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スラム化する日本経済 4分極化する労働者たち|浜矩子|金融破綻、雇用喪失、次に訪れる統制社会!

世界的な恐慌後の破滅的な未来の姿とその中で見える微かな一筋の光。金融破綻、雇用喪失、次に訪れる統制社会。僕らを待ち受けるのは新しい資本主義か?社会主義に逆戻りか?

インフレとは何か?

インフレーションとは、要するに経済の膨張現象だ。経済活動が風船のようにどんどん膨らんでいく。それがインフレーションだ。その結果として物価上昇があまりにも行き過ぎれば、国民生活に負担がかかる。物価が高すぎて人々の生活が破壊されては大変だ。暴動が起きるかもしれない。政変につながるかもしれない。そのような恐れに駆られて、政府が物価統制を行うことはしばしばある。

現に、グローバル恐慌前夜の中国の場合がそうだった。生活物資の値上がりが深刻で、ついに食品など一部の商品に関する価格統制に踏み切ったのである。

物価統制を行えば、それが続いている限りにおいて対象品目に関する物価上昇は確実に止まる。だが、だからといって、経済のインフレ的膨張が止まったわけではない。ここを混同すると、実際にインフレは治まっていないのに、物価だけを見てインフレは収束したと誤解することになる。この辺が注意を要するところだ。

経済がインフレ化しているのに、物価が上がらないケースはほかにもある。その一つが、海外から安い輸入品が大量に流れ込んできて、それが物価を引き下げている場合だ。

一九八〇年代のアメリカがそうだった。輸入品がインフレ圧力をガス抜きする役割を果たしてくれたのである。もっとも、物価こそ確かに落ち着いていたが、その代わりに対外収支の赤字幅が大きく拡大することとなってしまった。要するに、物価からは見てとれないインフレ圧力の高さが、対外赤字の大きさに現れていたということである。

ことほどさように、物価だけを見ていたのでは、経済の状態が本当のところどうなっているのかは分からない。この点を確認したうえで、インフレはそもそもなぜ起こるのかを復習しておこう。

インフレには、大別して三つのタイプがある。その一が「引っ張り上げ型」、その二が「押し上げ型」、その三が「カネ余り型」である。それぞれをもう少し気取った言い方でいえば、ディマンド・プル型、コスト・プッシュ型、過剰流動性型となる。

引っ張り上げ型、すなわちディマンド・プル型インフレーションは、要するに需要が供給を上回ることによって生じるインフレである。モノに対する需要が旺盛で供給が追いつかない。売り手市場状態となってモノの値段がせり上げられていく。それがディマンド・プル・インフレだ。

好調な経済に相反して、いわゆる中間層の賃金が上がらない場合、インフレによる物価上昇が家計を圧迫する。そんなインフレに備えるべく株を持っておくのも一つの手だ。自分の会社の業績が上向かなくても上向かなくても自身の所有する株が上がればその恩恵を受けることができる。個別銘柄を選ぶ審美眼がなければインデックスという手もあるのでこれを機に始めてみては?

「豊かさの中の貧困」を招くもの

同僚が皆、インド人になる。欧米や日本で多くの技術者たちがそのような現実に直面して戸惑っている。それでも、自分にしかできない特技があればいい。得意技があれば、フラット化していく地球経済のなかでも生き残れる。

だが、もし特技がないのだとしたら、職場は自分の足元から消えていく。職場そのものは消えないとしても、所得向上の機会は消え失せる可能性が大きい。それどころか、賃金カットに甘んじなければいけなくなるかもしれない。フラット化した世界においては、賃金は地球規模で、しかももっとも低い水準に、それこそ横並び化していく。市場原理が成り立っている限りにおいて、これは不可避的である。

かつて、世界がフラット化していなかった時代、「物価と賃金の下方硬直性」問題が先進諸国を悩ませていた。つまり、一度上がってしまった物価や賃金は、あまり下がらなくなり、それが先進諸国の悩みだった。だが今や、下方柔軟性が支配する世の中だ。少なくとも賃金についてはしかりである。これについては第一章ですでに見た。

地球規模で賃金の低位収斂が進む。そこは最下位争いの世界だ。この争いに巻き込まれないですむ人々はいい。それだけの技能・才能に恵まれていれば、賃金の低位収斂が進むなかでも、高額所得者になっていける。そんな彼らと、外国人技術者たちとの賃金下方柔軟化争いに引きずり込まれていく人々とのあいだでは、格差の谷間が深まっていく。

こうして、地球規模で横並び化が進めば進むほど、国々のなかではその住人たちのあいだで縦並び化が進んで格差が広がっていく。世界と対等な競争を 強いられることに伴って、個別各国の経済社会のなかでは対等さが失われていくのである。

需要の高まるIT系スキルを持った人とそうでない人で格差が生じています。AIやロボット化によって仕事がなくなる恐怖に慄くばかりでなく自身のスキルを未来型にアップデートしなくてはすぐに労働市場からドロップアウトすることに。

格差が激しくなってスラム化する日本経済。古臭いスキルは形骸化し淘汰される時代。新たな労働市場に求められる人間になるためにできることとは何か。サバイブする方法を自身の置かれたポジションごとに解決。

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