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50代から余裕が生まれる人なくなる人|清水 義範

人生100年時代の50歳という節目。身軽に遊び価値あるものを手に入れ孤独さえも楽しむそんな生き方ができれば人生の後半を有意義に過ごすことができるだろう。そんな50代の教科書。

人生上のクライマックス

五十代の人ならば、人生上のクライマックスをこのあたりで体験するかもしれない。サラリーマンなら、会社の命運をかけたプロジェクトをまかされるとか、個人事業主ならば大勝負の事業拡大を狙ってみるとか、ここぞやりどころ、見せどころに遭遇する年まわりだ。だがそこで、わーい、ここがピークだと、手ばなしでコーフンしているのは、大切なことを見逃してしまうのだ。この仕事も時の前には、やがて忘れられたり、当たり前のものになったりして、なんでもない出来事になってしまうんだよな、と気がついていたい。誰がそれをなしとげたかなんて忘れられ、その仕事の成果が意識されることもなくなる。サラリーマンの大手柄も、事業の拡大も、やがてはなかったことのようになる。クライマックスだと思った場面も、すぐに、コーフンするようなことではなくなるのだ。そういうはかない事実に、気がついていたいものだと思う。もちろん、それをやるときには情熱を持って取り組む。全力を傾けて、やりがいを感じてもいい。しかし同時に、これもすぐになんでもないことになっちゃうんだよね、と覚悟していたいものだ。どんなことでも、喉元すぎれば熱さは忘れられるのだ。芭蕉は平泉で、過去の栄華を思い、それが今はもうないことに涙している、だがしかし、すべての栄華が同じ運命をたどるのだ。だから人生のクライマックスには、平静に立ち会うんだというクールな気持ちで対面してほしい。これもまた、やがて忘れられていく、という思考の落ち着きがあれば、つまらない失敗をしなくなってかえっていいのだ。

客観的にみると僕の人生上のクライマックスは学生時代なのだろうが、自分自身では今が最高であるような心持ちで日々暮らしている。過去にクライマックスを感じるほど懐古主義でもないし、未来が最高と思うほど楽観的でもないというのが本音だ。

老人になるとは?

いつもはどうしてあんなに騒がしく生きていたんだろう、という気がして、そういう我欲が消えていることがうれしい。ああ、老人になるということは、こんなふうに静かな境地に(ときに)立てることなのかと満足である。というわけで、この話も五十歳を過ぎた大人へのちょっと珍しいアドバイスになる。ときには、日常のあれやこれやを忘れて、そして欲からも解き放たれて、ふと無心になってみましょう。そうすると、とても静かな世界にゆったりと心をたゆたわせているような気分になれます。いつまでに何をしなければならないとか、そっちのほうが得するかということや、どうふるまえば格好いいか、というような思いからふわりと離れて、味わえる静かさというものがあるのである。そんなふうに、自分から離れる境地が、老後に求めたいものなのだ。もうそんなにうまく立ちまわろうと思わないでもいいや、と思ったときに、静かさの世界へ行ける。外からの雑音がふいに消えてなくなるこの境地こそ、あなたがこの先求めたいものなのである。静かで、いい気分ですよ。そういう静かさの中に生きている人のことを、世間は老いの美の中にある、と見てくれるのである。

日常のあれこれや欲から解き放たれるのはなかなか難しい。邪念がいつも邪魔するからだ。そんな静けさの中で生きられたならゆっくりとした時間をおくれるだろう。

文章を書いてみよう

五十代になったら、文章を書いてみよう、というの、私はいい趣味だと思うのだが。自分を見つめるいいきっかけになるし、自己表現するのは楽しいし、やれば必ず上達するのでやりがいがある。ブログという発表の手段のある時代だから、世に対して発言する、という満足も得られてこんないいことはない。読んだ本への感想や、見た映画への批評などを、ちゃんと人様に見せられるレベルで書いてみるのだ。ツィッターのような、つぶやきではいけませんよ。人間とは上達するもので、原稿用紙四~五枚のエッセイを、三本書いたら、必ず三本目は最初に書いたものよりうまくなっているのだ。月に二回ずつ、一年書いた人は絶対にワンレベル上の書き手になる。文章を書くという遊びは、ガーデニングよりもっとお金がかかりません(ガーデニングが流行するのは、お金がかからないので不況時の趣味によいため、という分析を読んだことがあり、この言い方になりました)。さあ、書いてみよう、というのが私のお勧めである。

文章を書くのは有り余る時間を有効に使うのに最適。時間がない人でもSNSに短い文章を投稿するくらいならできるだろう。僕の場合ブログとSNSの両輪で文章を投稿している。僕はInstagramを中心に活動しているが、拡散を狙うならTwitterの方が適しているだろう。リツイート機能の拡散力はバカに出来ない。

人生100年時代の折り返し地点である50代から、人生に余裕が生まれる人とそうでない人を「おくのほそ道」に学ぶ書籍。

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