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忘れられない患者さん 名医たちが語る統合失調症とは?

精神科で人気の名医たちが赤裸々に語るインタビュー集(一部寄稿)。診断に迷う、治療方針に悩む、これは誤診?医療制度に腹が立つ!そんなとき百戦錬磨の精神科医たちはどうしてきたか。医学教科書には載っていない「現場の苦悩と知恵」が満載。 問診の秘訣、難治例、悩み抜いた症例の数々etc.……名医たちはいったい何を語ったのか。

統合失調症は果たして治るのか?

ある女性患者は病歴20年、「UBOM」の結果が正常域となり、本人も改善して喜んでいました。回復してから詩集を2冊も出版したんです。私が読みましたら、病的な詩はひとつもありません。この方は非定型薬単剤をずっと服用していたのですが、あるときから来なくなって、私の気づかないうちに3か月服用をやめてしまっていたのです。そうしたら大妄想の大興奮で大騒ぎになって、また入院してしまいました。私の恩師である内村祐之先生から「本当に治ったと思う患者がいたら、俺に見せてくれ」と言われていました。寛解状態はあるけれども、治癒ということがあり得るのか確認したいと言うわけですよ。いったい全体、統合失調症という病気は治るんでしょうか?それとも治らないんでしょうかね?ぜひ全国の精神科医に聞いてみたいものです。

僕も統合失調症の妄想と幻聴が酷くて2回の入院をしています。現在、症状が発症する回数も比較的減ってきていて寛解に近いのではと思えることもある。しかし、相変わらずトイレに入ると訳の分からない幻聴(大抵「早く死んだほうがいいことあるよ」的なもの)が聞こえてきます。幻聴とも共存できるようになり無視する術を覚えたので、幻聴は聞こえるものとして受け入れています。行動を幻聴に左右されさえしなければ、幻聴もひとつのユニークな特性として捉え直すことができるようになります。街中を歩いているとたまに独り言をブツブツ呟きながら歩いている人を見つけます。この人統合失調症で、幻聴と会話しているのではと思える人も。幻聴が聞こえたらやはり精神科を受診すべき。薬で不安や幻聴をある程度抑制でき、不眠に悩んでいるならば、睡眠剤なども処方してもらえます。果たして統合失調症は治るのか?僕は治らないものとしてどう付き合うかを考えることをお勧めします。それと医師への相談なしに薬の服用をやめるのもやめたほうが良いでしょう。

統合失調症雑感

50年も精神科をしていると、いろんな思い出や体験があります。あっ、その前に「診断は統合失調症です。一生薬を飲むつもりでいてください。そうしないと廃人になります」と言われたとおっしゃる新患さんが、年に10人ほどおいでになります。むかし「神経衰弱」と曖昧に伝えていたのに比べると、ガラス張りの情報開示なのでしょうが、「早発性痴呆」の概念を創設したKraepelinでもそうは言わなかったでしょう。数パーセントの自然治療があると言っていたそうですから。もっとも、あの時代は薬はなかったのですがね。同じ体験を語る患者が全国から来られるので、広く流布しているデマなのでしょう。この脅迫技法の発信源はいったいどこでしょうか。

薬はブレーキが効かなくなっている脳にとりあえずブレーキをかけるものと思ってもらえればいいだろう。楽になりますし、廃人になることもありません。心の病だと認識すると、薬物を処方されるのに抵抗感がある方もいるかもしてないが、「心は病まない、病むのは脳。」と考えれば、脳に対して有効な成分を含んだ薬を服用するのに抵抗感はなくなるのではないでしょうか。

困惑状態

A子さんは飲食店で働くことになりました。しかし職場では何をしていいかわからずボーッとしてしまう。会話は普通にできても物事の全体像を把握できず、飲み込みが悪い。一度覚えた手順を翌日全く覚えていない。自発性を確立できず困惑状態にあったのです。店はすぐにクビになってしまいました。そうして飲酒をやめられなくなり、また希死念慮が湧いてきてしまった。A子さんは「もたもたして自分がよくわからない」と訴えましたが、これは困惑であり自発性欠如なのです。自分というものがない。そして自分が無くなる不安から混乱してしまう。彼女は慢性期の統合失調症だと思い至りました。

僕の症状でいうと、定期的に、行動不能にになり、次に何をすればいいのかがわからなくなる発作のようなものに襲われます。この発作が起きている最中はひたすら立ち尽くし、壁などの一点を見つめて動けなくなり、誰かに話しかけられても言葉が出てこなくなり会話が成立しません。これが家族なら何も問題ないのですが、仕事となると難しい。なのでいつ発作が起きても問題ない家の中に引き籠もる生活を送っています。朝起きてすぐは比較的この発作が起こりにくいので、早朝カフェなどに行き、読書をするのが楽しみの一つとなっています。

統合失調症といっても患者の症状は千差万別。様々な患者さんの症例が見ることができ、患者さんと接する機会の多い職業の方には読んでいただきたい書籍となっております。現在統合失調症と診断された方や、そのご家族、または疑いがあると感じている人にも有用な書籍です。

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