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はげます技術|あさくら ゆかり|誰かを本当にはげますには、気持ちだけでなく技術が必要

うつ病の人に「がんばれ!」というのは禁句と言いますが、それはなぜか?「3つのS」で笑顔に、元気になる!人気カウンセラーが教える大切な人とのコミュニケーション術。身近に励ましたい人がいる人はぜひ!!

本当の「はげまし」

本当の「はげまし」──それは、 相談者本人の「自己肯定感」が高まること。そして、 相談を受ける側の役割はあくまでそのお手伝いをすること だと私は考えています。

自己肯定感というのは、自分のいまの状態を「これでいいんだ」と認める感情のことです。

私たちはみんな、自分でものごとを判断し、問題を解決する能力をもっています。けれども、悩んでいるときやひどく落ち込んでいるとき、混乱しているときなどは、自己肯定感がしぼんでしまい、答えを見つけ出す力や正しい判断力、客観的にものごとを見据える力をもてません。そのため、必要以上に自己評価を落としたり、自分を責めたり、否定的に見たりしてしまうのです。

では、どうしたらその自己肯定感を高める手助けができるのでしょう?

それには、「承認」「支持」「支援」の〝三つのS〟 を意識して、相手の話を聞くことが何よりも大切です。 「承認」とは、相手の話と存在価値を無条件に認めること。

「支持」とは、相手の味方になること。

そして「支援」とは、相手の気持ちに寄り添い、応援すること です。

これらを意識せず、ただ黙って話を聞いていたり、きちんと理解せずに安易なアドバイスや応援の言葉をかけたりすることは、はげましとはほど遠い行為です。むしろ、押しつけがましさを感じさせてその人の話す気持ちを 削いだり、ときにはあなたの自己満足で終わることになりかねません。

相手の自己肯定感を高めること、それは今のままの自分を承認してあげること。私たちは個々に問題を解決しようとする能力を持っているので、それをブーストしてあげるような言葉をかけてあげられるかが肝になってきます。

大切な人の笑顔を取り戻すために

たとえば、友人から浮かない顔で「明日、プレゼンしなければならないんだけど、すごく不安で……」と打ち明けられたとします。

この言葉の裏には、プレゼンテーションの内容がいまいちであった場合、自分に期待をかけてくれた上司に何と思われるか、自分の評価が下がるのではないか、部下への示しがつかないといった、対人間へのさまざまな不安や恐怖が潜んでいるわけです。

そこへあなたが「そんなの、きちんと準備して臨めば大丈夫でしょ」と言葉の表面だけをとらえて話を軽んじてしまうと、友人は自分の気持ちがちゃんと受け止めてもらえなかったと感じてしまいます。

一方、「それは不安だよねぇ」と一度受け止めた後、「でも、たとえあなたのプレゼンのできが悪くても、いつもがんばってるんだから評価がそれだけで落ちるわけないよ」など、対人間への不安をくみとったうえで言葉をかけてあげると、少なくとも友人は自分の気持ちをあなたに理解してもらえたという安心感を得ることができます。

大きなストレスや悩みを生む人間関係ですが、大きなはげましを得られるのもまた人間関係です。思ったような成果が得られない、認めてもらえないとなったとき、人はどこで救われるのかといえば、やはり家族や友人、恋人といった気のおけない人間からなのです。

それほど人に承認してもらう、受け入れてもらうということは大きな力をもっていることであり、逆にそれが 叶わないことによるダメージや孤独感は深刻なものとなります。

人は本当に悩んでいることや苦しんでいることほど、口に出せなかったりうまく表現できなかったりするものです。

本当の「はげまし」とは、そのような 聞こえないものも聞く ということ。相手の言葉の表面だけをとらえるのではなく、声に出していない部分、声にならない部分も感じとることこそがはげますことの要です。

本当に欲しいはげましの言葉というのは大体本人的には決まっていて、そこをケアしてあげれば安心できます。相手がどこを補完して欲しいかを瞬時に察するのはちょっと観察力がいりますが、それができれば相手を安心させることができます。

落ち込んでいる相手をはげますことで安心や元気を取り戻すことは簡単ではありません。特にカウンセラーでもない僕らがそれを完璧にこなすのはなかなか骨が折れる。プロでさえ難しいこの難題を解説。

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