底値買いの天井売りなんて言葉が先行して博打みたいなイメージを持たれがちな株式投資。これは投資をみんなから遠ざける残念なイメージ。そんな売り買いの仕方とは別次元の「つみたて投資」は、これまで金融業界ではほとんど研究されてきませんでした。なぜなら業界が手数料で儲けられなくなるから!
半値になっても
最初に、投資の常識「安く買って高く売る」を取り除きましょう。
問題①
毎月1万円ずつ「つみたて投資」をすると、1年間で 12 万円、 10 年間の投資金額は合計120万円になります。
次の図のような値動きをする投資信託に毎月1万円ずつ、 10 年間つみたて投資をした場合、 10 年後、120万円はいくらになるでしょうか?
【値動き】
スタート時の価格は1万円。7年後、2000円まで下落。 10 年後、5000円まで回復。しかし、スタート時の半値。毎月1万円のつみたて投資の場合、総投資金額は120万円。あなたの資産はトータルでいくらになっているでしょうか? 次の3つのうちからお答えください。
①約 72 万円
②約 90 万円
③約139万円
(答えは次行をご覧ください)
問題①:正解は③
スタート時の半値でも黒字
いかがでしょうか? 金融商品の価格は半値になっても黒字になりました。これが「つみたて投資」なのです。
最初にまとめて一括投資をしていた場合、投資金額120万円は 10 年後に半分の 60 万円になってしまいます。しかし、つみたて投資だと黒字になりました。金融商品の価格が半値になっていても利益が出たのです。理由はわかりますか? まず、投資の基本から考えてみましょう。
投資とは、金融商品を「買う」ことです。たとえば、投資信託の場合は、通常1万口単位で価格が表示されています(基準価格)。
そして、買った「口数」に金融商品の価格を掛けることで評価します。たとえば、1個100円のトマトが100個あった場合のトマト全部の評価は「100個×100円」で1万円です。これがトマトの評価です。式で表すと次のようになります。
「投資の評価」=「口数」(A)×「商品の価格」(B)
通常、投資というと「安く買って高く売る」と言われるように、「いくらで買うか」という金融商品の「価格」(B)に意識が集中し、何口買えるかという「口数=金融商品の量」(A)は、ほとんど意識されていませんでした。
一回でまとめて投資する場合、最初に買った口数が変化しないからです(分配金などは考慮せず)。読者の皆さんも投資する場合に、「いくらで買うか」を意識する人は多いと思いますが、「何口買えるか」という視点で考える人は少なかったのではないでしょうか。
つみたて投資は毎月投資をしていきます。金融商品の価格は、毎月変わるので、「買える口数」はそのつど変わるのです。投資する商品の価格が「安い」時はたくさんの口数が買えますが、価格が「高く」なると少ない口数しか買えなくなります。
たとえば、毎月1万円ずつトマトを買うとすると、1個100円の月は100個買えますが、翌月、1個200円になると50個しか買えません。逆に翌々月50円になると、200個も買えるのです。
値動きがマイナスでも黒字化が期待できる積み立て投資のマジック!これを読んで貰えばその仕組みがわかるだろう。一括でドンと購入してしまうとそこから下落局面に遭遇した場合下落の煽りをモロに受けてしまいますが、積み立て投資で投資時期を分散することでリスクを減らし逆に儲けることだってできます。個別銘柄などで底値買いの天井売りを狙って成功した時と比べて利益率は低いので投資の旨味は劣りますが、リスクを最低限にするこの積み立て投資はメリットも多い。
投資家の8割は成功していない
面白い調査結果があります。
アライアンス・バーンスタインという運用会社が、世界で資産運用をしている人に「あなたは、資産運用に成功していますか?」と聞いたところ、なんと 10 人に8人は、「資産運用に成功していない」と答えました。しかも、日本より、運用に積極的に取り組んでいる国の人たちがそう考えているのです。
たとえば、アメリカ。預金はほとんどせず、運用に積極的な人が多いことで有名な国ですが、 70%以上の人が「自分は成功していない」と考えています。ちなみに、調査は2006年に行われました。
この時期は全世界同時株高で、どの国も株価が上がっていました。市況環境が絶好調の時期でこの結果です。日本だけならまだしも、全世界でこの数字だとは驚きです。結局、世界中の投資家は、大幅な相場上昇を取り逃がしてしまったのでしょうか? この原因はなんだと思いますか?
この調査で明らかなのは、投資家はたとえマーケットが上昇していても利益をあまり得ていないということです。
マーケットが値上がりしている時は、特別な技術など必要なく、金融商品を持っているだけでいいはずです。それでもほとんどの人が「自分は失敗した」と思っているのです。
その理由は損に敏感な投資家が途中で売ってしまっているからだと思います。
一括投資の場合、少し上昇して利益が出ると、一度利益を確定してしまいたいという「欲」が芽生えます。「そろそろ下がってしまうのではないか」と思い、売ってしまいがちなのです。
一度売ってしまうと、その後さらに価格が上昇した時に、再度投資するのは非常に勇気がいります。以前、自分が売却した価格以上で買いにいくので、ハラハラするでしょう。ですから、その後の上昇局面で利益を取り逃がしてしまう方が多いのです。
僕は投資を始める前に実際の株式市場の値動きと同じシミュレーションソフトを使って一年間投資の勉強をしてみました。ファンダメンタルにテクニカル分析各種。しかし、思うような成果は上げられず僕は投資に向いていないと諦めました。そこで出会ったのがインデックスに積み立て投資をするという投資方法。今はバフェットの遺言でも資産の9割をと推奨されていたS&P500に投資しています。
リスクを取らずに投資をするのは不可能ですが、それを最小限にする方法はあります。インデックスに積み立て投資。面白みにかける方法ではありますが、結果満足な投資結果が得られればOK。そんな積み立て投資のメカニズムを詳しく解説してあなたの資産を比較的安全に増やす方法をレクチャーしてくれる書籍。
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