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ストレスへの備えと戦い方を知り、ストレス社会を生き抜こう!

ストレスのメカニズムは完全に解明されてはいませんが、ストレスは主に外界からの刺激(ストレッサー)に対する脳の過剰反応だと考えられています。筋肉系や血管系、内分泌系、神経系、自律神経系と様々な組織に影響を与えるため、症状は様々。ストレス社会を生き抜くためまず敵を知ろう。

過酷な状況下に置かれた兵士たちのPTSD

ベトナム戦争では、米軍兵士が受けたストレス障害が大きな社会問題になりました。戦場のような特殊な状況下では、想像を絶するストレス反応が生じます。死に直面するような体験、戦友の戦死、殺人体験、目的を失った戦闘行為の空しさ、先の見えない不安、こうしたストレスにより多くの兵士がPTSD(心的外傷後ストレス障害)という病気に陥ったのです。

帰還した兵士たちの中には、麻薬や覚せい剤に溺れたり、自殺をする者まで現れることに。PTSDによる自殺者はベトナム戦争の戦死者数を上回るという報告さえもあります。適度なストレスは、精神力や身体能力を伸ばすことがわかっているが、過度なストレスは心身を蝕むこととなる。

精神的緊張が逆にエネルギーを生むことも

惨事などのような、危機的状況も非日常的な刺激となります。大震災後に悲惨な状況を目の当たりにして、何日間も睡眠不足で行う支援活動や、イラク戦争に派遣された自衛官の体験などはまさに非日常刺激の極みです。このような状況では、疲労を感じるよりむしろ高揚感を覚えるものです。こうした精神状態はストレス下における一種の過剰反応と考えることもできます。

自衛隊のイラク派兵はやはり非日常。10日前後の派遣から帰国した直後も極度にハイテンションな状態となった記憶があると著者は言う。五感の感覚が鈍くなり、脳の活動も鈍る状態が帰国後何日か続いたそうだ。しかし人間順応性があるのか派遣が何度目かになるとテンションの高まりは無くなったということだ。これは日常刺激となった証拠だろう。

不安を生み出す思考様式

不安を強く抱く人たちの思考パターンや疑問符のつけ方には、ある共通項があります。つまり、いくら考えても決して答えの出ない疑問を抱いたり、その疑問に固執して思考をめぐらせたりしているという点です。

僕自身、病気を患う前からこの傾向が強い。明日のことなんてわからないのに不安に感じたり、新しいことを始める際、過度に臆病になったり。「歳をとって介護が必要になっても独り身なので、介護してくれる人がいない」とか「現在の収入で生きていけるだろうか」など、心配と希望を往復しているだけでそこから思考が先にいかない。このような思考パターン(結果追求型の思考)により不安感が生じるのだ。一方、不安を感じない人は、「介護が必要になった時に備え貯蓄をしたり、伴侶を探そう」「現在の収入よりもいい職業に就くためスキルアップして転職しよう」などと考える。

ゲーテは「人間とは闘う存在である」という言葉を残している。結果のみにフォーカスするのではなく、「何が良かったのか?」「改善すべきは何か?」といった具合にプロセス思考をするように心がけると良い。

うつ病の人への励ましの言葉の是非

「うつ病の人に励ましの言葉をかけてはいけない」。この言葉は最近では大変有名になり、うつ病に陥った人とのコミュニケーションを取る場合の大原則として信じられています。

この「励ましの言葉はかけるな」というのは本人は十分頑張っているのだから、それを理解してあげるという意味で、うつ病患者を労ってはいけないという意味ではない。それと最近では「この調子で頑張って病院に通いましょうね」とかいうのは本人のやる気を喚起する意味で良いとされている。

自殺願望の閾値

自殺問題は、近年マスコミ報道でもクローズアップされている問題の一つですが、自殺願望は生命欲の障害と捉えることもできます。「人は何故生きなければならないか」という哲学的な問題はさておき、本当に死ぬのは恐ろしいことですし、どんな動物だって必死の生への執着があります。「死にたくなるほど辛い」と口にした経験のある方は少なからずいると思いますが、実際に飛び降りる場所を探す、ロープを購入するなど「死に対する本気」は一定の閾値を超えた病的な症状と判断せざるをえません。

実際に自殺願望がある人の中にはお酒に頼る人もいると思いますが、実際に自殺未遂(首吊り)をした経験がある僕から言わせてもらうと、飲酒により衝動的になり普段なら抑えられる、自殺願望が閾値を超える可能性があるということ。家族の中に自殺願望がある人がいる場合は過度にお酒を飲んだ時などは注意してあげてください。

異動によるストレス

全く経験したこともない職務に就けられたため、職務不適応を起こしてうつ状態になったケースです。そのケースでは、職場の配慮で本人の望んでいた適所への配置換えが決まり、本人も安心した様子が窺われていました。しかし、その配置換えの二週間前に、仕事のきつさや、自分の不甲斐なさを遺書に残して亡くなったのです。

精神疾患というのはかかった人にしかわからない辛さがあります。僕も最初の職場では逃げ出すように職場放棄し退職。少し落ち着いて同業他社に転職したもののそこでも同じような不安感から、研修中に退職を願い出ました。そのあとも同じように不安感から2回研修中に退職しています。

第II部では世の中にはびこるストレスにどう対処するかをテーマに診察や自分の脳をどうコントロールするかが書かれています。巻末にはストレス障害チェックリストもあり自分がどのようなストレスにさらされているかがわかります。

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