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中国が喰いモノにするアフリカを日本が救う 200兆円市場のラストフロンティアで儲ける|ムウェテ・ムルアカ

先進国がこぞって進出するラスト・フロンティア、アフリカ大陸。日本がその恩恵を受けるためにすべきことは?競合にあたる中国対策は?日本の未来を約束するアフリカとのビジネススキームを両国にルーツを持つ著者が伝授。

爆発する消費マーケット

世界各国が目を付けたのが、手つかずの資源が眠るアフリカ大陸。世界中の投資がアフリカに集まりました。

またアフリカの経済発展は人口増加を抜きには語れません。

アフリカ大陸の人口は、一九五〇年の二億二〇〇〇万人から二〇一一年の一〇億五四〇〇万人へ六〇年の間に約五倍に急増しました。これは世界の全人口の七分の一を占める数字です。これからもさらに増え続け、二〇五〇年には二二億人を超えて、全世界の五人に一人がアフリカに居住すると予想されるほどです。

では、人口の増加は経済にどのような影響をもたらすのでしょうか。

たとえば、日本の戦後高度経済成長も人口増加と密接につながっています。

第二次世界大戦直後、日本の人口は約七二〇〇万人に過ぎませんでした。しかし爆発的に人口が増え、七〇年後の現在一億二〇〇〇万人を超えています。シンプルに言えば、労働人口の増加とともに消費は拡大していきます。そして何よりも日本にはさまざまな生産を下支えする確かな技術がありました。

アフリカの場合は、人口が増加している上、資源があり、さらに世界各国がインフラ整備に投資しています。

国際連合のデータをもとに野村総合研究所が作成した〈人口の多い国上位二〇ヵ国の変遷・見通し〉という表を見ると、これから人口が減少していく日本と入れ替わるようにアフリカ諸国が台頭していくのがわかります。

一九五〇年、日本の人口は八二一九万人で世界第五位につけています。この時期のアフリカ諸国は、三七八六万人のナイジェリアが第一三位に、二一五一万人のエジプトが第二〇位にランクインしているだけでした。

しかし二〇一〇年になると様相が変わります。日本の人口は一億二六五三万人に増えますが第一〇位に後退。六〇年前第一三位だったナイジェリアが一億五八四二万人で第七位に躍り出ました。またエチオピアが第一四位に、コンゴ民主共和国が第二〇位に顔を出して、エジプトは第二〇位から第一六位に順位を上げています。

さらに二〇五〇年の予想では、日本は一億八五四万人にまで人口が減り、第一六位に。ナイジェリアは三億八九六一万人で第四位。コンゴ民主共和国、エチオピア、タンザニア、エジプトが日本を抜き、ケニアやウガンダもランクインし、上位二〇ヵ国中、アフリカが七ヵ国を占めるまでになります。

これから人口爆発が起こると予測されているアフリカ諸国。それとともに先進国による開発で各種インフラも急ピッチに整備されていっています。人口増のおかげで経済もこのまま伸びていくでしょうしその成長にあやかりたい国々が手ぐすねひいて待っています。特に中国はやりたい放題で目に余る行為が後をたたない。喰いモノにされるアフリカを救うと言ったら言い過ぎかもしれないがそこに日本の姿も。

石橋を叩いても渡らない

中国のアフリカ進出が成功して、日本が出遅れているわけを、次は別の角度から考えてみましょう。

アフリカ各国の人たちはどう見ているのでしょうか。

カメルーン駐日大使のピエール・ゼンゲ氏(二〇一〇年当時)は、国民性の違いを挙げました。 「私から見て、中国人は日本人よりも、非常にアグレッシブである、と感じます。そうした国民の気質の違いで、中国は日本よりも、アフリカに深く進出しているのだと思います。

以前、私は日本のバス関係の企業に、首都ヤウンデとカメルーン最大都市ドゥアラをつなぐ公共バスなどのインフラ設備に投資して欲しいと、持ちかけたことがありました。日本のバスは乗り心地がよく、よく整備されているからです。しかし結局、具体的なビジネスには発展しませんでした。数ヵ月後、中国の企業がヤウンデとドゥアラ間をつなぐための、バスを製造する工場を現地につくったそうです。チャンスをものにしたのは中国でした。

日本のビジネスマンは、ゆっくりと時間をかけて決断する。そこが長所でもあり、短所でもあります。より積極的にリスクを取る部分が、少し足りないような気がします」

二〇一四年に一人あたりのGDPが一万ドルを超えてアフリカ第三位となった産油国のガボンの臨時代理大使であるフランスワ・ペンジェ・ボンビラ氏は興味深い指摘をしました。

「中国企業は、日本企業や欧米企業と違い、その国の国内情勢などに関係なく、ビジネスになるかどうか、という部分で投資の判断をしています。仕事をして利益を上げることだけを考える。一方の日本や欧米の企業はその国の治安や政情などを踏まえて、進出を決めます。また、技術指導を同時に行ったり、国内情勢にもタッチしようとしたりする。我々の国としては、単純にビジネスとして投資してくれる中国の方が判断のスピードが速いので取引しやすい。そこが日本とのビジネスが進展しない要因のひとつではないでしょうか」

日本は相手の国の政情について十分に把握した上で、いいものをつくり、人材育成、技術移転を行って相手のメリットも生み出そうとします。  自分たちがいなくなっても、メンテナンスや運営に支障がないような形の支援をしてきました。もちろん派遣する技術者や専門家の安全も確保しなければなりません。

そこが評価される反面、決断までに時間がかかるというデメリットになります。

「石橋を叩いて渡る」という日本のことわざがありますが、叩いても「渡らない」。

日本企業はアフリカに対する知識が乏しい。理解できないものには手が出しにくいので、二の足を踏んでしまうわけです。

一方、中国のプロジェクトのスピード感は魅力です。その結果、アフリカでどんな事態が起きたかは、これまで見てきた通りです。

日本の企業風土上石橋を叩いて渡る意思決定が裏目に出てアフリカ大陸での覇権を握り損ねている。アフリカにとって経済発展はスピード感を持って行いたいのだが、それが日本では叶わない。よって中国に頼ることに。

アフリカ大陸の発展に寄与するべく日本が行うべき支援や投資を考える書籍。発展めざましいこの地域で覇権を握れば自国にも有利な関係を築ける。そんなラスト・フロンティアのお話。

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