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最強の教養 不確実性超入門|田渕 直也|全ての意思決定の精度を上げる思考法

株式市場から歴史的事件まで多くの題材をカバーしつつ不確実性の根源に迫る。日々の選択から資産運用、組織戦略まで全ての意思決定の精度を上げる思考法を示した異色の教養、実用書。

事前の確率、事後の結果

株式市場では、誰も予期していなかったニュースが出るたびに、株価がランダムに揺れ動く。誤解のないように言っておくと、良いニュースが出て株価が上がるとか、その逆になるというプロセス自体は、原因があって結果が生まれる因果関係によるものとも考えられる。しかし、「予想に反したニュースが良いものとなるか悪いものとなるか」そのものは、ランダムな挙動である。

あるいは、ついうっかりコップを落としたときのことを考えてみよう。コップが落ちるスピード、高さ、床の材質、床に落ちたときにコップのどの部分がぶつかるかなどによって、コップは割れることもあるし、割れないこともある。「コップを落とした」という共通の原因があっても、結果はまちまちで予測できない。これも、ランダムな挙動といえる。このような ランダムな動きでは、原因があって結果が生まれるという因果関係は存在せず、ただ確率だけがあって、その確率に従って結果が生まれる。 このように、ランダム性を理解するためにはまず確率というものを理解することが重要になるわけだが、この確率というものが、実は厄介な代物なのである。

確率は、いうまでもなく数学や統計学におけるとても基礎的な概念である。サイコロを振って1から6までのいずれかの目が出る確率はそれぞれ六分の一であり、コイン投げで表が出る確率と裏が出る確率は二分の一ずつであることは、誰もが理解できる。 予期しないニュースが株価変動にとって良いものになるか悪いものになるかは、長い目で見れば概ね半々の確率になる。落としたコップが割れる確率は簡単には知ることができないが、やはり何らかの確率があると考えることはできるはずだ。 ここまではいい。確率の厄介なところは、 実際に結果が出てしまうと、確率が意味を持たなくなってしまうところにある。

事前の確率を考えると投資などのリターンとリスクの関係もよくわかる。過去のデータを紐解くと米国市場は概ね堅調で5〜6%の利回りで成長し続けている。期間を切り取って考えてしまうと確率的に低い暴落相場の恐怖に怯えるなんてこともあるかもしれないが、投げ売りなどしないで積み立て投資し続けたメンタルの強い人はきちんと恩恵を受けているわけだ。

小さな失敗を許容する

短期的な成功が必ずしも長期的な成功に結びつかないのであれば、単に成功するにはどうすればいいかを問うだけではなく、「 長期的に 成功するには何が必要か」という問いかけがなされなければならない。 時間軸が長くなればなるほど、予期できないとても大きな変化が起きる可能性は高くなっていく。そうした長い時間軸の中で持続的な成功を得るために第一に必要となるのは、たとえ予想外の悪いデキゴトが起きたとしても、二度と立ち直れなくなるような破滅的な損害を何としても避けることだ。 そのためには、何らかの予測、つまりひとつの仮説に基づいて始めたことがうまくいかないときには、すぐに予測の見直しを行い、必要に応じて今行っていることを取りやめたり、別の方法に変えたりしなければならない。もしそれが、短期的な成果に結びつかないものであっても、あるいは勝率を引き下げることになったとしても、失敗が大きく致命的なものになる前に、事態を自力でコントロールできるうちに、失敗を認めて出直す必要がある。つまり、 大きな失敗を避けるためには、小さな失敗を許容しなくてはならない。

多くの投資のプロは、ひとつの投資判断がうまくいかなかったならば、大きな損失を被らないように損失を早めに確定させて、傷口を広げないようにすることが投資の鉄則であると説いている。もちろん、私もまったく同感だ。 ところが、ここから先はプロがあまり教えてくれない部分なのだが、 損失を早期に確定させることを心がけると、実際には勝率が否応なしに下がってしまう のである。したがって、さまざまな投資の教科書で早期の損失確定の重要性がいくら説かれていても、一回一回の勝ち負けにこだわる人は、この鉄則をなかなか守ることができない。そして、いつの日か予期しない大きな損失を出してしまって、投資の世界から退場を余儀なくされるのである。 だから、損失を早期に確定させることを徹底しようと思えば、必然的に勝率の低下を甘受しなければならない。致命的な失敗を避けるためには、数多くの小さな失敗を受け入れる必要があるのだ。私は、この点こそが、長期間にわたって投資を続けて大きな成果を残せる人と、そうはならない人を隔てる決定的な分かれ道だと思う。

僕も投資を始めたばかりの頃は頻繁に売り買いして毎日の株式市場の動きに一喜一憂していた。しかしインディックス(S&P500)を買って積み立て、放っておくというお手軽な投資方法に出会ってから売買にかかるストレスが軽減されました。常に良い株はないか、パフォーマンスに優れた投資信託はどれかと思い悩む必要がなくなり成果も出ています。

投資やその他確率がものをいう世界で生きる人たちにおくる不確実性を超えていくための書籍。なぜ人々は確率の低い詮無いことにとらわれるのか?そのメカニズムがわかれば間違った選択を回避できます。

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