ロックシンガー、モリッシーの人生を振り返りながらその哲学的ともいえる生涯を深堀り。「モリッシー哲学」で人生を諦めていた人も希望の光を見るように!
弱気ものたちがさらに弱いものを叩く
日本の教育は外国に比べ、個性や違いを認めないからダメという意見を聞くが、そんなのは世界中、多かれ少なかれ同じではないだろうか。人間は、違う者を恐れ、排斥しようとする。違うものやわからないものは怖いし、支配しにくく面倒くさいからだ。モリッシーは、セント・メリーズのひどい先生たちひとりひとりのことも、生徒たちと同じ「敗者」だと分析している。イギリスの公教育ではかつて、「プライマリー・スクール」と呼ばれる公立小学校を 11 歳で卒業すると、「イレブン・プラス」という試験を受けることになっていた。ここで成績上位の 25%に入ると「グラマー・スクール」と呼ばれる大学進学を前提とした中等教育機関に進学できる。その下の成績の子どもは「テクニカル・スクール」という技術学校に、さらに下位の成績の児童は「セカンダリー・モダン・スクール」という手に職をつけることを目指す学校に割り振られる。子どもたちの未来は、たった 11 歳で運命づけられてしまうというわけだ。そんなセカンダリー・モダン・スクールという「敗者」のための学校の教師たちもまた、自分たちのことを不幸だと思い、自暴自棄だったのではないかと分析しているのだ。モリッシーの学校時代の教師たちの横暴を知って、日本のパンクバンド、ザ・ブルーハーツの「TRAIN-TRAIN」の歌詞を思い出した。 「弱い者たちが夕暮れ/さらに弱い者を叩く」 ── ザ・ブルーハーツ「TRAIN-TRAIN」その音がセント・メリーズに響き渡れば、ブルースは加速していく──。教師たちも鬱屈のなかでもがき苦しみ、生徒に負の継承をする。その構図に、加速するブルースに、モリッシーは気づいている。単に一方的な被害者として「やられました!」と文句を言っているのではなく、国、時代、生い立ち、環境、システムそのものへの絶望なので、より深い。自分たちの手に負えない状況に陥ったすべての教師たちが、革ベルトで鞭打ちをしてくる。そんな暴力状況を冷静に見据えたモリッシーは自伝のなかで、 「それは教師の弱さであって、生徒の弱さではない」(『Autobiography』) と断固として抗議している。「被害者」として泣き寝入りするつもりはないのだ。
最近のいじめの温床となっているのがSNS。弱いものの中にはいじめられるのを恐れるあまりいじめに加担する子がいて、後を絶たない。これは子供に限ったことではなく会社組織に入っても連綿と続いていく。いじめや攻撃の対象になりたくなければ攻撃する側に回ればいいという安易な発想がいじめを蔓延させる。
腐ったみかん箱のサバイバー
彼がその生き地獄を乗りきれたのには理由がある。モリッシーは、絶望の淵で、音楽に出会ったのだ。音楽を好きになり、自分も音楽で何かを成したい、と思うようになった。1972年、 13 歳の時に、モリッシーは救世主を知った。デヴィッド・ボウイだ。 「ボウイが現れ、子どもだった私は死んだ。テレビで観た彼の映像は意味深かった。ついに憂鬱で石炭のようにすすけた我々を超越する存在が現れた。私たちに正気を取り戻させ、自覚すべき時が来たのだと告げたのだ」 (『Autobiography』)自伝のこの箇所の、モリッシーの言葉の力強さが好きだ。書きながらモリッシーも興奮したのか、それまでの「マンチェスターどんより録」とはまるで違う筆致になっている。救いようのない自分たちをここから引き上げる、まさに「スターマン」がやってきたのだ。諦めるとか、不可能とか、そういう思い込みを超越した存在が現れた、喜びの福音のような文章だ。そして、モリッシーもアクションをはじめる。「やってみなはれ!」、そうボウイに背中を押されて。モリッシーはある朝、ブロンドに髪を染めて学校に登校したのだ。「はじまったぜ、モリッシー!」と思ったが、すぐに教師に見つかり、たちまち家に帰されてしまった。ちょっとしょぼい結果に終わってしまったが、本人としては「やってやった!」という満足感があったはずだ。この挑戦は後に「I Know Very Well How I Got My Name」という曲で歌っている。昔も今も、「非行の兆しは頭髪から」と言われるが、非行ならぬ、自由への「飛行」がはじまったのだ。
僕の学生時代は部活を辞めたせいか一部の友達はいたものの学校は窮屈なものだった。数人の友達とゲームセンターに入り浸る毎日が僕の日常。家に帰っても徹夜でゲームに夢中になり現実逃避していた。そんなゲームがあのことの僕にとって光、希望であった。最近では歳を取ったせいもあるが、ゲーム以外にお金をかけたいところが増え、PS3の後からはゲーム機を所有していない。新しくPS4や5を買うほどやりたいゲームもないのですっかりご無沙汰だ。
モリッシーのように輝く何かを見つけたら是非夢中になってみて欲しい。きっとそこでは新しい仲間もできるし絶望の淵からあなたを救ってくれる場所になるから。
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