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『コーラン』を読む|井筒 俊彦|『コーラン』をテキストにそって,多角的な観点を用いながら解読

イスラム教の経典『コーラン』を読み解きながらイスラム教の根本概念である「終末論」「預言・預言者」「啓示」等を多角的に学ぶ入門書。

『コーラン』の存在感覚

アッラーの罰ひとたび下れば、恐ろしい。 悪事をはたらいてはならない、ということは、いままでお話してきたことによってもうおわかりになるとおり、自然のままでおれということなのです。自然のまま、ただひたむきにまっすぐな道を行けということ。曲がるなということです。曲がると、神がジャラールの側面を見せるぞ、という。ジャラールの側面を見せるとは、具体的には神の怒りが罰として下ってくるということです。

以上、ジャラールとジャマールの順位という問題を、長々とお話しましたけれど、実際、『コーラン』を理解する上でこれは非常に大事なことなのです。神がジャラール的な顔を見せたら、それは恐ろしい。人間はふるえ上がってしまう。天地終末の日、最後の審判の日、その決定的な時点で神はジャラール的な側面を見せるのです。けれど、その時がきたらもう遅い。アーヤも役に立たなくなってしまう。というより、もうアーヤなんていうものはどこにもないのです。アーヤじゃなくて、じかにジャラールが出てきてしまう。アーヤとは、ジャラールを示す しるし でしたね。ところが、最後の審判の日が来たら、 しるし はなくなってしまうのです。現世で悪いことばかりしてきた人々の鼻先にジャラールが、つまり神の憤怒の形相が、 ぐいと突きつけられる。もう遅い、もうまに合わない。

悪事をはたらくことに対して厳しい罰がくだるイスラムの教え。過激な罰もちらほらあり、ひたむきにまっすぐ生きることを要求します。一度道を踏み外したらアウトという厳しい世界。

神の奴隷

まずまず、これで第三節、ずいぶん長く時間をかけたものですが、「審きの日の主宰者」という行が終わりまして、ようやくその次にいきます。 汝をこそ我らはあがめまつる、汝にこそ救いを求めまつる。

īyā-ka naʻbudu wa-īyā-ka nastaʻīn(u)  まず「汝をこそ我らはあがめまつる」というコトバなのですが、まず第一に、īyā-kaというのは「汝をこそ」という意味です。-kaは「汝を」ということ。īyā-kaはそれを強めて「汝をこそ」、「汝だけを」。強めると同時に、表現がかなり感情的になります。もっと普通の言い方ではnaʻbudu-kaです。「汝を」(-ka)「我々は」(na-)「あがめる」(-ʻbudu)。この-kaを感情的に強調した形がīyāka naʻbudu です。

naʻbudu「我々はあがめる」という動詞の基になる語根はʻB. D.です。  この動詞、あるいは語根については、ぜひともお話しておかなければならない重要なことがあります。「汝をあがめる」というのだけれども、これはただの「あがめる」じゃない。ʻB.D.というこの語根は、もともと奴隷という概念なのです。ご承知でしょうけれど、語根というのは動詞でも名詞でもないので、訳すのに困ってしまいます。「奴隷的あり方」とか「奴隷性」といっておきましょうか。とにかく、そういった概念がこの語根の意味でありまして、それが動詞になったり名詞になったりする。動詞になると、「奴隷づとめをする」「奴隷として仕える」ということ。名詞形(ʻabd) は、勿論、「奴隷」とか「奴僕」とかいうことです。これは第一節の「讃えあれ、アッラー、万世の 主」という、あの「主」(rabb) に対立し、対応する語です。ラッブに対してアブドという。主人に対して奴隷という意味。死ぬも生きるも主人の意のまま、生殺与奪の権を完全に握られて、もうまったく主人の所有物なのです。

生殺与奪の権を完全に握られて、もうまったく主人の所有物「神の奴隷」。そこまで神を崇める強い信仰が特徴。僕のように無宗教の人間は彼らには信じられないだろう。多様化が進む中、日本でもこうした異宗教の人と交流する機会が増えたように思う。僕はオンラインゲームでベトナム人のコミュニティに入りプレイしているのだが、日本とはまた違った友達への愛のようなものを感じる言葉をよく聞く。日本では小っ恥ずかしくてなかなか出ない言葉なので何だかロマンチックにさえ聞こえることも。

『コーラン』を読み解きながらイスラム教への理解を深める書籍。国際化が進み日本でもイスラム教を信仰する人が増える中、日本人である我々も理解に努めなければならない義務がある。

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