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知らないと恥をかく世界の大問題12 世界のリーダー、決断の行方|池上 彰

中国、ロシアで独裁が強化され混沌とする中、コロナ禍で米中対立は激化。日本のとるべき行動は?世界の今を誰にでもわかりやすい解説でお届けするシリーズ第12弾。

中国GDPついにアメリカの7割超え

アジアでは、 中国の習近平国家主席の存在感がますます強まっています。

中国は、徹底した新型コロナウイルス対策で感染の封じ込めにほぼ成功しました。それゆえ経済の回復も早く、2021年1月 18 日に中国国家統計局が発表した2020年の国内総生産(GDP) は、2・3%のプラス成長と、 主要国で唯一伸び率がプラス になりました。

この名目国内総生産の数字によると、2020年、すでにアメリカの7割を超えたことがわかりました。 10 年に9%だった世界のGDPに占める割合も 17%を超え(国家統計局)、 30 年ごろにはアメリカを抜くのではないかとの予測もあります。

中国の強気な姿勢を支えているのは、 経済力の急成長を背景にした軍事力でしょう。

中国の軍事力に関して、アメリカ国防総省は「すでに一部でアメリカ軍を追い越している」と警戒しています。

超大国になり、覇権志向を 露わにする中国。しかしその一方で、 隠蔽体質はそのままです。中国は、武漢で新型肺炎患者が出たというのを自発的にいち早くWHO(世界保健機関) に報告したと言っていますが、実際はそうではありません。WHOが、中国の武漢で何かおかしなことが起きていると察知し、「何が起きているのか?」と中国当局に問い合わせをしたため、中国が渋々認めたというのが真相です。

超大国となるために軍事力を強化し続ける中国に危機感をおぼえる出来事を最近ニュースでよくみる。東シナ海での海洋進出や軍備の拡充、領海侵犯と気球での情報収集。世界のルールを守れない国が力を持つのは憂慮しなければならない。その人口のおかげで発展し続けGDPはついにアメリカの7割超え。トップになるのも時間の問題か?

人類共通の挑戦課題「感染症」

感染症は世界の歴史を大きく変えてきました。 14 世紀にヨーロッパで 蔓延 したペストは、とりわけ大きな転換点となりました。

当時は封建社会です。封建制のもとで農奴(領主に保有された奴隷のような農民) も次々とペストに感染して死んでいきました。たちまち労働力不足が発生します。封建領主たちも働いてくれる農民を確保しなければならないので、農奴の奪い合いとなります。待遇をよくしないと働いてくれません。その結果、農民の地位が相対的に上がり、労働条件も改善されていきました。報酬として農民に賃金が支払われるようになり、 ヨーロッパで貨幣経済が徐々に広まっていきます。やがてこれが資本主義経済に発展していく。 ペストの大流行は、資本主義が生まれるきっかけになった とも言えるのです。

さらに当時のヨーロッパでは、カトリック教会が絶大な力を持っていました。カトリック教会のもとで人々は清く正しく生きていかなければ天国へ行けないと信じられていました。ところがペストが広まると、教会の神父でさえ容易に死んでしまう。ペストから逃れるため、聖職者が教会から逃げ出す始末です。こうなると教会に対する信頼は一挙に崩れてしまいます。

「なんだ、神に祈りを 捧げても効果がないじゃないか。どうせ死ぬのだから、もっとのびのびと生きていることを楽しもう!」と、やがてルネサンスの文化が花開くことになるのです。カトリックの重圧から逃れる、人間の〝解放運動〟が、ルネサンスなのですね。

宗教の信仰は自由なので否定はしないが、僕自身は信仰心がない。もっと有用な信じるべきものがあると日々感じているからだ。それは直接的に暮らしを豊かにしてくれるお金だったり、知識だったり。コーランや聖書に書いてあることを信じるのもいいが、それ以外の「現実」があるのも事実。神はあなたを救ってくれているだろうか?

コロナ禍の裏で深刻化する米中対立。覇権争いの中、日本のとるべき行動とはいかに?世界の大問題を池上さん流のわかりやすい語り口で解説してくれる書籍。

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