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生きたくなかった僕の殻が割れて森に抱かれた日|枡田智|今日、近所の公園でできる森林療法

森林療法士でマインドフルネス指導者の著者がおくる、メンタルヘルスケアの方法。長年の悩みを解決したその手法とは?具体的な方法を教えます。

右脳モードに切り替える「意識変化4つのステップ」

プロローグでご紹介したように、私は意識を右脳モードに切り替えて、長年の苦しみから脱出しました。その後、私は何人かの友人にやり方を説明し、ぜひやってみるようにすすめました。

「すごいからやってみなよ!」

しかし、同じ体験をする人はあらわれませんでした。

みんな同じ体験をするだろうと思っていたのですが、そうはいかなかったのです。

私としては、それほど難しいことをやったつもりはありませんでした。簡単にいえば「自然の中で感覚に意識を向ける」だけです。とても単純です。ところが、みんな同じ体験ができないようなのです。

しかも、友人たちができないだけでなく、自分でも体験を再現できないことがありました。同じ森に出かけていき、同じようにやっても、できないことがあるのです。

「これはいったいどういうことだろう?」

「できる時とできない時の違いはなんだろう?」

疑問に思い、何度も森に出かけていき、自分の感覚をよく観察して分析してみました。

すると、ある時わかってしまいました。右脳モードに切り替えるには、「あるコツ」があったのです。

確かに、自然が好きで、私よりずっと多く自然にふれている人は、世の中にいくらでもいます。しかし、その人たちがみんな、同じ体験ができるわけではありません。きっとそれは「あるコツ」を知らないからでしょう。

こういった話は、どうしても抽象的になってしまい、なかなか伝わりません。「自然の中で感覚を感じましょう!」だけでは、みんなできなかったのです。

しかし、私は「あるコツ」を発見したおかげで、かなり具体的にやり方を教えられるようになりました。

すると、私と同じ体験をする人が、どんどん出てきたのです。

「世界の見え方が変わった!」

「思考が減り、深い静けさと幸福感がわいてきた!」

「今まで思考で自分を縛っていたことに気づけた!」

そして、多くの人たちに教えていく中で、どんどん洗練されていき、最終的に4つのステップとしてまとめることができました。それがこれからお話しする「意識変化4つのステップ」です。

◆意識変化4つのステップ◆

①感覚をコントロールせず感じる

②体内感覚と体外世界の連動

③身体の透明化

④実践的自然の感じ方

簡単に概要を説明します。

【ステップ1】感覚をコントロールせず感じる

とにかく感覚をしっかり感じることが、全ての基本です。しかし、感覚を感じるにもコツがいります。そのコツを学びます。

【ステップ2】体内感覚と体外世界の連動

感覚をしっかり感じられると、自分の内側と外側の世界が連動し、つながっていることがわかってきます。それが実感できると、意識に変化が起きます。

【ステップ3】身体の透明化

右脳モードに切り替わると、面白いことに、自分の体の境界が薄くなり、自分が透明になったかのように感じられます。

【ステップ4】実践的自然の感じ方

最後に、実際に森に行った時に、どのように森を感じていくのかを、細かい注意点も含め具体的に学びます。

この4つのステップをしっかり実践していくと、イメージ的には次の図のような変化が起こります。ビフォーの固く閉じた状態から、アフターの広く開いた状態に変化していくのです。

自然と一体化する工程。イメージ通りいつでも行えればいいのだが、マインドフルネスが苦手な方にはちょっとハードルが高いかも。禅僧のような修行が必要。座禅を組む時のような精神の落ち着いた状態を意図的に作り出せるまでには個人差はあるが鍛錬が必要かと。

ネガティブを溶かす

広い意識でいると、ネガティブなエネルギーは広いスペースに発散されて、徐々に溶けて消えていきます。怒りや不安が起こらないというよりは、起きても消えるのが早いんです。

がんばってネガティブを消したり、ポジティブに変えたりするわけではありません。そうやってコントロールしようとすると、ネガティブなことに意識がフォーカスし、狭く固い意識に戻ってしまいます。そうなるとネガティブをがっちりとつかんでしまい、二次的な反応を繰り返し、かえってネガティブが持続してしまいます。

ネガティブなこと自体を変えようとするのではなく、 ネガティブを内に含んだままで、意識の状態を広くゆるく変えていくのです。 そうすれば、ネガティブに直接アプローチしなくても、結果的にネガティブが解消されていきます。

思考や感情の中身が大事なのではなく、それをとりまく意識の状態が大事なんです。中身がなんであっても、そのエネルギーが発散されてしまえば、楽になります。

思考の中身にこだわって、ああでもない、こうでもないといじりまわしていると、エネルギーが発散されず、かえって強まりやすいです。

みなさんも、悩み自体が解決していなくても、いつのまにか気にならなくなることってありますよね?

それは、悩みのネガティブなエネルギーが、意識のスペースに発散され、解消されたということです。ネガティブを消そうとがんばるより、エネルギーが発散できる意識のスペースを作ってやりましょう。

悩みは解決するだけが処方箋ではありません。認知して受け流すのもテクニックの一つ。僕の場合病気の症状で幻聴が聞こえたり思考回路が停止するのが日常になっているので、もはやこれは個性と割り切ってそれらと共存しています。幻聴は聞き流し、思考回路が停止したらしばらくそのまま何もせずに過ごす。ネガティブを溶かす方法は色々とあるものです。

自然の息吹に抱かれる森林療法であなたの心を癒します。その方法論はさまざまな応用が効き、わざわざ森林に行かなくても癒しの手法だけ借りてくることも。あなたの心をマネジメントする方法論がここに。

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