ユーザーに必要な情報をどう発信するか?デジタル時代を生き抜くマーケターのためのまったく新しい考え方がここにある。インバウンドマーケティングのコンセプトから実際の展開までをわかりやすく解説。
人々の時間軸に合わせたマーケティング
先ほど「アウトバウンドマーケティング」というのは、こちらから人々のいるほうに出て行く従来のマーケティングのやり方であるということを述べました。これに対して、「インバウンドマーケティング」は、人々をあちらからこちらに向かってくるようにするマーケティングです。これは、例えばマイク・ニコリッチが例に挙げたように、何かの商品やサービスを調べているようなタイミングにある人に対して、その人たちに聞いてもらいやすいマーケティングを行うということです。
これは単に、「こちらからあちらへ」と「あちらからこちらへ」という、“方向”の問題だけではありません。もっと本質的な、マーケターが向き合わなければならない課題が、この背景にはあります。
従来型のマーケティングというのは、企業やそのマーケティング担当者が決めたスケジュールに基づいて実施されてきました。テレビCMを流すとか新聞広告を掲載するといった広告出稿のタイミング、PRを仕掛けるために特定のキーワードを露出させるタイミング、ネット広告に出稿するタイミング、イベントを行うタイミング……。あらゆるマーケティング活動は、キャンペーン化・スケジュール化され、企業側のタイムライン(時間軸)に合わせて実施されます。そのタイムライン上で、リーチしたいターゲットユーザーと接触できれば、マーケティング施策はうまくいくでしょう。しかし、実際のところ、企業側が仕掛けたタイミングに合わせて、人々は都合よく動いてくれるものでしょうか?
「情報過多・情報大洪水」の時代において、消費される情報量は産み出される情報量よりも大幅に少ないことを先に述べました。そして、そうした中では人々の「選択的注意」に引っかかるものでないと、情報を受け止めてもらえないということも指摘しました。 こうした現象についての考察は1990年代から存在しますが、当時の議論においては、人々は大量の情報に降り注がれながら、その中で選択したコンテンツだけを受け入れているという話にすぎませんでした。いわば人々は情報の「受け手」として、受動的な「情報選択」をしていた時代だったのです。
しかし今、人々はそもそも、降り注いでくる情報の相手はまったくせず、自分たちが気になる情報を検索したり、ソーシャルメディアでシェアされたコンテンツから有益な情報を得たりするようになっています。より積極的な「情報選択」の時代に入っているわけです。
インバウンドマーケティングの浸透によりユーザーは広告の海で航海する事を余儀なくされた感がある。どこに行っても広告がついてきて購買意欲が逆に削がれるような(笑)一方、広告とわからない口コミのようなものも増えてそっちの方が信頼がおける。そこでインフルエンサーとかが活躍することに。ソーシャルメディアでシュアされた商品の売れ行きが伸びる新たな時代へ。
ソーシャルメディアを使う
ソーシャルメディアマーケティングの専門業界では、お客さんとの「エンゲージメント」のためにソーシャルメディア上でのコミュニケーションを行うということが目的化される傾向があります。もちろんインバウンドマーケティングにおいても、それらを重視はしますが、エンゲージメントのためだけにソーシャルメディアを使うという考え方はしません。
「インバウンドマーケティングの実施において理解しておくべき5つのポイント」でも説明したように、インバウンドマーケティングでは、メールやサイト、ブログなど複数のチャネルを使ってコミュニケーションを取るので、ソーシャルメディア上での対話だけにこだわることはしないのです。
インバウンドマーケティングにおけるソーシャルメディアの利用目的は、主に次の2つです。
・ブログやサイトの“読者”を維持するため
・コンテンツマーケティングにおける“ネタ”を集めるため
最近では「RSSリーダー」と呼ばれるブログ購読ツールを使ってブログの更新情報を見る人は、以前と比べて相当少なくなった気がします。一方で、企業の公式アカウントやページを通じて、それらの最新情報を得る機会が増えていることは、本書の読者であれば実感していることかもしれません。
ソーシャルメディアはトラフィック作り、コンテンツ拡散には威力を発揮するものの、長期的な視点でSEOを考えた場合には、コンテンツ資源はブログやサイトに集中したほうがよいと考えられます。
インバウンドマーケティング的には、ソーシャルメディアにはブログの記事のサマリーとリンクを投稿し、“読者”を維持するために使うのがまずよいでしょう。
RSSリーダー懐かしい!以前は数あるブログ記事の中から自分に関連のあるキーワードを設定しRSSリーダーでまとめ読みしたものだが、最近ブログをあまり読まなくなったので朽ちた遺産に(笑)それだけソーシャルメディアの影響力が拡大していて、そちらの方が便利で使い勝手が良いという事です。
インバウンドマーケティングのあれこれをわかりやすく解説すると共にマーケターに向けて活用方法をレクチャーしている書籍。我々消費者が読む分には新しいような気もするが最前線で戦うマーケターが今更これを読んでインバウンドマーケティングについて学ぼうというのであれば既に出遅れた三流のマーケターではと思ってしまう。
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