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ニッポン2021-2050|落合 陽一 , 猪瀬 直樹|データから構想を生み出す教養と思考法

ゼロ成長や人口減少、そして高齢化社会。山積する日本の課題を解決し新時代を構築するために「近代」を見つめ直し機能不全の構造を再構築する必要がある。その実践者たる2人による社会を変えるヒント。

落合──日本はなぜ変わらなければならないのか

次に「地方への公費投入」の話をしたいと思います。引き続き安宅さんの資料から紹介しますが、現在地方の基礎自治体(市、町、村、特別区) への公費投入は地方と都市部とではものすごい差があります。例えば自治体予算を一人あたりで見ると、目黒区民一人あたりに比べ、島根県 海士 町 では200万円以上のお金がかけられています。目黒区民には 34 万円しかあげません、でも海士町の人には259万円あげますと言われたら普通すごく不公平を感じておかしいという話になります。でも実際にはそれに近いことが行われています。

もちろん地方がずるをしているわけでもなんでもなく、これだけお金を渡さないと地方の自治体は回らないというのが実情です。でも僕たちが考えるべきはそもそもこの状況でいいのか、ということです。

ではどうするべきか。大きく2つの解決策があります。

一つは自治体の収入を増やす、すなわち生産力を高めて、国からの支援が手薄になっても自活できる産業を育成するという方法です。

人口密度が低いということは広大な地場資源があるということ。農業における担い手の高齢化や転出に伴う耕作放棄地問題。だいぶ規制が 弛んできているので、規模集約化して生産性を上げる農業法人もこれからたくさん出てくるでしょう。もちろん農地改革は当時はきわめて妥当な政策で、事実日本の成長に寄与しました。けれども、これらの戦後改革の多くにほころびが見られます。人口増を見越した成長社会を前提にして築かれたルール自体を僕たちは見直さなければなりません。

あるいは企業でも地場を求めるものはいくつもあります。

例えばAIによる自動運転の実証実験は、離島や山間地域のほうが都合がいい。なぜならば人がいないことで、死亡事故という決定的なリスクを減らすことができるからです。

もう一つは支出を減らす。端的に言えば、人を減らすことです。

近頃地方も農家がITやAIを導入することで生産性をあげ品種改良などにより単価を上げブランド化することに成功する事例がよくみられるように。こうしたモデルケースを踏襲し成功へと導くのも国の仕事。そこに補助金を投入するなどしてサポートすれば空いた農地の有効活用になるだけでなく新たな若者を呼び込むことも可能に。地方には仕事がないというデメリットを農家から変えられるのである。

落合──ビジョンを描くにはまず歴史を知ること

次の時代を考える上で、重要なのは大別すると3つです。

第1にこの本で繰り返し語ってきたように歴史や統計データを知ること。第2に論理的な日本語力を身につけること。第3に時代に適合した文理問わない教養を身につけることです。

第1の論点は歴史や構造、つまり現在がどのようにできているかを知ることです。

僕が「未来」についてのビジョンを語れるのも、メディアアートならメディアアートの、テクノロジーならテクノロジーの、歴史を知っているからです。これまで何が語られてきて、昔はどうなっていて、いまはどのあたりの研究が進んでいて、社会の統計をながめて何が語られているかを自分で知っている。だからこそ、こんな未来がやってくると予測できる。

僕がこの本で歴史を意識することが重要だというのもここに理由があります。2021年以降の日本を考えようと思ったら、それ以前の日本の歴史を学び、その本質をつかんでいくしかないのです。ビジョンを生み出すためには、まず歴史から学ぶしかない。ある時代にチャレンジしていて失敗したことでも、この時代なら成功するかもしれない。こうして仮説を考えながら歴史を学ぶことで、次の時代に生かせるものが作れるのです。

次に言葉を磨く大切さについてです。英語や外国語の教育はいつの時代も、どの年代からも注目されるものです。英語のスピーチができるようになりたいなら、 流暢 なほうがいいに決まっています。LとRの発音の区別だって小さい時から英語を学んでいたほうが身につくのは間違いない。けれども話せたからといって、単にコミュニケーションがとれるという以上の意味はありません。  僕は、そんなつまらないことより論理的に言葉を使えることが重要だと考えています。なぜか。第一に語るに足る人材であることが一番重要だからです。そして、外在的要因としては今後は自動翻訳技術が飛躍的に進歩するからです。機械学習の進歩は間違いなく自動翻訳技術に反映されます。いま語学にコンプレックスを感じている人であっても、日常生活では間違いなく、ビジネスの世界でもそれなりのレベルで劣等感を感じる必要なくコミュニケーションがとれるレベルの技術になるはずです。

最近ではグローバルに活躍する人材を確保するため外国語がさらに注目されるように。英語に限らず外国語は行手を阻む壁になりがち。僕らの時代と比べ若い人たちはそれに気づいていて外国語へのアレルギーは少ないように感じます。僕みたいに「一生日本から出ない!海外旅行なんか行かない!!」という人間は少ないような(笑)

日本の近い将来にスポットを当てその課題に向き合い答えを模索します。今を代表する2人による日本のビジョンとは?

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