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結局、勝ち続けるアメリカ経済 一人負けする中国経済|武者陵司|新技術や新ビジネス・モデルも、結局、アメリカでしか生まれない

サイバー空間という新たな大陸を制して勢いに乗るアメリカ。優秀なインド人がアメリカを目指すようになり新技術や新しいビジネスも生まれるのはやはりアメリカ。一方、世界の工場と化した中国は最後のワンパンをもらいバブル崩壊の憂き目にあう。そんなシナリオを披露。

アメリカが獲得した「第七大陸」

「イノベーション理論」で有名な経済学者、ヨーゼフ・シュンペーターは、「銀行家は新結合を可能とする経済の指揮者である」と述べ、「銀行による融資がイノベーションを起こし、未来社会の青写真を描く」と主張しています。が、銀行の融資ポートフォリオが資本配分を決めていたのは過去の話。現在のアメリカでは、株式市場が時価総額構成の大幅な変化を通して、将来の青写真を作っているのです。

これは、アメリカが健全な価値創造力を有していることの、何よりの証拠でしょう。そして、新たに生み出された価値が世の中全体に受け入れられ、そこに新しい市場が作られ、より大きな市場価値に育っていくのです。

この部分がピカピカであれば、実体経済や政治は放っておいてもきちんとワークします。クリントン大統領の八年間、モニカ・ルインスキー事件によって 弾劾 裁判にかけられたこともありましたが、それでも実体経済はきちんと回りました。

このような見方をすると、中国経済がなぜ厳しいのか、その理由が分かります。確かに、表向きは共産党一党独裁のもと、強い政治力によって国全体がまとまっているかのように見えますが、中国企業には健全な価値創造力がありません。つまり、国を支える基盤が極めて脆弱なのです。

市場が生まれる原理に沿ってその果実を我が物にしてきたアメリカ。価値創造力がものを言う市場ではここがきちんとしていれば実体経済はついてきます。そこで中国を見てみると共産党により支配された市場はまとまってはいるものの、価値想像力に欠けるところがある。これではおこぼれをもらうことはできてもアメリカのような成功はない。

トランプノミクスの最大受益者は日本

日本にとってポジティブな要素として、日本企業の収益力の復活を強調したいと思います。

二〇〇〇年ごろまでの日本経済の最大の問題は、企業収益の壊滅的悪化でした。かつての日本企業は、高い価格競争力によって世界の製造業市場を席巻しましたが、貿易摩擦や円高と、韓国、台湾、中国などの台頭により、そのプレゼンスを奪われたのです。しかし、二〇〇五年ごろから日本企業の収益は急回復し、今日では過去最高の水準に達しています。その最大の要因は、価格競争から抜け出し、技術本位、品質優位のニッチ分野に特化したからです。

それは、どのような分野なのでしょうか?

一例としてエレクトロニクスの分野を取り上げると、かつての日本は、半導体をはじめとして、あらゆるエレクトロニクス製品で圧倒的に世界の勝者でしたが、いまやほとんどのところで敗北を喫しています。日本の敗北について分析すると、負けたのは基本的にデジタルの中枢である半導体、液晶、スマートフォン、パソコンなどであり、敗因は完全に価格競争でした。

ここでプレゼンスを失った日本が、一体どこで収益を回復させているのかというと、第一はデジタルが機能するために必要なインプット部分としてのセンサー、第二がアウトプットとしてのアクチュエーター(駆動装置)の分野、そして第三がデジタルの基礎を作る素材、部品、装置です。

デジタル、あるいは半導体とは、人間でいえば頭脳です。そこでは日本は価格競争で敗れたわけですが、頭脳が機能するには、目や耳や鼻から情報を入力する必要があります。この情報入力のセンサー部分にこそ、日本の突出した強さがある。そこは自然界との接点であり、多様な技術が求められ、簡単にはまねできない分野です。スマートフォンやテレビで敗退したソニーがイメージセンサーでは圧倒的なシェアを確保し、過去最高利益を回復しつつあることなどは、その好例です。

一時は世界をリードしてきた半導体分野も今ではみる影もない日本。巻き返しを図ろうと巨額の投資をして台湾の半導体メーカの工場を誘致。慢性的半導体不足の解消に乗り出しました。新たな活路をイメージセンサーに託し次のステージへ。

アメリカと中国を引き合いに出して今後の世界経済を占う。そんな中、日本の立ち位置は?これからの日本が歩む道を照らします。アメリカのさらなる隆盛、失速する中国、日本はどうか?

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