街の写真館から年商1700億円の通販会社を築き上げ、引退するまでの軌跡を描く。ビジネスの世界だけでなく政治や外交、教育、医療など、世の中のさまざまな場面で伝わってないことで問題が生じるのを防ぐための、伝わるコミュニケーション。
振り返ってみると
私は天賦の才に恵まれたとか、他人と違った特別なことをやってきたとか、そんなことは何もありません。普通でした。第一志望の大学には合格できませんでしたけれど、一生懸命に勉強した自分がいました。好きなことをやろうと思って、大学時代は英語を一生懸命に勉強しました。一流企業に入ろうとか、出世しようとか、そんなことは考えませんでしたけど、入った会社では、とにかく期待に応えられるように全力で働きました。会社を辞めて父の写真館で働くようになったのは、友達と始めた仕事が上手くいかなかったからです。どちらかと言えば、流れに身を任せて、与えられた環境に順応して常に全力を尽くすというのが私の生き方でした。それは、自分で会社を始めてからも変わりませんでした。
私は上手くいかなかったことに劣等感を持ったことも、成功したことで優越感を抱いたりしたこともまったくありません。失敗をばねにと思ったこともなければ、上手くいって天狗になったこともないんです。ただ、目の前のことを一生懸命にやってきただけです。
だからですね、とくに若い皆さんに申し上げたいのは、受験が上手くいかなかったとか、希望する会社に入れなかったとか、そんなことは関係ないんですよ。卒業した大学や入社した会社が将来を保証してくれるほど今の日本は甘い社会でもありません。そんなことでくよくよしても仕方ないですよ。過去は変えられませんから。過去を悔やんで未来を悲観して生きていても仕方がないです。そんなことより、好きなことを一生懸命にやり続けていれば、 今を生きていれば、人生は絶対に拓けるようになっている んですよ。そして、一生懸命にやったことは決して無駄にはなりません。後になって、その努力はいつかどこかでつながってくるんです。
与えられた状況下でとにかく頑張るそれに尽きる。過去は過去として胸の奥にしまっておいて未来をみる。一生懸命は未来に必ず作用すると信じて。
自前だから作れた「ジャパネットスタイル」
自前のスタジオで放送を始めたら、いろんなことができるようになりました。ちょっとした思いつきや工夫も、商品の変更にも臨機応変に対応できます。スタジオを持ったことで、ジャパネットたかたの番組のクオリティは、非常に高まったと思います。
2010 年には東京にもスタジオを作りましたけど、一番多い時には、テレビのスタッフが 100 人規模になりました。全部社員です。同じ時間に生放送の番組を 2 つ作って別々の地域で放送することもありますから、 2 つのグループがあるんですよ。それに、ロケもありますからね。
2007 年にはハイビジョンの中継車も買ったんですよ。それで、いろんなところに行きました。京都の 太秦 とか札幌の雪まつりとかですね。佐世保から行くんですよ。中継車で行けばどうなるかと言ったら、行った先がスタジオになるんですよ。そうやってどんどん番組の幅が広がっていきました。
スタジオができるまでは、タレントさんに出演していただいて、一緒に番組を作っていましたが、自前のスタジオになってからは、私一人がしゃべるスタイルに変えました。収録の場合は一回撮れば 100 回でも流せますけど、生放送は 1 回だけですからね。費用がかかり過ぎて毎回タレントさんに来ていただくことはできません。それじゃ私一人でやればいいってなっただけでした。それが、今のジャパネットスタイルの始まりでした。
24 時間放送の専門チャンネルを持ちましたから、番組の枠も増えていき、一人ではできなくなりました。それで、社員にもやらせてみようということになりました。ラジオもそうでしたからね。番組が多くなってきたら、社員も MC としてしゃべるようになっていました。適材適所です。 MC は全員私が指名しました。話が上手いのはもちろんですが、心を表現できるかどうか、情熱を伝えることができるかどうかが、選択基準でした。一番古株の塚本慎太郎君は、バイヤーからMCに抜擢しました。中島一成君は、もともと技術スタッフだったんですよ。最初に東京に研修に行かせた中の一人です。それが今はMCですよ。
自社のスタジオを持ったことは、今のジャパネットたかたがある一番の理由だと、私は思っています。あれが、ターニングポイントでした。スタジオを持つことで、早い時代の変化に即応して、ハードルの高い課題も乗り越えてくることができました。スタジオを作っていなかったら、今日佐世保に届いた商品を今日紹介できる体制もできませんでした。スタジオがなかったら、他のテレビショッピングと似たようなものになってしまい、特色を出すことはできなかったかもしれません。
スタジオ作りはゼロからの出発で、反対もされましたけど、できない理由に納得することなく、可能性を追い続けたからこそ成功したのだと思います。これをやってなかったら、今のジャパネットたかたはありません。これも、「今を一生懸命に生きる。」という思考から生まれたことだと思います。
小規模な会社ながら自社のスタジオを持ち、そこから通販番組を配信するスタイルは今までにないものだった。このスタジオからのショッピングがジャパネットのスタイルとしてあの甲高い声と共に世の中に認知されるように。在庫をなるべく持たず売り切るスタイルで安値を実現。
伝える力を武器にここまで成長してきたジャパネットの軌跡。名物社長の引退後もそのスタイルを継承し一定の地位を得た感じ。そんなジャパネットの全てがわかる書籍。
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