新米トレーダーが陥りがちな罠に勝ち組ベテラントレーダーが知識を解放。登場人物の新米トレーダーと共に本物のトレーダーを目指して成長できる、わかりやすい投資心得書。
投資家心理
彼は株価が9・25 ドルになったところで参入を決めた。というのも、この株は9・00 ドルに強力な支持線があり、何週間もこれを下回ったことがなかったのだ。過去に、9・03 ドルまで落ちたことがあったが、その時は9・00 ドルに達する前に出来高をともなって反発した。そして、高値は9・89 ドルだが、それが過去最高値で、そこで失速してしまった。株価が9・30 ドルに下落し、さらに9・25 ドルへ落ちるのを見て、新米トレーダーの胸は興奮に高鳴った。彼は素早く注文画面で銘柄コードを入力すると、取引数量に1,000と打ち込んだ。心臓をバクバクさせながら、続いて彼はマウスを操作して残高照会の画面へとクリックした。画面に表示されたのは、 「9・35 ドルだって!?」新米トレーダーはショックで叫び声を上げた。あわててリアルタイム株価ストリーマーをチェックする。彼は血が凍る思いがした。株価は9・10 ドルになっていた。新米トレーダーは気分が悪くなった。 「お……おれはたった今、250ドルを失った!? 週末ぶっ続けでピザ配達のバイトをして、やっと貯まる金額だぞ」彼はうめいた。恐怖心で胃がぐっとせり上がってくる気分だった。心臓がバクバク鳴っているが、今回は興奮からではなく、恐怖心からだった。 もう一度、株価を見る。日中の最高値、最安値を見ると、株価は9・08 ドルまで落ちていたことがわかる。今は9・15 ドルだ。彼は落ち着こうと自分に言い聞かせた。 「9・00 ドルで下げ止まるはずだ。それから反転して、決算発表前には 12・00 ドルに上がるはず。いい値段で買いを入れたんだ」バーチャル口座での試験的取引とは話が違う。今回のは彼の虎の子の資金なのだ。1セント1セントが彼の血と汗と涙の結晶なのに、それがこんな形で250ドルかっさらわれることになろうとは‥‥。
僕も株式投資を始めようとバーチャルトレードのサイトに登録してリアルタイムではないが投資のバーチャル体験をしたことがある。しかしこれはあくまでもゲーム。値動きに合わせて売買する場合は出来高の少ない銘柄でも約定できるし、もし損失が大きくなって手元の資金が目減りしてもリセットできる。そんなゲームでいくら好成績が得られようと実践とは訳が違う。やはり身銭を切って株式市場に参戦しないことにはその恐怖感やドキドキは体感できないだろう。そこで冷静に損切り利食いができるかどうか少額でもいいから試してみよう。ゲームなんかよりよっぽどシビアな現実が待っているはずだ。そして株式市場で運よく稼ぐことができても安心してはならない。市場全体上昇トレンドなだけかもしれない。いわゆる時期の問題。下げ相場でも儲けることが出来なければトレーダーとしてはやっていけない。しかしあなたが賢明な投資家を目指すならそこはトレードに拘らず資金を温存しておくのも手だ。ファンドマネージャのように多くの資金をほぼ全て株などで運用しなければならないというルールのもと運用しているのなら別だが、僕たちは資金を現金にして虎視淡々と待つ戦略が取れるのだから。そこに個人投資家の勝機がある。
リスク
株価が手仕舞いすべき価格、トレイリング・ストップの価格、あるいはストップロスの価格に達したなら、その時点で彼はその取引についてハズしている可能性が高いと機械的に判断するべきなのだということを学んだ。彼はシグナルを受け入れるべきで、撤退するべきなのだ。彼は、ストップロス注文などは、ある種の保険みたいなものだと考えていた。そういえば、車の保険を払っておいて、その月に保険を使わなかったからといって半狂乱になることなどない。保険は単に新車を全壊するような破滅的な事故を防ぐために払っておくものなのだ。ストップロス注文やトレイリング・ストップ注文は、トレンドが反転する見込みがなく、反発を待っている間にどんどん損失が膨らむといった多額の損失から守ってくれる。通常の取引時間中にそれを用いて撤退できれば、利益を残せる可能性だってあるのだ。たとえそうして撤退を強いられ、その後、株価が反転したとしても、その時は単に買い戻せばいいではないか。何が悪い?彼は不必要に撤退させられるのを防ぐためにストップロス注文の価格帯の設定がなぜ重要なのかが理解できた。トレイリング・ストップ注文も、トレンドのノイズをやり過ごして利益を最大限にするため、注意深く設定されなければならないだろう。
ストップロス注文も市場の肌感を感じて設定する必要がある。あまりに少額のロスでストップロスしてしまうよう設定してしまうとすぐに反転して「ああ!損切りする局面じゃなかった!!」と後悔することに。これも経験が必要。
投資手法は多岐に渡るのでいくら勉強してもし足りない。ファンダメンタルだけでテクニカル分析を使わないのも問題だ。注意して欲しいのが詐欺に合わないこと。株式で儲けを出したいあまり怪しい情報を発信する輩に引っかかったり、高額な役に立たない自動トレードシステムを買ったりしないように(笑)。株式投資に近道などありません。
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