全ての尺度がお金の世の中から現在の社会が、“新しい価値の創造”と“それを共有する人達のつながり”を重視する社会へと転換していくのに、これからのトークンエコノミーの拡大が大きな力となる。そんな新しい世界に興味がある人は是非。
アイドルグループのトークンエコノミーで 起こったこととは?
前章では、ブロックチェーンを活用した「トークンエコノミー」という、新しいビジネスモデルについて簡単に説明しました。
では、どのようなトークンエコノミーの構想を練れば、成功に結びつけることができるのでしょうか。
まずは、従来のビジネスと、トークンエコノミーでのビジネスとの根本的な違いについて、改めておさらいしましょう。
成熟したトークンエコノミーでは、 法定通貨を介さずに経済が活発に回る、ということがもっとも重要です。
わかりやすい例としては、アイドルとファンの関係性に着眼したトークンエコノミーの考え方です。
たとえば、Aという、メジャーデビュー前のアイドルグループが、「Aトークン」というトークンを発行したとします(ここでのトークン名は、あくまで一例です)。
このトークンは、このアイドルの限定グッズや先行販売されたコンサートチケットなどと交換する際に使用できます。またAトークンは、発行量に制限のあるトークンであるため、需要と供給によって価格が変動します。
このアイドルのファンであるBさんは、見返りなど気にせず応援する気持ちで、手元の1万円を「100Aトークン」と交換しました。また、ギタリストのCさんは、ライブ演奏を手伝ったお礼として、「100Aトークン」を受け取りました。 その後、このアイドルグループの人気が急上昇し、初の東京ドームコンサートを行うことになったとしましょう。
そのチケットは、先行販売で100Aトークンと交換ができますが、アイドルグループの人気が急上昇したため、100Aトークンの価格は 10 万円にまで高騰しています。
Bさんは、以前から保有している100Aトークンでこのチケットを入手。一方、ギタリストのCさんは、チケットとは交換せずに、100Aトークンを保有したままにしていました。
そんな折、Cさんはどうしてもコンサートに行きたいというDさんに出会います。Dさんは、コンサートに行きたいけれど、10万円をすぐに用意することができません。そこで、「若いころに20万円で購入したギターを、100Aトークンと交換しよう」、とCさんに持ちかけます。
Cさんはこれに応じ、Dさんのギターを受け取り、自身のアカウントから100AトークンをDさんに送信しました。そしてDさんは、この100Aトークンを使って、そのアイドルグループの先行販売チケットを購入することができました。
お金を介さないでトークンでモノの取引が行われるこのシステムは需要と供給がなせる技なので、ある程度流動性のあるものにしか通用しないのではと思ってしまう。お金と違いそのトークンに興味のある人とマッチングしなければならない面倒臭さも若干残る。しかし、それが完全に機能すれば素晴らしい世界が待っているかと。
株式会社では 最終的に「株主」に利益が還元される
読者のみなさんの多くは、「株式会社」でお仕事をされているかと思います。その中には株式公開をし、証券取引所などのマーケットから資金を調達している企業も少なくないでしょう。
では、従来型の株式会社と、トークンエコノミーの仕組みを導入している企業とでは、どこに違いがあるのでしょうか。
それは、「 誰のために利益を出すか」という点です。
株式会社の場合、経営における最大の目的は「株主の利益」です。
株式会社では、その会社のオーナーシップ(所有権) を株式として分割し、それによって資金を調達し、経営資金としています。
会社の経営者は、株式の保有者に対して配当を渡すために利益を追求します。そのため経営者は、できるだけ多くの売上げを出すためにコスト管理を行い、原価を下げることなどで利益率の最大化を図ります。
では、株主の利益は守られる一方で、株式会社で働いている従業員の利益は守られるのでしょうか。
2018年 10 月、大手eコマースサイトを運営するアマゾン・ドット・コム(Amazon.com) は、アメリカ国内で働く倉庫従業員の時給を引き上げると同時に、彼らの月次のボーナスと株式報酬を廃止すると発表しました。
同社のこうした措置は、時給が上がったとしても年収レベルで考えると、実質の収入減少につながるとの指摘があります。
一方で同社の時価総額は、2019年1月に7968億ドル(約 87 兆円) に迫り、世界1位となっています。
つまり、アマゾン・ドット・コムの場合、 企業の市場価値の向上が必ずしも従業員の利益に還元されているわけではない、ということです。
これは、なにもアマゾン・ドット・コムだけに限ったことではなく、少なからずの企業でこうしたことが起こっています。
結局、現在の株式会社では一般的に、従業員は株主の利益を高めるために存在するものであり、その利益は従業員には還元されないケースが多いのです(もちろん、そうでない企業も存在しますが……)。
株式会社の要素が強くなると従業員が置いてきぼりになるケースはたくさんある。会社は誰のものかという議論はさまざまな場所で議論されてきたが、やはり株主か従業員かというところで考えると株主ということになるのが資本主義の道理。それが嫌なら自身で好きな会社の株主となってしまうしか方法はない。
トークンという最近よく聞くようになったものについて詳しく解説。それがどのようなもので我々の生活にどうに浸透するかを考える書籍。
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