◎もはや論理的思考・MBAでは戦えない……
◎「直感」と「感性」の時代
◎組織開発・リーダー育成を専門とする
コーン・フェリー・ヘイグループのパートナーによる、複雑化・不安定化したビジネス社会で勝つための画期的論考とは?
「直感」はいいが「非論理的」はダメ
論理や理性で考えてもシンクロのつかない問題については、むしろ「直感」を頼りにした方がいい、ということです。結果的に大きな業績の向上につながった「優れた意思決定」の多くが、直感や感性によって主導されていたという事実によって私が伝えようとしているのは、決して「論理や理性をないがしろにしていい」ということではなく、「論理や理性を最大限に用いても、はっきりしない問題については、意思決定のモードを使い分ける必要がある」ということです。
これは著者オリジナルの考えなどではなく、古くから同様のことを指摘している人はいる。例えば、江戸時代の武芸家の松浦静山は「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉を残しています。なんだかよくわからないけど勝ってしまったということはあっても、理由もなく負けることはなくそこには必ず原因となる要素があるというもの。これは心に留めておきたい言葉だ。なぜ自分がダメなのかを常に意識して行けば改善の余地がある。そしてたまにあるラッキーでさらなる高みへ。ブログの執筆活動でもなかなかPVが伸びないのはなぜかと常に自分に問いかけることで、新たなチャレンジをしていく原動力へ。最近では、集客目的(半分は読書好きと繋がる目的ですが)でインスタグラムを本格運用し始めました。まだまだ流入は少ないですが、 訪問者一人当たりの閲覧時のPV数などからツイッターからの流入よりも良質な客であると言えそうです。
「論理」と「理性」に頼る問題点 差別化の喪失
今日、多くのビジネスパーソンが、論理的な思考力、理性的な判断力を高めるために努力しているわけですが、そのような努力の行き着く先は、「他の人と同じ答えが出せる」という終着駅、つまりレッドオーシャンでしかありません。そしてまさしく、多くの企業はこのレッドオーシャンを勝ち抜くために、必死になって努力しているわけです。論理思考というのは「正解を出す技術」です。私たちは、物心ついた頃から、この「正解を出す技術」を鍛えられてきているわけですが、このような教育があまねく行き渡ったことによって発生しているのは、多くの人が正解に至る世界における「正解のコモディティ化」という問題です。教育の成果という点では、まことご同慶の至りという他ありませんが、個人の知的戦闘能力という点ではこれは大きな問題となります。
こうして教育により均質化された人間が大量生産された結果、差別化の喪失が起こっているのが現在の状況。いい意味ではみ出る人が多く出る創造的な世界には程遠い。これからは多様化が本格的になっていくと予想される。ニッチな知識や技術を持った人が日の目を見る世の中に少しずつでも変化していってくれればと思う。みんなと同じコモディティ化されたスキルではこれからは戦えない世の中になっていくのではないかと思ったりもする。
アカウンタビリティの格差
ミンツバーグの指摘通り、マネジメントにおける意思決定には「アート」「サイエンス」「クラフト」の三つの側面があり、これらをバランスよく共存させないと、クオリティの高い経営はできません。しかし、言われてみれば自明のように思えるこの指摘が、多くの企業では実践できず、「クラフト」と「サイエンス」に偏っているのはどうしてなのでしょうか?一言でまとめれば「アート」と「サイエンス」や「クラフト」が主張を戦わせると、必ず「サイエンス」と「クラフト」が勝つからです。なぜなら「サイエンス」と「クラフト」が、非常にわかりやすいアカウンタビリティを持つ一方で、「アート」はアカウンタビリティを持てないからです。
わかりやすくいうと、「アート」と「サイエンス」の間で主張がぶつかると、サイエンス側がアート側を批判することは容易なのに対して、アート側がサイエンス側を批判するのが非常に難しいからです。「なんとなくこちらの方が美しいから」という理由では財務面や定量的分析による裏付けには勝てないというわけです。しかし、この「アート」が持つ「なんとなく美しいから」という点を消費者の購買に置き換えて考えると、合点が行くだろう。人はものを選ぶとき値段や品質も検討の要素には欠かせないが、なんとなく「可愛いから」「カッコいいから」といった理由で直感による買い物を普段からしているはず。
トップに「アート」を配置し、その両翼を「サイエンス」と「クラフト」で固める。こうしてバランスを整えた組織がこれからは必要になってくることだろう。よく言うPDCAサイクルで言えば、Planをアート型、Doをクラフト型人材が行い、Checkをサイエンス型人材が行うというもの。世界のエリートがなぜ美意識を重視するのかがよくわかる書籍でした。
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