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思考の教室|戸田山 和久|クリティカル・リーディングから相手といっしょに考えるためのディベート術まで

語彙力アップから文章設計法まで!書き手の考えをきちんと理解するクリティカル・リーディングや一緒に考えるディベート術までユーモラスな講義で学んでいきます。

語彙力アップから始めよう

さて、生まれながらのアホさかげんをいかに乗り越えるか。考えるためのヒントは「科学の発展」という事実 のうちにある。

ヒトは一人ひとりをとってみるとそれほどカシコくはない。これは前章で指摘した通り。しかも、昔に比べて特にカシコくなったとも言えない。いまから2000年以上昔に活躍した、ソクラテスとか孔子とかガウタマ・シッダールタ(お釈迦さまのこと)と、私の「個人としてのアタマの良し悪し」を比べてみたら、私はぜったいにかないそうにない。比べることじたい思い上がってんじゃねえのと言われそう。

けれども、人類全体として見たら、ずいぶんカシコくなったようにも思える。ここに名前をあげた大昔の先哲たちは、遺伝子の本体がDNAであることも、宇宙にブラックホールという天体があることも知らなかった。いまの人類は、一日で地球の裏側まで旅ができるようになったし、いろんな生きものの遺伝的性質を好きなように変えることすらできるようになりつつある。もちろん、この2000年の間に科学がとてつもなく発展したおかげだ。

このことからわかるのは、 科学は「ヒトの一人ひとりがもつ愚かさを乗り越える 手段」を備えているらしい、ということだ。それはどんな「手段」かというと、「第Ⅱ部のねらい」にあげておいた次の三つだ。

①テクノロジーを使って考える。

②みんなで/他者といっしょに考える。

③考えるための 制度 をつくって考える。

科学はこの三種類の手段をうまく組み合わせて、人の「考える」能力をうんと強化した。そのおかげでこんなに発展したんだ。たしかに、科学者はいろんな テクノロジー を使う。観測機器、実験機器、コンピュータ。それだけではない。コンピュータでデータを処理するときに使う統計手法やいろんな「理論」も、人が開発した道具だ。こうした理論や方法論もテクノロジーと言っていい。科学者になるということは、こうしたテクノロジーの使いかたを身につけることを含んでいる。

そして、科学者は一人で研究したりはしない。人里離れた屋敷の地下室で秘密の研究に没頭するマッド・サイエンティスト……なんて、フィクションの世界にしかいない。たくさんの科学者が同じテーマについて考える。しかも分担して考える。

科学者の研究への取り組みには頭が下がる。こうした地道な努力が国や経済を支える基盤となっているので、その道に進もうという方は応援したいですね。自分は飽きっぽいので無理ですが(笑)

クリティカル・リーディングってなんだろう?

現実の文章は基本パターンからズレている 「CR(クリティカル・リーディング)」という言葉を聞いたことがある人はけっこういるだろう。それどころか「ああCRね、学校で教わったよ」という人もいるかもしれない。いま流行りの文章の読みかただ。

CRはいろんな仕方で説明されている。「批判的な読み」「論理的な読みかた」「書くように読むこと」「書くつもりで読むこと」「書くために読むこと」「能動的な読み」「分析的な読み」……。どれも当たっている。当たっているけど、それだけではよくわからない。

そこでまず、クリティカル・リーディングとは何をすることなのかの根本をはっきりさせよう。そのためには、 第8章 で示した「サポ文の基本パターン」からスタートだ。

みんながこの基本パターン通りに文章を書いてくれたらありがたいよね。つまり、基本パターンをひな形にして、そこに出てくる「A」とか「しかじかかくかく」の箇所に文を埋めていくようにして書いてくれたなら。どれが主張なのか、その主張にいくつの根拠が用意されていて、それぞれ何なのか、一目瞭然だ。サポ文を書くときには、みんな基本パターン通りに書くべし、という法律をつくっちゃえばいいのにね(もちろん冗談よ)。

なのだが、現実の世界で私たちが目にする文章の多くはそうなっていない。基本パターンからどこかしら外れてしまっている。なぜだろう。おおよそ三つ理由がある。

第一は、書こうとしていること(主張とそのサポート)がじっさいややこしいために、単純な基本パターンにそもそも収まらないから。第二には書く側が前もってちゃんと考えないで書いているから。そもそもサポ文の目的は何か、そのためにはどういう要素をどう並べたらよいかなどを知らないで書いちゃう。

もう一つは、キミたちが読む文章の多くが、「プロ」が書いたもの、つまり商品だからだ。基本パターン通りに書いたら、そりゃ主張が伝わりやすいし、サポートがちゃんとしているかどうかもすぐにわかるだろうけど、これじゃつまんない。商品だから、主張を伝えるだけでなく、もう一つ目的がある。読者を楽しませるという目的だ。科学知識を解説する本だって、たんに知識伝達だけを目的としていては、たくさんの読者に読んでもらえない。こうして、基本パターンからズレてくる。

理解されやすい文章と読むのに適した文章というのは案外乖離しているもの。ロジック通り書けば理解はされやすいが読んでてつまらない文章になりがち。そこに落とし穴がある。それを踏まえた上で読み方を工夫する必要があって、書き手の癖のようなものを瞬時に読み取り血肉にするにはひたすら読むしかないかも。

上手に考えるには、経験が必要。考えることを考えるなんて、なかなかないのでこれを機に自身の思考のくせを見直してみると良いかも。

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