが円安の影響もあり前回購入した4年前より負担額は増している。そこそこのスペックのパソコンがかえる値段ってどうなんだろうと思ったり(笑)若い世代のようにヘビーにスマホを使うわけでもないのにこの値段はちょっと。せめて持っているパソコンの半額ぐらいにしていただきたい。

海外は物価以上に賃金も上昇している

結局のところ日本は競争力の低下から十分な賃金が支払えない状況となっており、それがあらゆる問題の源泉になっていることが分かります。

では日本の賃金はどれほど安いのでしょうか。

各国で仕事内容があまり変わらないIT分野で比較すると、米国におけるIT人材の平均年収は約1200万円と日本の2倍もあります。日本とインドのIT人材の平均年収はほぼ同じですが、インドという国が米国から見てどのような国であるのかということについて理解しておく必要があります。

インドは、全体的にはまだまだ貧しい国ですが、一部の人は高い教育を受けており、ソフトウェア産業が盛んです。インドの中ではIT人材はかなりの高給取りという部類に入りますが、それでも米国から見ると、同じ水準のIT人材を半額の年収で雇えるのです。

このため近年は、米国におけるIT開発の多くがコスト削減を目的にインド企業に流れており、一時は米国人のエンジニアが職を失うという問題すら発生していました。つまり、IT人材を600万円で雇えるというのは、豊かな先進国から見ると、破格の条件と映るのですが、日本は見事にその条件に合致しているのです。

幸か不幸か、日本人は英語が苦手ですし、国内は深刻な人手不足ですから、日本のIT産業はコストダウンを目的としたアウトソーシングの対象にはなっていませんが、賃金水準から見れば、日本はまさに下請けにピッタリの国といってよいでしょう。

日本では、長時間残業に代表されるように、職場の環境が劣悪であることが大きな問題となっていますが、実はこの話も最終的にはすべて賃金の問題に行き着くことになります。

日本の企業は業績が良いにもかかわらず内部留保を溜め込み過ぎ。これは日本人特有の貯蓄率の高さと連動しているかのようで、これから若者のように貯蓄から投資へというシフトが済んだらその若者たちが経営者になる頃には内部留保も減るのではと思っている。

貧乏国日本というほどではないと思うが、ここ最近の日本の経済事情を踏まえて、これからの不安要素を一つ一つ指摘。我が国の憂いを感じながら。

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