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デービッド・アトキンソン 新・観光立国論──イギリス人アナリストが提言する21世紀の「所得倍増計画」

少子化がネックとなり経済成長の足を引っ張る日本。出生率はなかなか上がらず移民政策も進みません。ならばインバウンドでお金を落としてもらう方策を練れば良い。観光産業の盛り上がりを考えれば無理ではないのでそこを深掘り解説。

日本は「観光立国」になれる潜在能力がある

実は日本という国は、世界でも数少ない「観光大国」になりえる国の 1 つなのです。

そう聞くと、日本はすでに「観光大国」になっている、と胸を張る人もいるかもしれません。それはマスコミが、京都などに多くの外国人観光客が訪れており、過去最高の 1300 万人超になったなどと報じているからでしょうが、残念ながらそれは大きな勘違いです。日本ほどの国で外国人観光客が 1300 万人しかこないというのは、驚くほど少ない数と言わざるをえません。世界を見渡せばこの 2 倍、 3 倍は当たり前です。日本は「観光大国」とはほど遠い、「観光後進国」なのです。

このことは、数字にもしっかりと表われています。図表 1 をご覧ください。これは、世界経済フォーラムが発表した 2015 年の「観光潜在力ランキング」と、各国の観光収入をまとめたものです。日本の潜在力は 2008 年の第 23 位から第 9 位へと躍進をとげましたが、観光収入では、ランキング上位 15 カ国の平均の、 3 分の 1 程度しかありません。

私は、これは本当にもったいないことだと考えています。世界有数の観光大国になりうる潜在力を持ちながら、その強みを、まったくと言っていいほど発揮できていないのですから。

ただし、これは裏を返せば、日本を訪れる外国人観光客はまだまだ増えていく可能性が大きいということです。そこで本書では、事実を客観的に分析するという私のこれまでの手法を使って、日本が「観光立国」になるためには何が足りなくて、何をすべきなのかを明らかにしていきたいと思います。

京都の観光客が1300万人で喜ぶ日本人。ですがこの数字は日本ほどの規模の国では決して高い数値ではありません。観光に力を入れればもっと上を目指すことも可能というポテンシャルは持っていると思う。

もっと文化財を活用すべき

日本の文化財の現状について率直に言わせていただくと、「ただそこにある」というだけです。観光資源にふさわしい修理や整備はおろか、まともに利活用もされていないと言わざるをえません。先ほどの食事のたとえで言えば、日本の文化財は主菜になります。ただ、現状の文化財はまともに調理されていないため、専門家が見ればそのおいしさがわかるとしても、観光客にとっては生の肉や魚を見せられているようなものです。そのおいしさがわからないため、高い評価をくだすこともありえません。これでは、お金を落とす気にはならないでしょう。

これは、私の個人的な感想などではありません。「数字」などのデータが如実に示しています。たとえば、ヨーロッパの観光客が訪れることを楽しみにしている「神社やお寺」を整備する費用を見てみましょう。

まずは、手入れ状態から考えていきます。国宝・重要文化財に対して、建造物の修理費用として国が出している予算は、 2014 年度で年間 81・5 億円です。国宝・重要文化財に指定されている建造物は全国に計 2428 件、 4695 棟。 1 件あたり平均 336 万円、 1 棟あたりは 174 万円です。規模にもよりますが、大規模マンションの修繕費のほうが高いくらいではないでしょうか。この 174 万円で何ができるのかを考えてみてください。

普段の維持管理なら何とかなるかもしれませんが、たいした保存修理はできません。つまり、この予算から見えるのは、日本の文化財というものがただひたすら放置され、ボロボロに壊れる寸前になってやっと大きな修理をする。それが終わって、 40 ~ 50 年してまた老朽化がすすんだら、また修理をするということの繰り返しだという現実です。修理と修理の間は、最初の 10 ~ 20 年はともかく、その後は「わびさび」を完全に超えてしまっています。

日本は文化財をもっと有効に活用すべき。なんか神聖な場所として地位を確立した寺社仏閣も立ち入りができないものが多く、解放すればもっと観光客を呼べるのにと思うこともある。外国人から見てこの状況はどう見られているのだろうか興味がある。

日本が観光立国となるべく、必要な条件などを深掘り。可能性を探りながら日本再興を目指します。

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