孤独を味方につけて。人生を深く濃く生きる。一人で生きることは、一見、寂しくつらいことのように語られがちですが、ただ大勢と群れて生きても、「孤独感」のつらさをぬぐうことはできません。むしろ、一人の時間を確保し、楽しむことが、「自分の人生」を生きるための近道になります。本書は、そんな、孤独を楽しみ、質を高めるヒントを、偉人たちの言葉やエピソードを交えて紹介します。孤独を恐れ、無理して人に合わせている人、一人でいることになんとなくうしろめたい気持ちを抱いている人におすすめの一冊です。
みずから積極的に「孤独になる」のがいい。
「孤独になる」ということを嫌がる人が多いようです。それは、孤独というものにマイナスイメージを持っているからだと思います。「孤独は寂しい」「孤独はみじめだ」「孤独でいると、周りの人たちから悪い評判を立てられる」といったネガティブな印象です。しかし、多くの場合、それは「思い込み」にすぎないと思います。孤独というものは、必ずしも悪いものではないのです。孤独でいるということには、いい面もたくさんあるのです。
孤独ににはどのようなメリットがあるのか?例えば心の休養となり、ストレスが溜まった心を癒します。孤独になると自分の好きなことができます。誰にも邪魔されず趣味や読書や音楽に興じることができる。人は誰でも一人になりたい瞬間があると思います。そんな時みずから進んで「孤独になる」ことができる環境があればそれはかけがえのない時間を与えてくれます。SNSなどで常時他者と繋がる世の中だからこそ、孤独の価値を見直してみるのもいいでしょう。
「みんなと一緒」が優先される時代はもう終わった
以前流行した言葉に、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というものがありました。日本人には伝統的に「みんなと一緒に行動する」という傾向が強いように思います。とにかく「みんなと一緒」でいれば、たとえ赤信号を渡るような危険なことであっても、恐怖や不安といったものを感じなくて済むようです。ですから、会社でも、プライベートの生活でも、往々にして、大勢の人たちと一緒に行動するよう心がけます。
どこの国のことかは忘れたが、横断歩道を渡るのは自己責任なので、車が来ないと判断したら、赤信号でも平気で渡る習慣があるという。日本にきて赤信号を無視して渡る人の少なさに驚いたという外国人は多いのだ。SNSで誰でも発信できる時代になり、自分のマイナーな趣味を世に知らしめる機会は圧倒的に増えた。どんな趣味であっても共感してくれる仲間を見つけることは難しくないので、堂々とそのマイナーな趣味をアピールできる。「みんなと一緒」であることは以前より格段に市民権を失いつつあるのが現状ではなかろうか。
一冊の本を読むと、さらに別の本を読みたくなる。
哲学者の三木清(19〜20世紀)は、「一冊の本を読んで、他の本を読みたいという欲求を起こさせないような本は、良い本ではない(意訳)」と述べました。この三木清の言葉は、言い換えれば、「良い本を読むと、さらにまた別の本を読みたくなる」ことを表しているのです。一冊の「自分にとって良い本」を読みます。そうすると好奇心を刺激されて、「この点について、もっと深く知りたい」という欲求がわき上がってきます。そして、そのために、「また別の本を読んでみよう」と思うのです。
興味のある分野については複数の文献に当たった方がより深い知識を得られる。そうした読み方をしていると、原点となる書籍に出会うこともありそれがブレークスルーにつながることも。もっと知りたいという好奇心が自分にとって良い一冊にめぐり合わせてくれるのです。自分の好奇心を刺激するためにも、孤独になって、感性が研ぎ澄まされた状態で「孤独になって本を読む」のが良いと思います。
一人の時間を、自分を高める勉強にあてる
孤独な時間を、「自分を高める勉強」によって、充実したものにしている人もいます。ある独身女性の話です。彼女は一人暮らしなので、仕事から帰宅した後は、孤独な時間を過ごすことになります。しかし、彼女は、その孤独な時間を苦痛に感じることはありません。それは、彼女が、その孤独な時間を「英語の勉強」にあてているからなのです。毎日コツコツ積み重ねていくことで、英語の力が少しずつ向上していることを実感しています。その「私は向上している」という実感が、彼女にとって大きな喜びになっているのです。したがって、彼女は、孤独な寂しさを感じることはないのです。
知識を蓄える行動は、日々蓄積されていく情報によって自分が満たされていく充足感を与えてくれます。読書も勉強と同じく向上していく自分を見出しやすい習慣と言えます。
孤独な時間は自分を高める貴重な時間。高度成長期のように均質化された労働力が必要とされた時代はもうとうに終わっています。時代のニーズに応えるには、孤独を磨き自分自身の価値に気づくことで能力を発揮していくことが生き残り戦略の1つとなるのではなかろうか。
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