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ビジネスモデル2.0図鑑|近藤 哲朗|今注目されているサービス100事例を図解

今注目されているサービス100事例を図解。同じフォーマットで比較しながらそのサービスの凄いところを学んでいこうという趣旨の書籍。

生き残るビジナスモデルには「逆説の構造」が

高級料理をお手頃価格で提供する立ち飲みレストランとして有名な①「俺のフレンチ」のビジネスモデルを逆説の構造で表すと、次の図になる。これまで「一流フレンチ」(起点) は、「座って食べる高価な料理」(定説) というのが普通だった。でも、俺のフレンチはそれを「立って食べる手頃な料理」(逆説) にした。立ち食いにすることで、価格を安くしても、通常のフレンチレストランの3倍前後の回転率になり、客を3倍迎え入れることができる。だからこそ、ビジネスとして成り立たせることができる。このように逆説の構造にあてはめると、俺のフレンチというビジネスモデルの「強み」が見えてくる。

このビジネスモデルで成功したのが俺のステーキ。しかし急激に拡大したため既存店舗と新規開店した店舗で客の奪い合いが起き結果客足が遠のくという結果になり一部店舗を閉店しなくてはならない事態に。

俺のフレンチ 一流シェフの料理を低価格で

フレンチなのに立ち食いで回転率を3倍に  

一流レストランで活躍したシェフたちが高級料理をお手頃価格で提供する立ち飲みレストラン「俺のフレンチ」。運営する「俺の株式会社」は、2012年創業の飲食チェーン。あのブックオフの創業者の坂本孝氏がはじめた新しい業態の飲食店として知られる(創業当時70歳超!)。 「フレンチなのに立ち食い!」というスタイルは衝撃的のひと言。通常、フレンチはゆったり椅子に座って食べるスタイルで、高価なのが当たり前だった。しかし、立ち食いにすることで通常の3倍の顧客回転率にし、一人当たりの専有スペースも小さくした。それにより、安価でも成り立つ料金設定にした。ワタリガニのトマトクリームパスタ780円、ピザのマルゲリータ580円などプライシングがすごい。通常、飲食の原価率は3~4割程度が多い。ところが、俺のフレンチは6割以上の原価率をキープ。一流のシェフを引き抜くために、「好きな食材を好きなだけ使っていい」というのを誘い文句にしたからだといわれている。シェフを動機付けながら、料理の品質を保ち、かつ立ち食いで回転率を上げる仕組みに支えられている。よくできたビジネスモデルだ。創業時、「調理学校を出た人たちが10年後も飲食業に携わっている確率は1割にも満たない」ということを知った坂本氏は、優秀な料理人の生きる道をつくると同時に、ファストフードが増加する現代でも本当においしい料理を安く顧客に提供したいという想いからはじめたという。2018年現在、俺の株式会社はさまざまな展開を見せ、「俺のスパニッシュ」や「俺の割烹」といった業態を生んでいる。フレンチほどのインパクトはないが、国内30店舗を超え、アジアにも2店舗進出している。ただ、現在は立ち食いスタイルだけでなく、着席の店舗も展開している。今後のビジネスモデルの変化に注目したい。

店舗拡大によりシェフの確保が重要になっているがそれをうまくこなしているのが秀逸。低価格で本格フレンチが食べられて客も嬉しいし、働き場所に困るフレンチシェフの受け皿になっている点も興味深い。

ライザップ「結果にコミット」を支える徹底した仕組み化

業界の常識を覆した「返金保証」  

ダイエットに挑戦するも、きつくて途中で投げ出してしまう……。そんな人々に対して「結果にコミットする」というキャッチコピーを掲げ、独自のトレーニングメソッドを提供するのが「ライザップ」。通常トレーニングジムとは、ジムに通うことに対してジム利用料を支払い、自己管理のもとで理想の体を目指すもの。しかし、「ライザップ」は付加価値の付け方がまったく違う。  利用者は2カ月で約35万円というジムとしてはかなり高額な金額を払う(分割払いも可能)。ライザップは、利用者に対してトレーニングの指導はもちろんのこと、生活習慣指導からメンタル面まで利用者に寄り添って徹底的にサポートしてくれる。また、最初から最後まで同じ1人のトレーナーが指導してくれるから信頼関係が生まれ、利用者のモチベーションアップにつながっている。料金体系は基本的に回数が変わるだけで、サービス内容はどのプランも同じ。完全個室、パーソナルトレーニング、生活習慣指導、食事管理、マニュアルの提供、メンタルサポートなど、普通のジムであればオプションとなるサービス内容をまとめて提供している。完全予約制かつ完全個室なので利用者は自分の時間に合わせてストレスなくトレーニングに集中することができる。これらの仕組みは、収益性の高さと急成長にもつながっている。都内のマンションやビルの一室があれば完全個室の店舗をつくれるので多店舗展開しやすく、現在、世界120店舗以上、会員数は累計10万人を超える。また普通のジムであればジムの営業時間中はスタッフが滞在しなければならないけれど、完全予約制なのでスタッフの稼働の無駄がない。利用者の入会を後押しする最後の決め手が、返金保証。通常のジムであれば返金はありえず、利用者としては入会するのにどうしてもハードルが高いと感じてしまう。ところがライザップは、目標としている結果が2カ月で達成されなかった場合、全額返金される。つまり利用者はジムに通うというサービスではなく、理想の体という結果を買っている。そう考えると2カ月で約35万円という金額は安いと思えてくる。

ライザップを利用してスリムで引き締まった体を手に入れた有名人がいる一方、途中で挫折したことをこっそり明かす有名人もいる。徹底した食事管理は2ヵ月間ぐらいなら我慢できるだろうが痩せた後、継続してトレーニングと食事制限を続けていないとすぐにリバウンドしてしまうのが体験者のその後を追跡しているとわかる。

成功したビジネスモデルを図解で解説。様々な業態の店やサービスを知ることでビジネスの根幹をなすものが何なのかトレンドが見えてくる。

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