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女の機嫌を損ねないコミュニケーションの仕方とは?

男性脳は問題解決のため、女性脳は共感のために対話をする。だから男女の間には壁が存在する。しかも優秀な男性脳ほど女性の機嫌を損ねるという。脳科学と人工知能(AI)の研究者として経験豊かな著者が、日常に即した男女脳の違いを最新の研究成果を踏まえて語る。これを読めば女ごごろがわかるかも。

男女の対話は、真逆の制御

私が発見したのは、男女の対話のスタイルの違いである。女性は、ことの発端から語りたがる。男性は、最初にゴール(話の目的あるいは結論)を知りたがる。つまり、話の流れが真逆なのである。スタートから時系列に沿ってプロセスを語る女性脳と、ゴールから遡る男性脳。時系列真逆の制御である。これらが相容れるわけがない。

確かに女性と話していると、まず昔話から始まって時系列に経緯を語りながら、本題に入っていくことが多い。話の途中では決して「話の腰を折ったり」してはならない。そうすると「話を聞いてくれない」となじられるからだ。女性脳には、共感してあげること「あ〜、わかるよ、彼ってそういうとこあるよね」なんて感じで。その上で「君もいうねぇ」などと少しイジるぐらいがちょうどいい。相談などの場合、共感によって上手に話を聞いてもらうと、話終える頃には、きっちり結論が出ているののだ。女性はアドバイスを求めるとき最初から自分の意見が決まっていると思っている男性も多いだろうが、それは違うという。話し始めるときに、答えが決まっているわけではなく、話しながら答えが見えてくるのだ。

女性はなぜ共感してもらいたがるのか

その昔、同期の男子に、こんな質問をされたことがある。「女はなぜ、転びそうになって転ばなかった話をするのか」優秀な男性脳の持ち主である彼のもとに、新人の女性が初めて入ってきた年のことだ。ある朝、彼女がフロアに入ってくるなり、いきなり「さっき、駅の階段でつんのめって、こけそうになっちゃったんです。怖かった〜」と言った。彼は「それで、けがは?何段落ちたの?」と尋ねたのだが、彼女は「‥‥落ちてませんけど?」と言って、あからさまにムッとした表情になった。

この場合の正解は、「そりゃ、怖いよね」と共感してやることだったのだ。この男性にとって転びそうになって転ばなかった話は情報量ゼロだが、女性脳にとっては多大な価値があるもので情報量ゼロなんて、とんでもない話なのだ。実は、女性脳は「怖い」「ひどい」「辛い」などのストレスを伴う感情が起こるとき、ストレス信号が男性の何十倍も強く働くのだ。そして何百倍も長く残るのである。女性と喧嘩すると過去にあった些細なことまで持ち出して言い合いになることも多いが、これは過去に受けたストレスが長く心の中に残り続けるからだろう。

「カワイイ」「嬉しい」「美味しい」などのポジティブな感情でもこの傾向があり、脳が強く反応した出来事は長期間体験として記憶に残るのだ。男性側とすれば女性を心からねぎらう言葉をかければ、女性はそのポジティブなねぎらいの言葉を何万回も思い出してくれることだろう。共感は女性脳をうまく回すための、唯一にして最大のコツだ。女性とともに生きる以上知っていて損はないコミュニケーションの極意だ。

脳梁の太さと女らしさ

多くの男性は、脳梁が細めで生まれ、男性脳型のビューセンサーを持ち、問題解決型の対話エンジンを育む。しかし、いくばくかの男性は、脳梁が太めで生まれる。イメージ(右脳)を顕在意識(左脳)に伝えやすいので、科学者やデザイナー、アーティスト、音楽家などに比較的多く存在すると考えられる。脳梁が太めの男子の中に、たまさか女性脳と同じ場所が連携する人たちがいて、共感型の対話エンジンを使い、女性並みに自意識が強かったりする。その中に、女性のようにふるまう人たちが現れる。そういうことのようである。

こういった脳梁の太さの違いなど先天的に女性らしさを備えた人が男性の中にも一定数いることを知れば(その逆もしかり)、LGBTに対する偏見も少なくなるのではないかと思う。ならば女子会ランチの席で先ほどの「さっき、駅の階段でつんのめって、こけそうになっちゃったんです。怖かった〜」という話をしたらどのようになるだろうか?その場にいた女性たちは口々に共感をし「あ〜、わかる、わかる。地下鉄の階段の滑り止め、あれ、結構引っかかるのよ」「あ〜、確かにそうよね。かえって危険なんだよね」「特に、あなたのその今日のその靴、先の尖ったエナメルの。そういうのがやられるのよ」「あ〜(全員)」といった具合になる。

イクメン礼讃、いかがなものか

家事や育児には、その適性に明らかに性差がある。というわけで、カジダン、イクメンということばが、私は好きじゃない。もちろん、脳には個人差があるから、家事・育児をストレスなくこなす男子もいるに違いない。しかし、全ての男子にそれを期待するのはむごすぎる。

「夫が家事を手伝ってくれない」この言葉の裏には家事や育児をネガティブなものとする様子が見て取れる。それが少し残念だ。僕のように未婚の人間が増える中、子供を持つのはそれだけで勝ち組だといっても過言ではない。ならば、その体験を貴重なものと考え、楽しみながら育児を行えるよう考えを変えてみると良い。

脳や考え方の性差をわかりやすい事例とともに解明していく本書は、身近な女性に当てはめると「あ〜、そういう女性いるよね」と頷けるものばかり。初めて女性の部下を持つ人、夫婦喧嘩が絶えない人などに読んでほしい一冊です。きっと相手のことが理解できるようになります。

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