裁判官の放ったダジャレあり、ツッコミあり、説教ありのお言葉集。法廷での個性あふれるその言葉を集めた面白い試みの語録集。これを読めば裁判員になるのも待ち遠しくなるかも?
死刑か無期か?
死刑はやむを得ないが、私としては、君には出来るだけ長く生きていてもらいたい。
群馬県前橋市で深夜に発生した「スナック乱射事件」で、4人を射殺した暴力団幹部の被告人に、求刑どおりの死刑判決を言い渡して。
前橋地裁 久 我 泰 博 裁判長
当時 53 歳 2005.3. 28[説諭]
一見すると矛盾、その真意は…… 抗争相手である組長の殺害を命じられ、スナックで歓談中だった「標的」に銃口を向けた被告人。ただ、あまりの興奮で通常の判断力を失ったのか、現場であるスナック店内だけでなく、なぜか入り口の外へ向けても発砲しています。この「乱射事件」で、何の関わりもない庶民の人生が、理不尽な形で奪われる結果となりました。さらに理不尽なことに、標的となったはずの組長は、一命を取り留めています。
そういう裏の世界に身を置くことでしか生きられない人たちもいるのでしょうが、「カタギに迷惑をかけるヤツは、やくざの風上にも置けない」という掟があるともいいます。庶民が狙われるような暴力団抗争は単なるテロ。まったく弁解の余地はありません。
それにしても、「暴力団に特有の人命軽視の論理」と非難し極刑を言い渡しながら、「長く生きてほしい」とはどういう意味なのでしょうか。矛盾した発言のようにも思えますが、この後、説諭はまだ続いたのです。「遺族に謝罪を続けていってください」と。
僕も軽々しく死刑にするのは反対。死刑執行して仕舞えばそれで償ったことになるのが納得いかない。強制労働でもなんでもさせて一生償ってほしい。こんな意見を言うと被告の人権がどうだとか言う議論になりそうだが、被害者の心情を汲んだ判決になるべきだ。
あんた、いいかげんにしなさいよ
刑務所に入りたいのなら、放火のような重大な犯罪でなくて、窃盗とか他にも……。 捕まって刑務所に入ることを志願して、国の重要文化財である神社の拝殿に火をつけ、非現住建造物放火の罪に問われた男に対して。
静岡地裁 某 陪席裁判官 1993.3. 10[質問]
裁判官が犯罪を指南?
上げ膳据え膳で、健康に配慮された食事が出てくるし、雨露をしのげる寝床もあり、医療費はタダ。生きにくい現代社会の中で、刑務所は考えようによってはパラダイスです。
刑事裁判を傍聴していると、「刑務所に入りたかったから」という弁解は、まったく珍しくありません。2006年8月には、茨城県のとある警察署に、あいついで2人の「服役志願者」が自首してきました。互いに面識も何もないのに、わずか 30 分差で偶然かぶってしまったのです。しかも「腹が減っていたので、捕まって食事をとりたかった」と、言い訳まで一致していたそうな。
そういった人たちは、犯罪そのものに切実な動機はなく、思いはその先にあるパラダイスに向かっていますから、それほど大ごとを起こしたりしないものです。もちろん、軽微な犯罪であっても、直接被害を受けた方々にとっては、たまったものではありませんが。
本件は、そういった服役志願者の行動パターンから外れていたために、裁判官もつい犯罪を勧めるかのような発言に至ってしまったのでしょう。裁判長も思わず「そう言いたくもなる」とフォローしたそうで、無理もありません。
なお、陪席裁判官については、「 コラム 陪席裁判官」で説明しています。
犯罪を犯せば刑務所に入っておまんまが食える。そんな幼稚な発想から重篤な犯罪を犯した被告に対するお言葉。どうせ捕まるなら窃盗等でという犯罪を助長する物言いに裁判官も人間なんだと思ったが、生活保護とかセーフティーネットって犯罪を犯すと使えなくなるんですかね?その辺詳しくないのでわかりませんが、犯罪以外で更生する方法、社会復帰する方法を指南するのが普通かと。
裁判官といえども人の子。たまにはちょっとやっちまった発言があるのも頷ける。本心から得た言葉は冷徹なイメージとは裏腹に笑える要素も。そんな裁判官のお言葉集。
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