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眠れない人のための心理学|加藤 諦三

ストレスがますます過剰になる現代社会では、「眠れない」とうったえる人が激増している。先進国では、「不眠症は現代のペスト」と言われるまでに増殖しており、多くの人が、「眠れない」という症状に苦しんでいるという。何が人を「眠れない」状態に追い込んだのか。著者は、この「眠れない」という状態は、その人の人生に対する考え方そのものに起因していると考える。その人の生き方の歪みが、心理的な作用を生み出し、人を「眠れない」ようにするのである。本書は、不安、恐れ、怒り、孤独感、劣等感など、「眠れない」人の心にひそむ魔物たちから上手に逃れるための「読むクスリ」として、自らも不眠症体験を持つ著者が、わかりやすく書き下ろした一冊である。「眠れない」自分とどうつきあったら、眠れるようになるのかを、やさしく教える現代人の必読書である。

「何とかなるさ」という安心感

信頼できる人がいれば、「何とかなるさ」という安心感がある。窮地に陥っても自分を慰めてくれる、傷ついても慰めてくれる、努力すれば助けてくれる、「自分にはそうした人がいる」と思っている人と、思っていない人では生きている安心感が違う。「不眠症になる様な人にはそうした安心感がない。いざという時には自分を保護してくれる人がいると思えば、明日が困難であっても、今夜も安心して眠れる。寝るときに、早く寝なければと焦ることはない。そうした信じるに足る人がいる者は、心の中に神を持っているのと同じである(註 43)」とにかくその安心感があることでリラックスして生きていられる。その安心感がないといつも不安な緊張を強いられる。 「甘えるべきではない」とか「完全である『べき』である」という考え方に支配されている人は小さい頃から安心感がない。逆に言うと小さい頃から不安に悩まされて生きてきたのである。小さい頃から何らかの心の葛藤を持ち続けて生きていた。熟睡したければ、先ず自分はどの様な心の葛藤を持っているのかと、自分の内面を直視することである。その心の葛藤が理解できれば、熟睡できる準備はできた。心の葛藤から目を背け続ければ、いつになっても熟睡はない。不眠症ということを通して、その人自身が現れているのである。不眠症を単に不眠症とだけ考えてはいけない。

僕も週に一度くらい睡眠に入れない夜があり明け方になってやっと眠りにつくこともある。睡眠不足は統合失調症にとってもあまり良い影響はないようで、調子を崩すことも。僕の場合、仕事を持つサラリーマンでないので、睡眠不足だと思ったら、次の日昼ごとまで寝てしまえばそれで睡眠不足は解消できるという安心感があるので、助かっている。時間の拘束がない分収入に問題があるのだが。

不安な人には大量の敵意がある

不安な人は現実の危機が迫っているのに、闘わない。抑圧の強い人は、闘うべき時に闘わない。ずるい人にとってこんな美味しい餌はない。ロロ・メイの「闘う能力を奪う」と言う指摘は見事である。闘わない人でも心の底では「悔しい」という気持ちがある。それなのに闘わないでニコニコして迎合する。こうして心の底の敵意はさらに蓄積されていく。眠るためには闘うこと。夫を「見るのも嫌だ」ということも本当だし、「別れたい」ということも本気である。しかし夫なしでは生きて行かれない。この葛藤状態が不安の原因である。ラジオのテレフォン人生相談などにもこの類の相談は結構ある。そしてそういう心の葛藤状態に苦しんでいる奥さんはたいてい体の不調を訴える。眠れないから始まって胃の調子が悪い、食欲がない、吐き気がする、息詰まる様な感じがする、体に震えが来る等々、これまたあげていけばきりがない。そして多くの悩みの相談者は自分の体調が悪いことの原因を肉体的なことだけだと考えている。しかし心の葛藤を解決しなければ、薬を飲んでもお医者さんに行っても体調は引き続き悪い。

不安の奥底に眠る敵意は厄介である。この心の葛藤を修正していかないと肉体的な調子の回復はない。心の葛藤の原因と向き合えば、自然と睡眠も取れるようになる。

「運が悪い」と思ったら人間関係を変える

人間関係で運の悪い人は、今まで運が悪くなるように生きていることが多い。例えば、運の悪い人は、すぐに「魔法の杖」を求めてしまう。つまり「今、この苦しい自分が、苦しまないようにしてくれる人」を求めてしまう。自分を助けてくれる人を安直に求めてしまう。そんな人がいるはずがない。誠実な人は、相手の魔法の杖にはなれない。そこで質の悪い人と拘わる。その結果、さらに酷い状況に陥る。それはお金に困ったときに安易にサラ金からお金を借りる人のことを考えれば分かる。最初はまだ良い。返せなくなればもっと酷い業者に救いを求める人が出てくる。最後は違法な闇金と言われる業者にまで行く人もいる。その場、その場を安易に解決しようとすることで、一歩一歩、確実に地獄に近づいていく。不眠症になったときに、「今、この苦しい自分が、もう苦しまないでいいように、助けてくれる人」を求めているのも同じことである。 「自分はなぜ自律神経失調症になって不眠症になってしまったのか」「自分はなぜ不安になって不眠症になってしまったのか」と、自分の今までの生き方を反省することが第一である。

僕の場合、お金に対しては結構シビアに見る癖がある。カードローンの類は嫌いだし、人からお金を借りることも貸すこともない。もし貸す場合は、あげてしまっても良い金額を援助するという形でお金を渡す。

不眠症に悩む人へ向けた心理学の書籍。眠れない根本原因はどこにあるのかを心理学をもとに追求していきあなたを快眠へと誘います。

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