銀河の中心に必ずといっていいほど存在するブラックホール。銀河の中にはなぜブラックホールが存在してどのようにして生まれ育つのか。現代天文学が描く、宇宙の過去・現在・そして鮮烈の未来予想図。
ブラックホールの基本構造
では、シュバルツシルト半径、つまり事象の地平線を越えた先はどうなっているのだろう。重力崩壊は時空の崩壊を意味する。したがって、時空そのものはシュバルツシルト半径内に入っても縮み続けることになる。もし、その時空が球対称の空間であれば、行き着く先は決まっている。球の中心である。そこにすべての時空(物質) が落ち込んでいくことになるので、予想されることは密度が無限大になることだ。その場所を〝特異点〟と呼ぶ(図1‐6)。
物理では特異点は嫌われ者だ。球の中心は点であり、体積を持たない。密度は質量を体積で割ったものだから、当然、無限大になる。この性質で、「空間的特異点」と呼ばれる。一方、空間の曲がりも無限大になっている。したがって、時間的な意味で用いるときは「時間的特異点」と呼ばれる。問題は、果たしてそのような場所があるのかどうかということである。
答えは「特異点は存在する」ということである。これを 〝ペンローズ―ホーキングの特異点定理〟と呼ぶ。
ブラックホールの基本構造、特異点について。どうやって形成されているのかがわかると面白い。
宇宙はなぜブラックホールを造ったのか?
天の川銀河はアンドロメダ銀河と 50 億年以内に合体するが、その後も周辺の銀河集団と合体を続けるだろう。おとめ座銀河団に吸収され、すべてが合体して超巨大銀河になる可能性も極めて高い。超巨大銀河の中心には、多数の銀河の中心にあった超大質量ブラックホール同士も合体し、超・超大質量ブラックホールが育まれているだろう。
その場合、超・超大質量ブラックホールの質量は銀河1万個分ぐらいになるだろう。1015 M の質量を持つブラックホールである。その場合でも、 年も経てば、宇宙から超大質量ブラックホールはホーキング放射のために消えていく。宇宙はそのとき、「そして誰もいなくなった」状態になるだろう。
宇宙の未来では、 年を一つの目安にした。宇宙は熱的な死を迎え、ほぼ絶対零度の世界になっていると予想した。これは熱力学的に見れば自然な死である。しかし、宇宙は単純な熱的な死を迎えるわけではない。もともと物質があり、その重力が構造を造ってきた歴史を持っている。つまり、構造形成に重力が重要な役割を果たしてきたのである。そのため、宇宙の死は熱力学的な死ではなく、重力的熱力学的な死を迎えるのである。それは「グラヴォ・サーマル・カタストロフ( gravo-thermal catastrophe)」と呼ばれる現象である。その最期を飾るべく、超・超大質量ブラックホールの残骸が宇宙に散らばっているのだ。
もう、誰もそれを見ることはない。しかし、もし誰かがそれを見たら気がつくであろう。この宇宙は空っぽの宇宙だったわけではない。物質が活躍した時代があったのだ。そして、その残骸として超・超大質量ブラックホールの名残を見ることができている。華やかな時代。
それがどのようなものであったかはすぐにはわからない。しかし、それでもよいではないか。きっと美しかった宇宙がここにはあった。この宇宙は年後にもそれに気づいてほしかったのだろう。宇宙はなぜブラックホールを造ったのか? ここにきて、ようやく、その答えが見えた。
ブラックホール同士が合体しさらに超大質量のブラックホールが生まれる。そしてそんなブラックホールもやがて放射のため消えていくそんな途方もないサイクルが宇宙ではなされている。ロマンですね。空っぽになった宇宙でまた創世が起こるのはいつのことやら。
ブラックホールの性質と作られる理由について解説しながら学べるブラックホール本。
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