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人生100年時代は、病気のリスクが長期化する!

ドラッカーがもし、あなたの主治医、担当看護師だったら?一方で診察ミスや医療不信、もう一方でモンスターペイシェントの問題と、医療現場において、患者と医療者の関係は悪くなり続けています。しかし、今や人生100年時代。老後が長くなれば、それだけ病院・医療者との接点が増えていくのは必定。生活習慣病を中心に、予防から長期的な加療まで、「クスリ漬け」や「安易な手術」に走らずに成果を出せるようにならなければ、やがて、医療費・患者の増大で行きづまり、患者のクオリティ・オブ・ライフ(人生の質、生活の質)も大きく低下します。そこで本書では、医療経済学者、MBAでもある医学博士・真野俊樹氏が、医療関係者・患者双方の目線に立って、「世界一」である日本の医療の力を活用し、発揮するための方法を説き明かします。カギを握るのは、「患者中心のチーム医療」の確立であり、そのためのヒントがマネジメントの大家・ドラッカーの教えにあります。高血圧・糖尿病・脂質異常症からがんまで、迷える生活習慣病予備軍および長期治療者の福音となる1冊です。

健康でいることで満足してくれる顧客とは?

企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。顧客である。顧客にとって事業は定義される。事業は、社名や定款や設立趣意書によってではなく、顧客が財やサービスを購入することにより満足させようとする欲求によって定義される。顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である。(『エッセンシャル版 マネジメント』)

今の俺にとって、「顧客」とは誰のことだろう?辰平は考え込む。自分が糖尿病を改善させる、すなわち健康で職場で頑張っていることで満足してくれる人とはーー。辰平の脳裏に、さっきまで楽しく話していた妻の美琴、息子の庸平の顔が浮かんだ。そうだ、家族だ。家族が俺の顧客だ。あとは、田舎に住む両親をはじめとする親戚、気の置けない友人らも当てはまるかもしれない。

自分が健康であることで利益を得る人(健康を害した時、不利益を被る人)を思い浮かべれば自ずと答えが導き出される。家族や親戚、友人を顧客と捉え、健康診断や持病による通院は仕事の一部と捉えると病気もないがしろにできない問題となるだろう。僕のように友人もおらず家族も親兄弟だけだと、やはりこういった健康の目的と使命には少し働く力が弱いような気もするので、自分のためと思い通院している。入れ歯になって苦労している父親を見て、歯科医に定期的に通うようになったりするのもやはり自分のためと思うことが多い。これを家族や友人(顧客)のためと思うことでその重要度をあげる行為は使命と目的の観点からも理にかなった行為だろう。

医師と患者の新しい関係

糖尿病の医師は、治療に取り組んでいると患者さんから様々な提案を受けることがよくあります。そんなときは、「やってみなはれ」です。食事療法にしても運動療法にしても、糖尿病のすべての人に同等の効果が期待できる食事療法や運動療法は存在しません。それなら、患者さんがやってみたいと思うことは、想定される副作用について医師に相談し、アドバイスを求めた後、ひとまずやってみるといいのです。そこで大切になるのは、やってきた結果、どうなったのかという〝フィードバック〟を欠かさないこと。ドラッカーは言っています。

このフィードバック分析からは、いくつかの行うべきことも明らかになる。第一は、こうして明らかになった強みに集中することである。成果を生み出すものに強みを集中することである。第二は、その強みをさらに伸ばすことである。フィードバック分析は、伸ばすべき技能や新たに身につけるべき知識を明らかにする。更新すべき技能や知識を教える。逆に自らの技能や知識の欠陥を教える。(『明日を支配するもの』)

精神科の統合失調症治療も似たようなところがあると思います。基本患者が病気に対して行うアプローチには特段問題がない場合、Noとは言いません。処方される薬さえきちんと飲んでいれば食事療法を取り入れようが何も問題ないのです。聞かれるのは、きちんと睡眠がとれているか?食欲はあるのか?外出はしているか?といったことだけで、そのほかは自由です。フィードバック分析を行いそれが自分にとってプラスなのかマイナスなのかを判断します。

専門家のアウトプットを翻訳する

専門家は専門用語を使いがちである。専門用語なしでは話せない。ところが、彼らは理解してもらってこそ有効な存在となる。彼らは自らの顧客たる組織内の同僚が必要とするものを供給しなければならない。このことを専門家に認識させることがマネージャーの仕事である。組織の目標を専門家の用語に翻訳してやり、逆に専門家のアウトプットをその顧客の言葉に翻訳してやることもマネージャーの仕事である。(『エッセンシャル版 マネジメント』)

医者との間にもこの関係性が生じることもある。患者が病気に対する専門知識をいつも持ち合わせているわけではないので、間に入る人を必要とするときも。

人生100年時代を生きる僕たちのための病気に対する考え方が記されている。病気のリスクが長期化することも考えられるので、自分自身をマネジメントして病気に立ち向かい、健康状態を良い方向に持っていくための方法論を持っていた方が良い。そんな時代の一助となる書籍。

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