情熱を注げる対象の見つけ方から育て方、そして全力を傾けるタイミング、情熱の手放し方まで。うまく扱えば情熱は恩恵を生むし、方法を間違えれば災厄を生む。誰にでも実践できる情熱の取り扱い方とは?
4つのリスク
目に見える結果と外的な評価の奴隷になる
成功を手にした人はいとも簡単に、もっと成功したいという欲求の虜になる。もっと儲けたい、もっと名声を得たい、もっとソーシャルメディアのフォロワーが欲しいと思うようになるのだ。最初はものごとを実行することに情熱を燃やしていたのに、いつの間にか成果に対して情熱をいだくようになる。自己評価が他者の評価によって左右されるようになり、失敗したり、停滞期に陥ったりすると、心理的なダメージを被り、激しく動揺する。喜びを感じづらくなる程度で済めば、よいほうだ。下手をすると、不安に苛まれたり、気持ちがふさいだり、非倫理的な行動に走ったりしかねない。
情熱の追求以外にいっさい関心が向かなくなる
情熱の追求に没頭するあまり、それ以外のことがすべて目に入らなくなる。その結果、夫婦関係が破綻したり、子どもの成長過程に寄り添えなくなったり、健康が損なわれたりする。それでも、その時点では別に不満はないかもしれない。大好きなことに熱中していれば、楽しくないわけがない。しかし、時間が経ってから振り返ると、そんな時間の使い方をしたことを後悔する羽目になる。
燃え尽きる
情熱の追求にすべての精力をつぎ込んでも、1日なら問題ないかもしれない。1カ月、ひょっとすると1年くらいはどうにかなる可能性もある。しかし、適度に制御しなければ、情熱はたいてい、最初は激しく燃え上がるが、すぐに火が消えてしまう。人は情熱に駆られたとき、猛スピードで突っ走らずにいられない。情熱の引力にのみ込まれている人は、そのペースで頑張り続ければ心身がもたない可能性があると気づけないのだ。そうやって情熱を追求しているうちに、いつの間にかエネルギーが尽きてしまう。生涯にわたって情熱を追いかけ、意義深い仕事を成し遂げるはずだったのに、興奮に突き動かされて向こう見ずな行動に突っ走り、結局は長続きせずに終わりかねない。
喜びを感じられなくなる
情熱の火花が次第に小さくなる恐れもある。多くの場合、次のような経過をたどる。あなたは大好きな趣味を職業にする(「楽しみ!」)。しかし、すぐに「趣味」が「仕事」に思えはじめる(「おかしいぞ」)。その後、大好きだったことを退屈な作業と感じるようになるまでに、時間はかからない(「どうしてこんなことに?」)。思ってもいなかったことだろうが、あなたは情熱の対象に恐怖心すらいだきはじめる。
情熱を阻塞ごとの4大リスクがこれ。人間は欲深いもので手にした成果に一度は満足しつつもそれ以上に欲しがることをやめない。そうして得た成果もいずれ興味の対象から外れることも。そして長期にわたって心血を注いだものの燃え尽きてしまう。何より興味の対象が他のものに移り喜びを感じ辛くなっていく。情熱をコントロールすることの必要性がわかるこれらの4大リスクと向き合わなければうまいこと行かないわけだ。
バランスの取れた人生
自己啓発作家だけでなく、れっきとした一流大学もバランスの重要性を説いている。以下は、ジョージ・ワシントン大学(ワシントンDC) で開講されている「バランスの最適化」という科目の2016年の講義内容だ*注2。
いま自分がバランスの取れた人生を送れているかを分析する
「バランスの取れた人生を送る妨げになる内的・外的要因を乗り越える」ために役立つヒントを得る。
人生のバランスを失わない
「人生にバランスを生み出し、その状態を保つために有益な手法」を学ぶ。
人生のバランスを改善する戦略を知る
「よりバランスの取れた人生を送る方法」に光を当てる。
現代人は人生のバランスにご執心らしい、と思った人も多いかもしれないが、人がバランスに魅了されるのは最近に始まったことではない。バランスの取れた人生を送りたいという考え方は、人間の思考に深く根を張っているようだ。
古くは、古代ギリシャでもそのような主張がなされていた。紀元前300年頃、哲学者のアリストテレスは、弟子たちに中庸の重要性を説いた。つまり、過剰と過少の両極端ではなく、ほどよい中間を目指すべきだと訴えたのだ。プラトンが「魂の三分説」を唱えたのも同じ時代だ。これは、魂の3つの要素に足並みをそろえさせることが重要だという主張である。
古代の医学では、人体は4つの液体的要素(胆汁、黒胆汁、粘液、血液) で構成されていて、健康なときは4つの要素のバランスが取れていると考えられていた(四体液説)。このうちのどれかひとつが過剰になったり過少になったりすると、人は病気になるとされた。ルネサンス期の芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」は、理想の人体を完全に左右対称なもの、つまりバランスの取れたものと位置づけている。歴史を通じて、そしてさまざまなジャンルで、人々はつねにバランスを追い求めてきたのだ。
中庸、足るを知るそんな言葉を皆に贈りたい。幸せを感じられる状態を保つにはそういう精神のもと情熱を傾けられる対象を持つことが求められる。バランスの取れた生活を送るのは万人の願いで昔から変わらない。極端な考え方や過剰な行動や欲求は不幸を呼ぶことに。
情熱をマネジメントして最高の仕事と人生を手に入れる方法を教えてくれる書籍。偏った情熱は不幸を招きかねないと警鐘を鳴らしつつ中庸の精神で物事をよりハッピーにする秘訣を探ります。
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