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アトミック・リーディング|五藤隆介|読むことと書くことから考える読書術

早く読むことを放棄しメモを取りながら本を読んで、理解を深めるデジタル時代の読書術。AIの登場により、読書の価値は情報の消費から自己知識のネットワークの構築へと変遷。知性が求められる今、本という「知」に触れ、知性を獲得する方法を提示。

読んだ本について書く時間を確保する

ここまで読書メモを「書く」ことについていろいろと述べてきましたが、読書メモを書くためには、読書メモを書く時間を確保する必要があります。本を読みながら読書メモを残すにしても、一度本を読んでからあとでまとめて読書メモを残すにしても、どちらにしても普通に読むことに比べて余分な時間がかかることは間違いありません。

これまでの経験を踏まえた個人的な感覚で言うと、読書メモを残すのにかかる時間は、一冊の本を読む時間と同じくらいというイメージです。なので、単純計算をすれば、読書に使う時間が同じだとするなら、本書でオススメするような読書をすると、本を読める量は半分になると言えます。

みなさんはこれをどう考えるでしょうか?

読める量が半分になってしまうくらいなら、メモなんて残さなくてもいい。もっとたくさんの本を読んで、もっと多くのことを知ることが出来る方が嬉しい。そう考えたくなる気持ちもわかります。それは「本を読んで情報を得たい」と思っているならばおそらく正しい感想です。ですが「本に書かれた内容を自分の知識にしたい」と考えるならば、読書の量はあてにできません。

「来週の土曜日、東京駅に新しい駅ナカのショップがオープンする」

こうした情報は、不動産開発や、関連企業の仕事、メディア関係者などをのぞくのほとんどの人にとっては、ある意味で「覚えておく必要がない情報」だと言えます。一度そうしたものを読んでも、繰り返しそれについて考えるような必要もないでしょう。そして、こうした情報をいかにたくさん摂取するかを重要視するならば、速読術と言ったものは大いに役立つでしょう。ですが結局、ほとんどの人はこうした情報を一ヶ月後に完全に忘れてしまっていてもなにも問題はありません。

われわれがニュースやSNSなどで目にする情報はこのようなもので溢れています。こうした情報は、ほとんどの人にとっては消費のための情報であり、それを自分の中に残しておく重要度が高いとは言えない情報ばかりです。読書という行為をこうした消費の感覚で価値判断をするならば、量やスピードを重視したくなる理由もよくわかります。ですが、私が考える読書の価値とは、こうした情報の早さや量を重視するようなものではありません。

インターネット経由でニュースが見られることが当たり前になり、テレビや新聞すら「遅い情報源」になってしまったような時代です。書籍にスピードを求めるのは、それこそが時代遅れの感覚だと言えるでしょう。

ですが、そんな現代でも(出版不況が叫ばれながらも)書籍は消えておらず、今でも多くの人に一定程度の価値は見いだされています。テレビやインターネットと比べた書籍の価値は、早さ以外のところにあるからです。たとえば書籍の価値とは、情報の量ではなく、情報が整理され、内容がまとまり、理解しやすいこと。また、情報に加えて、その書籍ならではの考察が加えられていることなどでしょう。

これを簡単に言えば、書籍には「残す価値がある」ことが書かれているということです。そして、書籍に書かれていることが「残す価値がある」ものだとするならば、そこに書かれている内容は私たち自身の頭の中にも残す価値があるのだと考えても間違いではないでしょう。

(大抵の普通の)人間は、本の内容を一度読んだだけではその中身をきちんと覚えておくことはできません。なにかものごとを覚えておくためには、その本にある情報を何度も振り返り、理解し、自分のこれまでの知識と組み合わせていくことが必要です。つまり大抵の場合、どんな本も一回読んだだけで「わかった」などとは言いがたいものなのです。

本の内容を一度読んだだけで記憶に定着させるのは難しいと僕は思います。なのでメモを取ったりマーカーでハイライトをつけたりするわけですが、これをするのとしないのではやはり違い、一手間かけた分のベネフィットはあります。あとで見返した時になぜそこが大事だと思ったのか、などという考察も含めて読み返すことができるのも利点の一つです。同じ本でも読んだ時期によって得られる情報というか目に飛び込んでくるものは変わってくるので。

振り返りを繰り返して「語れる」ようにする

最後に、当初の目的だった読んだ本を語ることについて考えていきましょう。読んだ本を語るために重要なことは、結局これまで考えてきたこととなにも変わりません。ここまでやってきたことすべてが、読んだ本について語るための準備だといえるでしょう。

読んだ本について読書メモを書き、それを整理して、関連付ける。最後に、語るための読書メモを集めていく。これが基本の形です。

ここでは、できる限り具体的に、私が普段「ブックカタリスト」というポッドキャストで語るために行っている準備「語るための読書メモ集め」ついて紹介していきたいと思います。

普段の読書メモは、読んだ本一冊一冊について読書メモノートを作ります。そこに読書メモを書いていき、それぞれをアトミックなノートに分割していくというのが基本のスタイルです。

では「ブックカタリスト」で語るときはどうするのかというと、普段の読書メモとは別にブックカタリスト用のノートを用意し、そこに当日語りたい内容をまとめます。一般的に台本と呼ばれるものを作っている、と考えてもいいでしょう。

この台本を作るときに、ノートがきちんと「アトミック」になっていると非常に重宝します。 一冊の本について語るといっても、書かれた内容すべてを網羅して語るというわけではありませんし、自分が読書メモに書いたことすべてを紹介するというわけでもありません。読書メモを見ながらどんな流れで話をすればスムーズに全体がつながるのかを考え、そのために適切なパーツを並べていく、というイメージで台本を作っていきます。

ポッドキャストで話すときには、本に書かれた内容を紹介するだけでなく、その内容を踏まえて自分がどのようなことを感じたのかなども一緒に語っています。他にも、別の本に書かれていた内容に関連しそうなことが書かれていれば、それらとつなげて話をすることなども多々あります。

そういったことは当日の対話の中で見つかることもありますが、事前に「仕込み」ができていれば、あらかじめ台本にメモしていくこともあります。

本について語ること、これは読書家にとって至高の瞬間。おすすめの本を聞かれた時に相手に合わせて選書してあげられるようになれば尚更良い。僕の場合はとりあえず名著と呼ばれるものを紹介するのですが必要以上のこと、内容にはあんまり触れないでざっくりとした説明で本を紹介します。

読むことを書くことから考える昔からある読書術。記憶の整理や定着に一役買い、自分にとってのライブラリがより充実したものとなるのでぜひ実践してほしい読書術です。

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