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世界インフレの謎|渡辺努 |そして、日本だけが直面する危機とは?世界的な物価高の波はなぜ起こったのか?

世界的な物価高の波はなぜ起こったのか?ウクライナ戦争はその原因ではなさそうだということがデータが実証している。それでは真犯人は?元日銀マンの物価理論のスペシャリストが語る問題の核心を徹底考察。

メディアでなされる解説と専門家の理解のギャップ

さて、ここまでの説明を読んで、いったい何が謎なのだと思う方も少なくないと思います。世界がインフレに見舞われた2022年初頭に何が起こったのかといえば、ロシアによるウクライナ侵攻が真っ先に思い浮かびます。これをおいて他に、物価高騰の原因などあるはずがない、と大半の方は思われたに違いありません。

戦争の混乱や経済制裁によってロシアからの原油や天然ガスなどの燃料資源、世界最大級の穀倉地帯であるウクライナからの小麦などの食糧、それらの供給が滞ったことによって、たしかにそれらの価格が高騰しました。それが経済全体に波及してインフレを引き起こしている──この明白な話の、いったいどこに謎があるのだと思われても、不思議ではありません。

各種メディアではそのような解説が繰り返されていますし、一見してもっともらしい説明のように聞こえます。ですが私を含む専門家は、現在の世界的なインフレの主たる原因は、戦争ではないと考えています。

戦争はインフレの主原因ではない。そのように言われて驚かれるかもしれませんが、これは単なる私個人の私見ではなく、オーソドックスな経済学から外れた新奇な意見でもありません。各地の中央銀行のエコノミストや、経済学界のメインストリームで活躍する研究者といった、世界中の専門家のあいだですでに合意ができている理解なのです。つまり、専門家の見解と世の中で(特に日本のメディアで)一般的に言われていることでは、実はかなりのずれが生じてしまっているのです。

普通に考えると戦争が物価高騰の理由と考えがちだがそうとは違うと。確かに戦争が始まった直後は株価も乱高下して物価も上がったように思う。しかし、いまだ戦争の終結が見えない今でも主たる原因は取り除かれていないものの株価は戻りつつある。それどころか最高値を更新したりと経済的影響はなかったかのような感じ。日本の場合、値上げを極限まで我慢する傾向がある。それだけ国民が値上げに対してネガティブに考えがちなのだ。原材料費が高騰したら普通に値上げすればいい。そんな簡単なことが消費者を気にして今までできなかったのがおかしなくらいだ。その箍が外れただけということ。

「国民性」の問題ではない

日本には価格が動かない品目がたくさんあるという、先ほどの話を講演会などで話すと、「日本は昔からそうだった」という意見がかならず返ってきます。日本の企業は顧客を大事にするので原価が多少上がっても耐える、それは国民性に根差すものだというのです。しかしデータを見る限り、昔からそうだった、これは国民性だというのは、正しくありません。

図4‐5 は、モノの価格、サービスの価格、そして賃金がこれまでどのように推移してきたかを示したものです。比較のために米国の同じグラフも下に示してあります。図は1973年から始まっていますが、これは変動相場制に移行した年です。固定相場制と変動相場制では物価の決まり方が異なるので、ここでは変動相場制の時期に絞っています。

モノ価格、サービス価格、賃金のいずれも、1973年から 95 年ごろまでは右肩上がりです。米国の図と比べても、右肩上がりの傾きは遜色なさそうです。つまり、それまで日本の価格は(そして賃金も)しっかり動いていたのです。

ものの価格やサービスの値上げは当たり前と考える。値上げすると消費者がとか考えなくていい。もともと値上げで買わなくなる層は、他の代替品を使うだろうし気にする必要はない。最近では賃金も上がる方向性に行っているので値上げは妥当かと思います。あれ上がったこれ上がったとメディアが騒ぐからまた値上げがしづらくなるのだ。大手は値上げに踏み切っている現状。据え置き神話はもう過去のものと言っても良いだろう。

物価高騰により日本が危機に直面する可能性を示唆。今まで国民性を加味し値上げを行ってこなかったせいもあり物価高騰がネガティブなものとして捉えられがち。多くの企業では待遇が改善していて給料も上がり始めているのだから心配ないようにも思えるのだが。

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