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知ってるつもり|西林 克彦|「問題発見力」を高める「知識システム」の作り方

知ってるつもりはなぜダメなのか?認知科学・認知心理学の知見によると、我々は手持ちの知識を使うことでしか対象を見ることができない。断片的知識だと物事のある一面しか見えていないことに。多角的な知識を得るためには複数の情報ソースから情報を得ないと。

知識の質

「知識」と「知恵」との区別と言ったことに、どうしてこだわるのかと思われたかもしれません。「知識」と「知恵」とをやたらと区別し、「知恵」を称揚して「知識」を等閑視するのが世の常識になっているようなのですが、どうもそれは疑ってかかった方がいいかもしれないということです。

クイズ番組などで「ひらめき」などに焦点を当てたものがありますが、これらの背後には柔軟な思考に対するあこがれと信奉があるように思えてなりません。そこで用いられている材料が、あまり通常の思考には関係のないものだったりすると、その思いを強くします。

思考それも柔軟な思考にあまりに力点が置かれていることに危惧の念を抱いているにすぎません。すなわち、柔軟な思考ばかりに注目して、思考の材料や思考の指針にもなる「知識」の働きを無視ないしは軽視しているのではないかと危惧しているのです。そして、「知識」に質の差があるということに気づいていない のではないかと危惧しているのです。

こう言い換えてもいいかもしれません。「知識」は「知恵」や妥当な解決の単なる材料であって、アウトプットの質にさして関係しないと思われています。しかしそうではない、大いに関係するというのがここで述べたいことです。

簡単な例として「割り算」を取り上げてみましょう。

「割り算とはどういう演算ですか?」と問うと、ほとんどの人が「分けることだ」と答えます。確かに、「 15 個の飴を5人で等しく分けました。ひとりいくつになるでしょう」といった課題であれば、 15 ÷ 5という割り算をして、ひとり3個になるという結果を得て「分ける演算だ」ということで問題はありません。

知識と知恵はなんとなく区別してきた言葉の一つかもしれません。知識とは情報量で、知恵はひらめきなどの想像力みたいな感じに捉えていました。しかしそのようなひらめき(知恵)も十分な知識なしには発動しません。そう考えるとバランスが大事かと。

少しずつ前にずれている

さて、次の「わからない」です。図5-4の(b)と(d)は太陽を挟んで反対側に位置しますから、6ヶ月ごとに食の季節になり、日食・月食が起きるのでした。この図が現実をそのまま表していれば、食の季節は毎年同じになるはずです。

ところが表5-1を見ると、食の季節が少しずつ早まっているのがわかります。これはどうしたことでしょう。太陽・地球・月の関係は基本的には図5-4でよいのですが、どうやら付け足さなければならないことがあるようです。

調べてみると、月が地球を回る公転面が 18・6年周期で歳差運動をしているのだそうです。地球が太陽を回る公転面と5度の角度を保ちながら、味噌すり運動をしているのだそうです。この運動のために、1年に約 19・6日(365・24〈日〉 ÷ 18・6〈年〉)だけ、食の季節が早まってしまうのです。

だいぶややこしい話ですから、ここからはよくわからないということで止めたいと思います。書いている当人が、この歳差運動の原因は何かなどになるとお手上げですから。それと、「わかる」は必ずどこかで止まっているものなのです。人によってその場所が違うのはもちろんなのですが。

さて、ここまで日食・月食を材料に、「わからない」を軸にして知識システムを少しずつ作る様子を見てもらいました。最終形までを一度に作り上げるのは、その付近の知識を大量に所持し、同様の知識システムを持っていたり、同様のシステムの作成経験があったりすれば別ですが、初学者や素人には困難です。ステップ・バイ・ステップで進むしかないように思います。素朴であっても理解できる範囲の自分なりのモデルや知識システムを作り、それを活用してできることを増やします。そのような活動は、その知識システムのすぐそばのわかっていないことに気づかせてくれるのです。

世の中には理解できないものが多数ある。書籍で言うとヘーゲルの『精神現象学』などがそれにあたります。なんとなく手に取ってみたものの難解すぎて理解不能。この書籍を読み解くための入門書を読んでからトライしてもダメでした。

「わからない」を抽出するために「きっちりわからなくなる」と言う異色の書籍。何はわからないのかがわかれば解決の糸口は見えてきます。

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