「どうやって部下に仕事を教えよう?」「報連相をしっかりしろ」こんなことを言っている上司はヤバい!? 斬新・革命的なリーダー論。トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長時代に、19年連続増収増益という偉業を達成した伝説のリーダーが、その極意を語り尽くす。著者は、「報・連・相」や「部下へのアメとムチ」を、「三流のやること」と断じてはばからない。最高の報酬とは仕事の達成感であり、その勝利の味を知らしめるためにデッドラインを駆使してチームを動かすことだけがリーダーの仕事だとする。これからの時代に活躍できる、斬新かつ爽快なリーダー論。
仕事に対して熱心な日本人
企業業績の低迷に関しては、日本人の質の劣化を指摘する人もいるようだが、私はそうは思わない。日本の労働者のレベルは、いまでも間違いなく世界のトップレベルである。数年前、トリンプ時代に懇意にしていたドイツ人の社長夫妻と日本で会食をしたときのことだ。その帰り道、私たちの乗る彼の社用車が道路工事の現場にさしかかると、彼が突然「あれを見ろ」と声をあげた。何かと思い、慌てて彼の指さす方向に視線を送ったが、とりたてて変わったものは別にない。そこでは工事中の標識の横でヘルメットを被った中年の男性が、保安指示灯を振って車の誘導をしているだけだった。しかし、私には見慣れたその光景が、ドイツ人の彼にとってはそうではなかったようだ。彼によれば、ああいう単純作業は誰にとってもおもしろくないので、ドイツ人はまずまじめにやらない。お金をもらっているので仕方なくやっているという態度の人がほとんどだという。ところが、あの日本人は誰も監視していないのに、まるで手を抜くことなく一生懸命自分の仕事に取り組んでいる。それが彼にとっては驚きなのだというのだ。私もドイツやスイスの企業で働いてきたから、彼の気持ちもわからないではない。交通整理だろうがトイレ掃除だろうが、それが仕事だといわれればきちんとやる。そういう勤労の精神というのは、たしかに日本人特有のものだ。そういう国民性がものづくりに活かされたからこそ、戦後の高度成長が可能だったといってもいいだろう。
どんなに退屈な作業でもそれが仕事となれば熱心に取り組む。それが日本人の強みだという。交通整理やトイレ掃除、皆が嫌がる仕事でもお金が発生すれば話は別、というのが本音だろうか。以前ニューヨークのゴミ処理業者がストライキを行い、街がたちまちゴミで溢れたことにより仕事の重要さを認識し、給与水準が上がったことを書いたと思うが、日本ではこんなことはありえない。嫌な仕事でも文句ひとつ言わずに遂行するその姿は、外国人にとって首をかしげる姿なのだろう。
生産性を上げたければ‥‥
もし、経営者が会社の生産性を上げたいと本気で思うなら、大部屋をやめて社員に個室を与え、そこで仕事をさせるようにすればいいのである。効果のほどは私が保証しよう。ただし、その働き方に慣れるまでは、社員はかなりの苦痛を覚悟しなければならないだろう。個室で集中して仕事をするためには、個として自立していることが前提となる。ところが、日本のビジネスパーソンは、お世辞にも自立しているとはいい難い。優秀な大学を卒業していても、ひとりの人間として生きる力については、はなはだ心もとない人がほとんどなのである。自立していないというのは子どもと同じだから、誰かに答えを教えてもらわないと動けない。自分で正解を考え、その責任を引き受けられないのだ。報連相しながらやるのが仕事だと思っているなら、自立なんてしなくてもいいし、部下は常に上司の目の届くところにいるほうが便利なので、大部屋というのは理にかなっているといえる。だが、日本が得意とするチームワークのよさと品質で戦えた二十世紀ならともかく、それよりはるかにグローバル化が進み、製品の品質に大きな差がなくなって、競争のレベルが高くなった二十一世紀は、個人のパフォーマンスが低ければますます勝てなくなってくるのである。従ってリーダーの役目も、全体の歪みを均して集団の底上げを図ることから、個の自立を促すという方向に変化してきている。メンバーには、いま求められているのは従順であることではなく、自分の進め方で結果を出す働き方なのだということを叩きこまなければならない。
僕は作業のほとんどを自室に籠って行う。作業中はスマホもおやすみモード(基本的に一日中おやすみモードに設定しているがww)。30分に1回ぐらい席を立ち体をほぐしたりトイレにいったりするが、働いていた頃のように電話やトラブルなど横槍が入らないので、集中して作業に取り組める。
時間は計画にではなく実行に費やす。など仕事のスピードアップの方法も紹介されていて、時代に即したマネジメントというのがどういうものか学べる書籍。部下を抱えるリーダーになったら読んでおいても損はないと思います。
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