格差が広がり1億総中流時代から中流層のほとんどは下流に転落する時代へ。世界で大量発生しているこの「新下流層」の動向によって新たな経済成長が始まる。あなたが新下流層に転落しないために取るべき行動とは?21世紀のお金の基本法則。
資本主義と搾取の仕組み
ユヴァル・ノア・ハラリのベストセラー『サピエンス全史』によれば、人類が他の種の動物をおしのけて世界の頂点に立てた理由は「虚構を信じる能力」にあったそうです。
動物の中で「虚構を信じる能力」のある人類だけが組織だった大集団をつくることができました。一方で人類に遺伝子レベルとして非常に近いチンパンジーにはこの能力がない。だから集団を率いる強いボスザルの腕力に頼ることになります。そうなると集団はせいぜい数十頭までしか大きくなれません。
人類はチンパンジーとは違い、虚構を信じることができる。「神のお告げ」であるとか「王が誕生した神話」、そして「経済学における神の手」などを信じる能力があるために、直接会ったこともない人物の権威に従ったり、誰かが考えた抽象的なコンセプトを信じたりすることができるのです。そして人類は数万人、数十万人の社会を構築することができたというわけです。 『サピエンス全史』によれば、現生人類よりも脳が発達していたネアンデルタール人が絶滅したのも、ネアンデルタール人に虚構を信じる脳の力がなかったからだといいます。現生人類、つまりホモ・サピエンスが大集団を組んで行動するのに対して、少人数の集団しかつくれなかったネアンデルタール人は勢力を拡大できず、絶滅に向かったというのです。
その観点から言えば、経済の世界というのはまさに人類の「虚構を信じる能力」があったからこそ成立し発展できた世界です。
紙切れに印刷をほどこしたお札は、すべての国民が「政府が保証した紙幣である」という虚構を信じているからこそ、市中で通用します。
それと同じく、「社員」「経営者」「投資家」という異なる階級があって、会社が利益を上げた際の取り分は社員より経営者が多く、経営者よりも投資家(株主) のほうが多いのは当然であるというのも虚構です。そして世界中の人がこの虚構をドグマとして正しいことだと信じているから制度として成立しているのです。
特に日本社会では、経営者の取り分が多すぎると社会から白い眼で見られるという、アメリカにはない社会的な考え方が浸透しています。社員の年収が500万円の会社で社長の取り分が1億円だと「高すぎる」となぜか批判が起きるのです。
その一方で、会社の利益について「創業家が配当金として1億円を受け取っている」と聞いても誰もそれがおかしいとは思わないものです。これは、 投資家>経営者>従業員 というコンセプトが資本主義社会では正しいという虚構が日本でも広く共有されているから起きている現象です。
確かに虚構を信じるのは人間特有の能力。他の動物はお金に興味を示さない(とは言ったものの自販機で買い物をする猿とかはみたことがあるが)。紙切れの紙幣やデータのビットコインなんかを盲信するのは人間ぐらいのもの。上位数パーセントの経営者や投資家の取り分が多すぎると批判するのならば、まず自分がそちら側になる方法を考えるという発想の転換も必要かもしれない。例えば株を買ってみるとか。
サラリーマンのための資本論
ここで私たちにとって一番身近でかつ不都合な真実をご紹介しましょう。
日本で、ないしは世界中でも同じことですが、最大の投資家とはいったい誰のことでしょう?
ビル・ゲイツのビル&メリンダ・ゲイツ財団やウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイも投資家としての資金運用規模は大きいですが、一番身近で最大規模の投資家といえば年金です。
そこで不思議なことだと思うのですが、投資家に世界の富の半分が集中するような世の中であるにもかかわらず、私たちの年金は近い将来破綻するのではないかという議論があります。これはいったいどういうことなのでしょう。
日本の国民年金をモデルに何が起きているのかを説明しましょう。
国民年金の保険料は2018年時点で月額16340円。日本人にはこの年間約 20 万円の年金保険料を 20 歳から 60 歳まで 40 年間払う義務があります。
原則 65 歳になると逆に国民に対して年金が支払われるようになります。現在、満額の場合の年金は約 78 万円です。正確にはこれらの金額は見直され変動するのですが、一番シンプルに理解するとすれば、国民年金という仕組みは若いうちに毎年 20 万円払うと老齢になってから毎年 78 万円が支給される仕組みだという説明ができます。
厚生労働省のページを見ると、年金とは合計で811万円を支払った男性が平均寿命の 81 歳まで生きたとすれば1325万円の受給額を得ることができる「お得な仕組み」だと書いてあります。なぜ支払った保険料の総額よりも、受給額総額のほうが大きくなるのか。国民年金が、私たちが若い頃に支払った保険料を投資家として運用して「お金にお金を稼がせて」いれば当然そうなります。
では年間何%で私たちが支払った保険料を運用すれば、合計792万円の保険料が1325万円に増えるのでしょうか。若い頃、つまり 20 歳頃に支払った 20万円は長期的な運用で大きく増えますし、60歳近くで支払った20万円はそれほど増えないのですが、そういったことをエクセルできちんと計算してみると、毎年コンスタントに2%で資金を運用できれば、年金の仕組みは破綻せずに成り立つことがわかります。
僕らが払っている年金きちんと運用されていればいいが実際のところあまり期待しない方がいいかもしれません。株式での運用を始めたのはここ最近らしいし。ど素人集団だとも言われたりしていて信用ならない。なので自分のお金は自分で守るという発想を持たないとこれからは搾取される側になる。
保険や住宅ローンなど知識を持たない人から搾取する輩が跋扈する世の中。お金の知識をきちんと持っていないと新下流層に転落します。そうならないための格差論。
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