＜感じ＞のいい人、悪い人｜山﨑武也

2020年12月28日

人間、知識を持つとそれを他人に披露したくなるもの。難しい言い回しの言葉を用いたり、人のマウントをとったり。感じの良い人はそんなこと微塵も感じさせません。僕のように友達がいない人はやはりどこかに欠陥がある。鼻持ちならないところがいくつか自覚症状であるので自戒の年もこめてこの本を読んだ。

とてもつきあい切れない〈感じ〉の悪い人

たとえ親友同士であっても、久し振りに会ったときは、初対面のときに似た心構えが必要だ。相手に対して最高によい印象を与えるべく努力する。したがって、相手に接する姿勢も常に明るくし、最初に発する言葉もポジティブなものにする。相手の顔色や身なりであれ、風の便りに聞いたことであれ、とにかくマイナスになることには触れないで、プラスのことに焦点を合わせるのである。それも自分の価値観に従ったプラスやマイナスでなく、一般常識を基準に考えなくてはならない。たとえば、「太る」というのは、健康上はよくないことであり、特に女性の場合は容姿の観点から禁句である。また、「やせる」というのも、病気のサインとなる場合も多いので、口に出してはいわないほうがよい。健康を害したために体重が減ってきている人に対していえば、相手の意気を消沈させる結果になる。体のどこにも悪いところがなくて元気いっぱいの人も、体重の管理には神経を使っている。このような人の場合、太るとかやせるとかいっても、一定の範囲内の数値を保っているので、それはちょっとした違いという感覚しかない。ところが、健康上に問題がある人の場合には、体重のちょっとした増減も、重大な事態の先行指標ないしは証拠としての意味を持っている。したがって、相手の健康状態や考え方を知らないうちは、太ったとかやせたとかは口にしないほうが無難である。ちょっとくらい弱々しく見えたときでも、「元気そうだ」というのだ。それは、うそをいったり相手にへつらったりすることではない。

親しき中にも礼儀ありということでしょうか。久しぶりに会う相手には元気な姿を見せたいですよね。僕の場合、統合失調症にかかってから友人との連絡を絶ってしまいました。というか発作が起きた時にカッとなって携帯電話のデータを全部消去してしまったのです。今考えると連絡できる相手はいた方が病気にとってよかったのかもしれませんが、今ごろ終わったことを嘆いてもしょうがありません。

時間を守らない人

決められた時間に集まってこない人がいると、ちょっとした焦燥感に駆られる。日時や場所を間違ったのではないかとか、何か事故でも起こったのではないかとか、心配する。しかし、それがいつも遅れてくる人である場合は、心配はしないで、軽い嫌悪感を覚える。「またか」という思いが、せっかく楽しくしようとして盛り上がりつつある気分を、軽くではあるが、不愉快にしてしまう。約束に遅れるのは癖であり習慣である。時間を守らないと皆に迷惑が掛かることをきちんと認識し、人に迷惑を掛けるのは悪いことである、という道徳観さえあれば、遅れるという悪癖が身につくことはない。遅れてきても悠然と構えて謝りもしない人がいるが、これでは社会性もまったく欠いているので、できれば仲間から外していきたいと思う。また、謝ったにしても、言葉上だけであって、申し訳ないという気持ちが見えない人もいる。いずれにしても、時間は自分だけのものであって、自分勝手に使ってよい、と考えている様子が見え見えだ。　確かに、自分が生きている間の時間は自分自身のものである。しかし、人が集まっている社会の中で生きていく点を考えれば、ほかの人たちと時間を「共有」しているという感覚が必要だ。そう考えれば、時間を自分勝手に使って私有化することはない。

最近ではスマホが普及したおかげで、平気で遅れてきてLINEで今こことメッセージのやり取りをする人がいます。待ち合わせには確かに便利ですが、待っている時間はあなたの時間を奪っていくわけです。時間の有り余った学生などなら良いのですが、そうでない場合、時間泥棒は大変迷惑。恋人とかなら本屋やカフェで待つ時間も楽しめたりもしますが、やはり時間通りにこない相手はちょっと考えてしまいます。

仕事の場面であれプライベートであれ、約束の時間を厳守するのは最低限のマナー。それによって相手の人格を認めるような役割もあります。相手に敬意を表するためにも時間は厳守してほしいものです。相手の時間を奪う権利はあなたにはありません。

シーンや肩書き別に〈感じ〉のいい人、悪い人を徹底解剖。こういう迷惑な人いるいると相槌を打ちながら読み進めました。自分が相手にとって〈感じ〉の悪い人にならないための処方箋がここに。

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