Book

女性のいない民主主義|前田 健太郎|何が女性を政治から締め出してきたのか

男性に政治権力が集中する日本。どうして女性が政治の場から締め出されてきたのか?そもそも女性の政治家が極端に少ない日本は民主的とは呼べないのでは?という疑問をぶつける。気鋭の政治学者がこの男性優位の政治からの脱却について記す。

見えない権力

男女の不平等のような、従来は争点化してこなかった問題は、ともすれば重要ではない問題だと思われやすい。ところが、政治学の教科書を読んでいると、そうした争点化していない問題の方が、むしろ政治学が本来扱うべき重要な問題なのではないかと思えてくる時がある。例えば、次の学説は、様々な教科書において広く紹介されている。

【権力の三つの次元】

権力には、三つの次元がある。多数決の行方を左右するなど、明示的な行動の変化をもたらす権力は、表面的な「一次元的権力」にすぎない。むしろ、多くの問題は、そもそも政治の争点になること自体を妨げられ、現状の変更が阻止されている。このような、問題の争点化を防ぐ権力は「二次元的権力」と呼ばれる。さらに、争点が完全に隠蔽されると、当事者すら問題の所在に気が付かなくなる。このような、現状に対する不満を抑制し、紛争自体を消滅させる権力を「三次元的権力」と呼ぶ。

この分類によれば、すでに政治の問題として認識され、様々な利害関係者が権力闘争を繰り広げている争点については、一次元的権力という、最も表面的な権力が観察されているにすぎない。それは、権力を握る集団が、問題の争点化を封じるのに失敗した事例である。このような問題をいくら追いかけ回しても、二次元的権力や三次元的権力の作用を知ることはできない。権力者たちは、見えないところで、より強い権力を行使しているのかもしれない。何らかの工夫をすることで、こうした見えない権力の姿を明らかにするのは、政治学の重要な課題ではないだろうか。

ところが、教科書では、二次元的権力や三次元的権力がどのように働くのか、具体例が挙がることは少ない。むしろ、政治過程の様々な側面において、一次元的権力の作用を説明する理論の解説がほとんどである。政治の現状を分析する政治学が、相対的に観察しやすい権力の作用に注目するのは、ある意味では仕方がない。だが、それは同時に、より強力な権力の働きを素通りしてしまうことを意味する。

生まれた時から男女不平等な政治に慣らされてきた女性は政治参加の意欲を削られて生きてきたとも言える。中でもここは私がという気概を持った女性議員もいるが、とりあえず有名人女性候補を上げて票を取りに行くなんてことが罷り通るから余計に軽視されるように感じる。

二つの民主主義

政治学では、選挙制度の影響に関して、幅広く研究が行われてきた。選挙制度がどのように設計されているかは、有権者と政治家の行動に大きな影響を与え、最終的には代議制民主主義の質を左右する。この問題については、次の学説の影響力が強い。

【多数決型と合意型】

アレンド・レイプハルトの『民主主義対民主主義』( 一九九九年)によれば、民主主義には多数決型と合意型という二つの型がある。多数決型民主主義は、競争的な選挙と政権交代を通じて多数派の手に権力を集中するモデルであり、支配者の答責性の確保を重視する。合意型民主主義は、政党間の協力を通じて権力を分散させるモデルであり、様々な意見を広く代表するのに向いていると考えられる。

この二つの民主主義のモデルの特徴を規定する要因の中でも、選挙制度は重要な位置を占める。レイプハルトによれば、イギリスをはじめとする多数決型民主主義の国では小選挙区制を通じて二大政党制が形成され、選挙のたびに多数党による単独政権が組織される。これに対して、オランダをはじめとする合意型民主主義の国では、比例代表制を通じて多党制が形成され、連立政権による統治が常態化している。

こうした傾向は、いわゆる「デュヴェルジェの法則」に基づいている。この考え方に従えば、小選挙区制は二大政党制を生み出す。第一に、小選挙区制の下では、得票率に関係なく、最も多くの票を得た候補者一人が当選するため、相対的に得票率の高い大政党は、より多くの議席を獲得する( 機械的効果)。第二に、選挙制度の機械的効果によって、自らの票が死票になることを恐れる小政党の支持者は、上位二党のうちで相対的に好ましい候補者に票を投じる結果、大政党は一層有利になる( 心理的効果)。これに対して、比例代表制は多党制を生み出す。比例代表制の場合には各政党の得票数に応じて議席が配分される仕組みを採用しており、小政党も議席を得やすいため、選挙に参加する政党の数が多いほど、多党制への傾向が強まる。

この選挙制度の分類において、日本は相対的に合意型民主主義に近い特徴を持つと言われてきた。一九九三年まで日本の衆議院で用いられてきた中選挙区制の下では、有権者が複数の候補者から一人を選んで投票し、上位三人から五人の候補者が当選する。この制度の下では、小選挙区制に比べて当選に必要な得票率が低いため、社会党の他にも民社党、公明党、共産党のような野党が分立し、事実上は比例代表制に近い効果が生じていた。

これに対して、一九九六年以降の総選挙では、一部の議員を小選挙区制に基づいて選び、それ以外の議員を比例代表制に基づいて選出する小選挙区比例代表並立制という混合型の選挙制度が採用されてきた。この仕組みは、小選挙区選出の議員の割合が比例区選出の議員よりも高かったため、二大政党制への傾向を生むと予想されたこともあったが、現実には比例代表制の要素が残されたことで複数の野党が乱立し、全体としては自民党の一党優位政党制が持続する一方、近年は自民党と公明党の連立政権が続いている。

今の国会は与党のスキャンダルや失政を攻撃するだけに終始し、政策に欠ける印象。猫パンチをいくら繰り出しても与党は仕留められません。選挙で勝てるだけの政策を立ててきちんと勝負することが大事。国民はそれほど馬鹿ではないのできちんとした政策でアピールできれば議席数を確保できるのが民主主義。政策が足りないことを野党は知るべき。

女性の少ない政治の場での民主制を語る書籍。年配者の誰もが普通に感じている男性優位な国会について若い世代は違和感を感じていることに老害は気付かなくてはならない。新陳代謝がしっかり行われればもっとより良い民主主義国家が生まれる可能性もある。

※この書籍はKindle Unlimited読み放題書籍です。月額980円で和書12万冊以上、洋書120万冊以上のKindle電子書籍が読み放題になるサービスが初回30日間無料となっております。PCの方はサイドバーのリンクより、スマホの方は下の方へスクロールしていただければリンクが貼ってありますので興味のある方はどうぞ。なお一部の書籍はキャンペーンなどで無料になっていて現在は有料となっている場合もありますのでその場合はあしからず。

【サブスク】 Kindle Unlimited

Kindle Unlimitedの詳細はこちら

僕が利用している読書コミュニティサイト

【本が好き】https://www.honzuki.jp/

【シミルボン】https://shimirubon.jp/

-Book
-, , , ,

© 2024 51Blog Powered by AFFINGER5