人に特定の行動を促すには仕掛けがいる。自ら進んで動く動機付けが行われれば思い通りに動いてくれます。とはいえそんな魔法みたいなことが可能なのか?その「ついしたくなる」メカニズムと方法論をみていこう。
社会的証明
まちを歩いていると、路上の弾き語りがチップが入っているギターケースを広げている場面に出くわすことがある。このとき、ギターケースの中がお札ばかりだとお札を入れる人が多くなり、コインばかりだとコインを入れる人が多くなる。このような他の人が入れたチップの金額に影響を受けることはシードマネー効果と呼ばれており、さまざまな場面で観察することができる[John and David 2002]。これも他の人の行動が社会的証明になる例である。著者らがコンビニエンスストアの協力を得て行った実験では、ペットボトル回収箱の上部にペットボトルのキャップを入れる箱を用意するだけでキャップの分別率が 49% から 60% に上がった。これも箱に入っているキャップが社会的証明になりキャップ分別行動を誘ったのだと考えられる。お店に行列ができていることから人気店であることを察したり、信号を待っている人の数から信号が変わるまでの待ち時間を予想したりする。このような社会的証明は社会のいたるところで見られるが、見せ方によって望ましい方向にもそうでない方向にも人を誘う。社会的証明をうまく利用して問題解決に活用することは、仕掛けを社会に普及させる上で重要なアプローチになる。
路上ライブやっている人の中ではもうおなじみかもしれないが、投げ銭を入れるギターケースの中に自腹でお札を何枚か入れておくとそれに釣られて次から投げ銭する人もお札を入れやすくする傾向がある。そんなちょっとしたことでお金が稼げるならやらない理由はありませんよね。ちなみに僕は自分の判断基準がしっかりあるので1万円がギターケースに入っていようと構わず小銭を投げ入れますが。
オズボーンのチェックリスト
アイデア発想につまったときは視点を切り替えるのが良い。そのときによく使われるのが以下の9カ条からなるオズボーンのチェックリストである。
1.他の使い道は?(Put to other uses?)
2.他に似たものは?(Adapt?)
3.変えてみたら?(Modify?)
4.大きくしてみたら?(Magnify?)
5.小さくしてみたら?(Minify?)
6.他のもので代用したら?(Substitute?)
7.入れ替えてみたら?(Rearrange?)
8.逆にしてみたら?(Reverse?)
9.組み合わせてみたら?(Combine?)
このチェックリストの覚え方として「ださく似たおち」(代用・逆さま・組み合わせ・似たもの・他の用途・大きく・小さくの頭文字をつなげたもの)[星野 2005]というのもある。また、オズボーンのチェックリストを少し改変したSCAMPER法も有名である。SCAMPERは以下の7つの要件の頭文字をつなげたものである。
1.入れ替えたら?(Substitute?)
2.組み合わせたら?(Combine?)
3.他に似たものは?(Adapt?)
4.変えてみたら?(Modify?)
5.他の使い道は?(Put to other uses?)
6.取り除いたら?(Eliminate?)
7.並び替えたら? 逆にしたら?(Rearrange / Reverse?)
ゴミ箱の仕掛けのアイデア発想につまったときに「他の使い道は?」(Put to other uses?)を使うと、ゴミ箱のこれまでと違う使い道を考えることになる。これまで想定していなかったゴミを対象としてみたり、これまでゴミ箱を置いたことのない状況を想定してみたり、ゴミ箱にゴミ以外のものを入れることを考えることになる。
発想の想起法として実用的なオズボーンのチェックリスト。アイデアに行き詰まったらこれを思い出してひとつひとつ試していこう。思いもよらない解決方法が見つかることでしょう。
人間の行動には一定の法則があって、その行動を促すために必要なことというのも様々。仕掛けを駆使して相手を思い通りに動かすなんて荒技だけでなく日常のちょっとしたシーンで活用可能な仕掛学はあなたにブレイクスルーを与えることだろう。
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